2013-01-01から1年間の記事一覧

「建築のアルファベット」は何種類か見たことがあるけれど(高山宏『カステロフィリア』の巻末に図版掲載された、ロベール・マッサンのコレクションなど)、これは「解剖学のアルファベット」か。形態的類似によって文字を図像に見立てるという(絵文字・飾…

ポール・ヴァレリー「美術館の問題」(1923年初出) より 美術館はあまり好きではない。見事なものはたくさんあるが、居心地のよい美術館というものはまったくない。分類、保存、公益といった理念は正しいし明快だが、愉楽とはあまり関係がない。美術品のほ…

写真と文学: 何がイメージの価値を決めるのか作者: 塚本昌則出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2013/10/29メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る紀伊國屋書店の新刊平積みコーナーで目に止まり購入。 目次は以下の通り。 1. 文学の辺境――写真小説…

お知らせ

『ユリイカ』2013年11月号(特集:中原淳一と少女イラストレーション)が発売されました! 青土社サイト(当該号もくじ掲載):http://www.seidosha.co.jp/index.php?9784791702640 拙論「「二度と来ない少女時代」に:ガーリー・カルチャーの源泉としての中…

最終日の三連休は混みそうなので、金曜日の内に国立西洋美術館のル・コルビュジエ展へ。画家としてのル・コルビュジエの造形がじっくり見られる展示。「ル・コルビュジエ以前のル・コルビュジエ」とでも言おうか。彼らの絵はピカソやレジェによく似ていると…

フランス革命期から19世紀初頭の都市における「回遊」「循環」「網目」

ピエール・ミュソ(Pierre Musso, 1950-):サン・シモンにおけるネットワーク(réseau)概念の研究(博士論文)から出発し、サン・シモンとサン・シモン主義の研究をはじめ、メディア論、テレコミュニケーション論、政治のメディア利用などを手掛ける。 Wiki…

啓蒙主義時代の「機械」イメージ

>> 技芸とは自然の産物であるという意味では天体や植物や動物と同じだが、それ自身で「逸脱」、「誤謬」をつくりあげている以上、奇蹟とおなじ種類の産物なのである。[…]それゆえ、「技芸の驚異」である靴下織り機もそれなりに「怪物」であり「奇蹟」なの…

・シャルル・ボードレール(1821-1867)のダンディ論 ダンディスムとは一個の漠然たる制度、決闘と同じほど奇異な制度である。[…]ダンディスムは、法の外の制度でありつつ、自ら厳しい法をもち、その権威に服する以上誰しも、他方いかに血の気の多く独立不…

・ゲオルク・ジンメル(1858年-1918、独の哲学者・社会学者)「女性と流行」1908年 流行においては、一様性衝動つまり模倣への衝動と、個性化衝動つまり突出への衝動とがきわだった形で同時的に現れている。一般に女性たちは流行へのこだわりが強いものだが…

・ボードレール『現代生活の画家』(初出1863年)収録のエッセイ「化粧礼讃(Eloge du maquillage)」より ゆえに流行[ルビ:モード]とは、人間の脳髄の中で、自然な生命がそこに積み上げる粗野なもの、地上的なもの、不潔なものすべての上に浮かび残る、理…

「図書館」という空間

・ヴァールブルクの図書館:「良き隣人の法則」 ・ボルヘスの図書館 ・19世紀の図書館一般:書庫と閲覧室の分離。収納数の増大と図書分類法、機能主義。・今日の巨大アーカイヴズ(日本国立国会図書館、フランスのBnFなど):情報ネットワークによる検索シス…

アートフル・サイエンス―啓蒙時代の娯楽と凋落する視覚教育作者: バーバラ・M.スタフォード,Barbara Maria Stafford,高山宏出版社/メーカー: 産業図書発売日: 1997/03/01メディア: 単行本 クリック: 17回この商品を含むブログ (17件) を見る 論理が気紛れに…

理神論の時代のピュグマリオン・イメージ復活について

ピュグマリオン効果―シミュラークルの歴史人類学作者: ヴィクトル・I.ストイキツァ,Victor I. Stoichita,松原知生出版社/メーカー: ありな書房発売日: 2006/06メディア: 単行本 クリック: 32回この商品を含むブログ (8件) を見る 18世紀において、生ける彫像…

本日は、白井秀和氏のルドゥ註釈で言及されていたJames Stevens Curlの著『The Egyptian Revival』を検分。 要は、ルドゥの(その奇矯さで有名な)建築図「ブザンソンの劇場への一瞥」が、アルベルティの肖像コイン(15世紀半ば制作)裏面に彫られた「翼を持…

