身体

表象文化論学会第17回大会で「ままならない身体」パネルを実施します(7/9(日))

2023年7月8日(土)・9日(日)に開催される表象文化論学会第17回大会(東京大学駒場キャンパス)にて、「「ままならない身体」をめぐる思考と実践」と題したパネルを実施します(小澤は企画と当日の司会を務めます)。一部に来場者参加型のワークショップも…

2022年度前半に刊行されたもの

だいぶアナクロニックになってしまったものもありますが、2022年前半に刊行された拙稿です。 クリティカル・ワード ファッションスタディーズ フィルムアート社 Amazon 蘆田裕史・藤嶋陽子・宮脇千絵編著『クリティカル・ワード ファッションスタディーズ』…

【メモ】 享楽社会論: 現代ラカン派の展開 作者:松本 卓也 人文書院 Amazon 松本卓也『享楽社会論』から。 ラカン派の精神分析家、ジャック=アラン・ミレールは、「普通精神病」という新たな用語を提唱するに際して、興味深いことを言っている。前提としてミ…

これもふと思い浮かんだこと。川端康成の『片腕』に、テオフィル・ゴーティエの『ミイラの足』の影響はなかったのだろうか?(CiNiiやGoogle Scholarも含め、ざっとインターネット検索した限りでは情報が出てこない) ゴーティエの身体断片が(亡霊という形…

【メモ】活人画(tableau vivant)について 18世紀半ばには、フランスを中心に活人画が流行したという。西村清和は、この活人画ブームを、同時代のピグマリオン神話への関心や、古代彫刻に人工照明を当て生きているかのように見せる趣向の流行などとともに、…

もっとも忘却されている異郷とは、われわれの身体、自分自身の身体なのである。 ヴァルター・ベンヤミン「フランツ・カフカ」

マネキン製造の七彩が開設したマネキン・ミュージアム(大阪)のサイト。国内のマネキン製造の歴史をたどるためのオンライン・アーカイヴズとしても充実している。 http://www.nanasai.co.jp/sai/index.html 京都服飾文化研究財団の「時代別のモードが要請す…

眼と視覚、あるいは盲目性

恵比寿のLa librairie 6(シス書店)で開催中の「アンドレ・ブルトン 没後50年記念」展(http://librairie6.exblog.jp/23304674/)で買い求めた書籍のうちの一つ、塚原史『ダダ・シュルレアリスムの時代』から、バタイユと眼(盲目の眼)についての抜き書き。…

動物を追う、ゆえに私は〈動物で〉ある (単行本)作者: ジャック・デリダ,鵜飼哲,マリ=ルイーズ・マレ出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2014/11/05メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る 獣たち固有のものとは、そしてそれらを人間から最終的に…

締切仕事2本が未だ終わっていないけれど、よく晴れた冬の日の今日はワタリウム美術館の「磯崎新 12×5=60」展(http://www.watarium.co.jp/museumcontents.html)、それからトラウマリスで開催中の「片山真理展 You're Mine」(http://traumaris.jp/space/)…

今日が最終日だったヴァニラ画廊の「オリエント工業 人造乙女博覧会IV」へ。 会場で気付いたのは、まず「ラヴ・ドール」たちが妙に曖昧な表情をしているということ(ラ・スペコラの解剖学のヴィーナスなどを連想した)。人形の保有者が、あらゆる感情や意味…

着衣と裸体、半裸体――バタイユによるサド

エロティシズム (ジョルジュ・バタイユ著作集)作者: ジョルジュ・バタイユ,澁沢龍彦出版社/メーカー: 二見書房発売日: 1973/03/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 私たちにとってエロティックな過剰を思い出させる局面は、必ず一種の無秩…

メモ:ピュグマリオン伝説における「接触」と「見ること」

オウィディウス『変身物語』が伝えるキュプロス王ピュグマリオンの伝説 彼女たち[引用者註:ウェヌス神への不敬から史上初の売春婦にされ、最後は石へと変えられたプロポイトスの娘たち]が汚辱のうちに生活を送っているのを見たのが、ピュグマリオンだった…

そごう美術館(そごう横浜店6F)で開催中の「SIMON DOLL 四谷シモン」展に、漸く足を運ぶ。ずっと見たいと思っていた、氏の全活動年代を通した人形作品の数々と対面する。写真で見たのでは分からないディテールやマチエールまで具に観察できて、色々と新鮮な…

Absolute Nudity

サンドロ・ボッティチェッリ《ナスタージョ・デッリ・オネスティの物語》 1482-83年 アルブレヒト・デューラー 《測定教義》 1527年頃 マルコ・ダグラーテ 《聖バルトロマイ》 1562年、ミラノ大聖堂 オノレ・フラゴナール 「馬と騎手のエコルシェ」 1766-71…

