2011-01-01から1年間の記事一覧

書物について―その形而下学と形而上学作者: 清水徹出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2001/07/25メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 29回この商品を含むブログ (10件) を見る再読中。 いくつか、メモ代りに抜き書きを。 書物は、その物質性と切りはなせな…

最近見た映画メモ二十四時間の情事 [DVD]出版社/メーカー: IVC,Ltd.(VC)(D)発売日: 2009/02/20メディア: DVD購入: 2人 クリック: 19回この商品を含むブログ (24件) を見る・アラン・レネ『ヒロシマ・モナムール』 1945年のヒロシマの再現でも、撮影当時の広…

都市の解剖学―建築/身体の剥離・斬首・腐爛作者: 小澤京子,田中純出版社/メーカー: ありな書房発売日: 2011/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 199回この商品を含むブログ (9件) を見る拙著がついに刊行となりました。私にとっては、思考と文筆を業とす…

思考の屑篭

書物としての建築物 ユゴーによる長篇『ノートルダム・ド・パリ』は、建築物の表面に刻まれた文字の描写から始まる。 ◇引用開始 五、六年まえのことだが、この物語の作者がノートル=ダム大聖堂を訪れたとき――いや、さぐりまわったときと言ったほうがいいか…

Urban Poetics

フランクフルトの街。 http://f.hatena.ne.jp/baby-alone/Frankfurt/5月のドイツはすでに美しい初夏で、ラピスラズリ色の空の下、薔薇は様々な形と色で咲き、蜜蜂が陽気な音楽を奏でていた。

気分はサイボーグ作者: 原 克出版社/メーカー: 角川学芸出版発売日: 2010/06/25メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (3件) を見る身体補完計画 すべてはサイボーグになる作者: 原克出版社/メーカー: 青土社発売日: 2010/08/20メデ…

思考の屑篭――人体廃墟

比較的記憶に新しい例で言うならば、阪神大震災で破壊した都市や、テロにより崩落するワールド・トレード・センターなども、典型的な「瞬時的廃墟」である。しかしこれらの対象は、「記録写真」に収められることはあっても、「美的な表現」に回収されること…

埼玉大学教養学部

ヨーロッパ文化特殊講義第11回:表層との戯れ――鏡・顔・自己イメージの複数化 (リンク先の確認日はすべて2011年7月8日) 0.導入 [映像]森村泰昌《なにものかへのレクイエム:戦場の頂上の芸術(MISHIMA)》2010年。 http://www.youtube.com/watch?v=_4Aj…

近代都市パリの誕生---鉄道・メトロ時代の熱狂 (河出ブックス)作者: 北河大次郎出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2010/06/11メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 21回この商品を含むブログ (12件) を見る「近代都市パリ」の形成史に関…

梅毒の文学史作者: 寺田光徳出版社/メーカー: 平凡社発売日: 1999/04/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (3件) を見る糜爛の皮膚、崩落する顔 年齢を重ねて当然朽ち果てていてもいいはずの、けだものめき、白い粉を吹きだした…

十八世紀の恐怖―言説・表象・実践 (叢書・ウニベルシタス)作者: ジャックベールシュトルド,ミシェルポレ,Jacques Berchtold,Michel Porret,飯野和夫,中島ひかる,田所光男出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2003/12メディア: 単行本 クリック: 19回この…

埼玉大学ヨーロッパ文化特殊講義

書物の中の都市/書物としての都市―ルドゥー、サド、ビュトール(先週の続き) ★ナラティヴの空間性と時間性:ヌーヴォー・ロマンとの比較 ヌーヴォー・ロマン(ビュトール)作品:作中の登場人物が都市空間を彷徨・旅行する→語りによって、作中に都市空間が…

岩石の摩滅や肉体の衰耗などに見られるこのような腐蝕は、人間の働きを思い起こさせる。古ぼけた壁に出来るあのしみやかびは――それらは、レオナルドにとっては、ほんのちょっとした断片のなかに認識されるべき或るひとつの世界の「部分」なのだ――われわれに…

埼玉大学ヨーロッパ文化特殊講義

第5回:書物の中の都市/書物としての都市―ルドゥー、サド、ビュトール書物について―その形而下学と形而上学作者: 清水徹出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2001/07/25メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 29回この商品を含むブログ (10件) を見る1)視覚に…

フランクフルトで開催された、第9回エコール・ド・プランタンに参加してきました。報告はこちらに→http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/blog/2011/05/post-452/