国立新美術館のアンドレア・グルスキー展(http://gursky.jp/)とアメリカン・ポップ・アート展(http://www.nact.jp/exhibition_special/2013/american_pop_art/index.html)へ。 グルスキー展はartscapeに掲載された展評(http://artscape.jp/focus/100892…

ユートピア的身体/ヘテロトピア (叢書言語の政治)作者: ミシェルフーコー,Michel Foucault,佐藤嘉幸出版社/メーカー: 水声社発売日: 2013/06メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見るフーコーの「ユートピア的身体」(初出はラジオ局「フランス・…

身体の分節化/運動する身体

『百科全書』の図版集に収められた、デッサン用マネキンの図。ジャック・プルーストによる解説は以下の通り。 組み立てた人台とそれを種々の部分に分けたもの。人台は銅、鉄、コルクあるいは髪の毛で作り、セーム革で覆う。第3図[上図の左]の点線で示した…

ディドロやグーシエにとっては、また、アンシクロペディスト一般にとっては、世界は全く解読が可能な、開かれた大きな書物なのだ。その書物がそれ以前に「解読され」なかったのは、あまりにも多くの偏見から書物が「開かれる」のを妨げられていたからであり…

フランス百科全書絵引作者: ジャック・プルースト出版社/メーカー: 平凡社発売日: 1985/09メディア: 大型本 クリック: 1回この商品を含むブログを見る

memorunda

☆ルドゥとフリーメイソンについてルドゥー「建築論」註解〈2〉作者: 白井秀和出版社/メーカー: 中央公論美術出版発売日: 1994/11メディア: 大型本この商品を含むブログを見る上掲書第II巻87ページ、白井秀和氏による本文訳註12より。 ・製塩工場の監督官邸第…

時計と時間の共有・個別化・占有

Modernityにおける、時計の形態の変化と時間の個別化というテーマについて。共同体の中心である教会が支配していた時間が、家庭ごとの大時計になり、懐中時計の普及によって個人化していく、その途中で鉄道や工場が管理する「時間割」が登場するというプロセ…

ワタリウム美術館で開催中の寺山修司展「ノック」(http://www.watarium.co.jp/exhibition/1307terayama/)へ。寺山というと、今となってはあまりにも「ある種の紋切り型」として消費されてしまっている人物だが、中学生時代の学級新聞から後年の様々な舞台…

東京国立近代美術館で今日が最終日だった小企画展、「都市の無意識」(http://www.momat.go.jp/Honkan/unconsciousness_of_the_city/)へ。 所蔵品のみを使った展示室1室分の規模だが、都市を表した/切り取った絵画・写真・映像を「アンダーグラウンド」、…

世界の認識と書物の形式

ボディ・クリティシズム―啓蒙時代のアートと医学における見えざるもののイメージ化作者: バーバラ・M.スタフォード,Barbara Maria Stafford,高山宏出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2006/12/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブ…

切り貼りされた草稿とメタ・イメージ

絵を書く作者: マリアンヌシモン=及川,Marianne Simon‐Oikawa出版社/メーカー: 水声社発売日: 2012/07/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る何かヒントが転がっていないかと捲ってみた『絵を書く』、桑田光平氏の論考「メディウムとしての写…

リベルタン的性愛文学の本文と挿絵

女哲学者テレーズ作者: 関谷一彦出版社/メーカー: 人文書院発売日: 2010/12/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る訳者解説がなかなか充実している。この書の神に対するスタンスが理神論に近いこと、ラ・メトリ『人間…

欲望の対象としての身体描写と「断片化された身体」

☆16世紀:ペトラルカ『カンツォニエーレ』およびルネサンスの美人論 裸性 (イタリア現代思想)作者: ジョルジョ・アガンベン,岡田温司,栗原俊秀出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2012/05/27メディア: 単行本 クリック: 13回この商品を含むブログ (10件) を見る…

人形の関節についての覚書

☆ハンス・ベルメールと「イメージの解剖学」 ベルメールがインスピレーションを得たという、16世紀の「デューラー派」による木製球体関節人形について、Sue Taylorの『Hans Bellmer: the Anatomy of Anxiety』(MIT Press, 2000)に図版が掲載されていた。 …

破壊者としての時/クロノス

出典:パノフスキー『イコノロジー研究』上巻、ちくま学芸文庫。イコノロジー研究〈上〉 (ちくま学芸文庫)作者: エルヴィンパノフスキー,Erwin Panofsky,浅野徹,塚田孝雄,福部信敏,阿天坊耀,永沢峻出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2002/11/01メディア: 文…

技術が担保する「人形」とその隣接領域について。☆ルネサンス期の奉納蝋人形(ex voto)の技術が、18世紀後半には蝋製解剖学模型(ムラージュ、ラ・スペコラ博物館やサン・ルイ病院のものが有名)の分野に流入したことはよく知られているけれど、ラ・スペコ…