人形、機械、人造人間、人工生命の系譜

以下の書籍巻末に付された「人造美女編年史」を参考にしつつ加筆したものです人造美女は可能か?作者: 巽孝之,荻野アンナ出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会発売日: 2006/08/30メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (19件) を見る図版パワ…

欲望の対象、模倣の範型としての男性身体:J.J. ヴィンケルマンと三島由紀夫における男性美

講義や論考の準備のために、昨冬オルセーで開催されたテーマ展『Masculin/Masculin』図録(http://www.boutiquesdemusees.fr/fr/boutiques/musee-orsay/masculin-masculin/6224.html)に収められたC. Dantzigの論考、「偉大な不在:文学における男性裸体」に…

身体の分節化/運動する身体

『百科全書』の図版集に収められた、デッサン用マネキンの図。ジャック・プルーストによる解説は以下の通り。 組み立てた人台とそれを種々の部分に分けたもの。人台は銅、鉄、コルクあるいは髪の毛で作り、セーム革で覆う。第3図[上図の左]の点線で示した…

欲望の対象としての身体描写と「断片化された身体」

☆16世紀:ペトラルカ『カンツォニエーレ』およびルネサンスの美人論 裸性 (イタリア現代思想)作者: ジョルジョ・アガンベン,岡田温司,栗原俊秀出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2012/05/27メディア: 単行本 クリック: 13回この商品を含むブログ (10件) を見る…

人形の関節についての覚書

☆ハンス・ベルメールと「イメージの解剖学」 ベルメールがインスピレーションを得たという、16世紀の「デューラー派」による木製球体関節人形について、Sue Taylorの『Hans Bellmer: the Anatomy of Anxiety』(MIT Press, 2000)に図版が掲載されていた。 …

技術が担保する「人形」とその隣接領域について。☆ルネサンス期の奉納蝋人形(ex voto)の技術が、18世紀後半には蝋製解剖学模型(ムラージュ、ラ・スペコラ博物館やサン・ルイ病院のものが有名)の分野に流入したことはよく知られているけれど、ラ・スペコ…

18世紀の身体と性の管理

知への意志 (性の歴史)作者: ミシェル・フーコー,渡辺守章,Michel Foucault出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1986/09/01メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 69回この商品を含むブログ (97件) を見る 18世紀における権力の技術にとって大きな新しい様相の一…

人造人間の系譜学

ゴーレムの生命論 (平凡社新書)作者: 金森修出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2010/10/16メディア: 新書購入: 1人 クリック: 39回この商品を含むブログ (24件) を見る 第一部 ゴーレムの伝説 第一章 伝説の歴史的点描 第二章 人間化するゴーレム 第二部 〈怪…

機械としての身体、ないし超男性

サド『ソドムの百二十日』に登場するブランジ公爵のエピソードより。 ソドムの百二十日作者: マルキドサド,Donatien‐Alphonse‐Francois de Sade,佐藤晴夫出版社/メーカー: 青土社発売日: 2002/07/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 11回この商品を含む…

分断された身体について

裸性 (イタリア現代思想)作者: ジョルジョ・アガンベン,岡田温司,栗原俊秀出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2012/05/27メディア: 単行本 クリック: 13回この商品を含むブログ (10件) を見るアガンベン『裸性』の訳者解題(栗原俊秀氏による)では、ペトラルカ…

ミッシェル・カルージュ『独身者の機械 未来のイヴ、さえも……』高山宏・森永徹訳、ありな書房、1991年。 目次 はじめに 序論:近代神話を探る」 1:偉大な機械愛好家と彼らの機械」 マルセル・デュシャンとフランツ・カフカ 1975年のノート レーモン・ルーセ…

身体コントロールを通じた自己実現――自分磨きという幻想について

とりわけ先進国の多くの女性にとって、「自分磨き」(「自分」という中性的で抽象的な言葉を使いつつも、「自分磨き」の実質はほとんどの場合が「外見磨き」である)がなぜこれだけの強迫観念になっているのか、やっと個人的に納得のいく記述に出会った。ジ…

ファッションの批評誌『fashionista』001号刊行

発売早々(いや、発売以前から)各所で大反響だった、日本初の本格的なファッション批評誌がついに刊行されました!私もTHEATREPRODUCTSについてのcritical essayを寄稿しております。 fashionista公式サイト:http://fashionista-mag.blogspot.com/ fashion…

カタストロフィの表象

別に震災に触発されたわけではなく、余りにも延び延びになっている単著企画を一気に進めるために、ここしばらくは「1755年のリスボン大地震」と「ディザスターによってもたらされた死の表象」について、集中して調べている。後者に関して、屍体専門の写真家…

盗まれた手の事件―肉体の法制史 (りぶらりあ選書)作者: ジャン=ピエールボー,Jean‐Pierre Baud,野上博義出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2004/07/01メディア: 単行本 クリック: 13回この商品を含むブログ (2件) を見る身体のフランス文学―ラブレーか…