埼玉大学ヨーロッパ文化特殊講義

第4回:記憶装置(みんなのメモ帳)としての都市空間都市空間に蓄積されていく個人的・集合的記憶/その忘却と想起をめぐる表象の4類型 1.地層に累積した記憶を、イメージとして召還する試み:ピラネージの「古代ローマ」 ※ジョヴァンニ・バッティスタ・ピ…

埼玉大学ヨーロッパ文化特殊講義

第3回:異時間都市の考古学――カミッロ、カナレット、ピラネージ 【講義概要・図版情報】 1.記憶の場としての劇場空間と都市 古代の記憶術=場所/イメージと記憶との結合。一連の「文章」を暗記するための手法である→想像内の建築物を「正しい順序で」巡り…

「土居義岳のリハビリ建築ブログ」上に記載された、磯崎=浅田対談の抜粋。リスボン大震災がもたらしたものについての言及もあり。 http://patamax.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/any1991-2008-16.html

埼玉大学ヨーロッパ文化特殊講義

第2回:廃墟の表象史――ノスタルジーとカタストロフィー 【講義の概要・図版情報】 [画像]Yves Marchant & Romain Meffre 《Loew’s Palace Theater, Bridgeport》2000年代後半。 (公式サイト:http://www.marchandmeffre.com/index.html(2011年4月22日閲…

この4月から半期の間、埼玉大学で「ヨーロッパ文化特殊講義」を担当することになった。講義レジュメをウェブ公開することには、それなりのデメリットもあるだろうが(情報に簡単にフリーライドできてしまうため、授業料を支払い真面目に講義に出席している学…

埼玉大学ヨーロッパ文化特殊講義

この日は講義シラバスの説明を、数枚の図版とともに行う。【テーマ】 ヨーロッパ近代における「空間」と「身体」の表象史【授業科目の到達目標】 文化的な諸現象・表象に対して、分析的・批評的な視点から考察し、記述することの基礎的な訓練を行う。また、…

カタストロフィの表象

別に震災に触発されたわけではなく、余りにも延び延びになっている単著企画を一気に進めるために、ここしばらくは「1755年のリスボン大地震」と「ディザスターによってもたらされた死の表象」について、集中して調べている。後者に関して、屍体専門の写真家…

思考の屑篭

祝祭的建築について 一.エフェメラル・アーキテクチャー 本来は永続性を担保された存在である建築物に「瞬間性」を付与する試みは、「廃墟」とはまた異なる形態を採ることもあった。アンシャン・レジーム期から革命祭典に至るまでしきりに造成された、祝祭…

盗まれた手の事件―肉体の法制史 (りぶらりあ選書)作者: ジャン=ピエールボー,Jean‐Pierre Baud,野上博義出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2004/07/01メディア: 単行本 クリック: 13回この商品を含むブログ (2件) を見る身体のフランス文学―ラブレーか…

人体廃墟

クラッシュ 《ヘア解禁ニューマスター版》 [DVD]出版社/メーカー: 日活発売日: 2007/05/25メディア: DVD購入: 3人 クリック: 134回この商品を含むブログ (43件) を見る「人体廃墟」について考えながらクローネンバーグの『クラッシュ』を観た。96年作にして…

絵画をいかに味わうか作者: ヴィクトル・I.ストイキツア,岡田温司,松原知生;喜多村明星;大橋完太郎出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2010/11/24メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (3件) を見るユベール・ロベールによる、予め廃墟化した…

時間・欲望・恐怖―歴史学と感覚の人類学作者: アラン・コルバン,小倉孝誠出版社/メーカー: 藤原書店発売日: 1993/07/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (1件) を見る時間、家事労働、衛生と性といったものが、19世紀のフランス…

身体の歴史 1 〔16-18世紀 ルネサンスから啓蒙時代まで〕 (身体の歴史(全3巻))作者: ジャック・ジェリス,ニコル・ペルグラン,サラ・F・マシューズ=グリーコ,ラファエル・マンドレシ,ロイ・ポーター,ダニエル・アラス,A・コルバン,J-J・クルティーヌ,G・ヴ…

Bonne Année 2011

松も明けて、2011年も本格的な稼働が始まった感がある。 2010年は、3回の国際学会発表(ソウル、北京、シェフィールド)、自主企画シンポジウムの成功、学会誌『表象』への論文掲載決定(第5号、3月刊行予定)、単著企画の進行と、未踏の領域に挑戦できた一…