2012-01-01から1年間の記事一覧

シンポジウムのお知らせ

以下のシンポジウムに登壇します。 「ヴァールブルク美学・文化科学の可能性」 2012年12月22日(土)14:00〜18:00 東京大学駒場キャンパス 21KOMCEE 地下 1 階 MMホール(「ムネモシュネ・アトラス」展会場) *入場無料。ただし、入場者数の制限を行なう場…

モーリス・エマニュエル『人物像に基づく古代ギリシアの舞踏(La danse grecque antique d'après les monuments figurés)』1896年。 この書は、ダンカンやバレエ・リュスに代表される、舞踏におけるグリーク・リヴァイヴァルの嚆矢となった。古代ギリシア美術…

想起のかたち―記憶アートの歴史意識作者: 香川檀出版社/メーカー: 水声社発売日: 2012/11メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (4件) を見る本書で扱われている「場所と記憶」や「痕跡と過去の想起」は、以前から関心を寄せていたテーマ。特…

相対性コム デ ギャルソン論 ─なぜ私たちはコム デ ギャルソンを語るのか作者: 五十嵐太郎,浅子佳英,桑原茂一,柳本浩市,千葉雅也,菊田琢也,平芳裕子,小澤京子,坂牛卓,入江徹,森永邦彦,松田達,井伊あかり,永江朗,成実弘至,井上雅人,長谷川祐子,藤原徹平,本間…

ファッション批評関連トークのお知らせ

以下のイベントでトークいたします。ガーリーな方もガーリーでない方も。 Think of Fashion 002 keisuke kanda−「ガーリー」の突然変異 ファッションを考える会を開催します。ファッションのつくり手であるデザイナーに焦点をあてて、人々の装いについての文…

拙著が第3回表象文化論学会賞奨励賞を受賞いたしました。 http://repre.org/association/awards/post_2/ 第7回表象文化論学会大会 書評パネル「皮膚/表象としての建築/ファシズム」 http://repre.org/repre/vol16/conference07/kikaku/都市の解剖学―建築/…

思考の屑篭

☆ルドゥにおける「団結(union)」概念 「ショーの理想都市」は、産業(製塩)と自給自足を可能とする農業、さらには商業(街の中心の市場、また貯蓄庫や証券取引所などの金融期間)のシステムを備えた、自立的なコミューンとして構想されていた。この理想都…

思考の屑篭――フーリエの都市構想と労働観 ルドゥより一世代若いフーリエがそのユートピア構想に着手するのは、『建築論』の刊行より後のことである。1805-08年頃には理想的共同体についての叙述を始め、1817年以降は性的解放の果たされた社会を構想するよう…

啓蒙主義下の思想、制度とルドゥの理想都市構想

ルドゥにおける「団結(union)」概念について・人体構造における組織間の連結と国家における人民の団結 ・『百科全書』より、執筆担当はルソー(国家と有機体のアナロジー) ECONOMIE ou OECONOMIE, (Morale & Politique) ce mot vient de , maison, & de ,…

啓蒙の時代のポルノグラフィー

オルガスムの歴史作者: ロベールミュッシャンブレ,Robert Muchembled,山本規雄出版社/メーカー: 作品社発売日: 2006/07メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 40回この商品を含むブログ (8件) を見る このジャンル[マスターベーション禁止を訴える医学文書]…

ルドゥとの比較でサドを読むシリーズ(本当にシリーズ化するのかは不明)

『ソドム百二十日』における幾何学性・順列組合せソドムの百二十日作者: マルキドサド,Donatien‐Alphonse‐Francois de Sade,佐藤晴夫出版社/メーカー: 青土社発売日: 2002/07/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 11回この商品を含むブログ (11件) を見る…

『百科全書』と世界図絵作者: 鷲見洋一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2009/11/27メディア: 単行本 クリック: 18回この商品を含むブログ (10件) を見る 18世紀人にとっての世界図絵とはカタログであった。 (30ページ) 著者はその例として、以下のものを…

夕方から三菱一号館美術館のエドワード・バーン=ジョーンズ展(http://mimt.jp/bj/)へ。 私にとっては、「知的な分析や批評をしやすい(「問い」を立てやすい)」タイプの芸術家と、「幼心にとって好き」なタイプとがあるのだが、バーン=ジョーンズは後者で…

肉体作品―近代の語りにおける欲望の対象作者: ピーターブルックス,Peter Brooks,高田茂樹出版社/メーカー: 新曜社発売日: 2003/12/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (4件) を見る 近代の語りにおいて、肉体(特に女性の)はどの…

メディア文化とジェンダーの政治学―第三波フェミニズムの視点から作者: 田中東子出版社/メーカー: 世界思想社発売日: 2012/07/21メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 17回この商品を含むブログ (4件) を見るここしばらく、「男装女子」の系譜と欲望…

Georges Didi-Huberman, Ninfa Moderna, Paris: Gallimard, 2002. ニンフとその堕落について 聖人とその遺骸について モードとその着古しについて 街路とその地底について 歩道とその表現について アンフォルムなものとその襞について 終章:襤褸屋のミュー…

Georges Didi-Huberman, Écorces, Paris: Minuit, 2011. Écorces(樹皮) Bouleaux(白樺) Pancarte(プラカード) Boutique(売店) Barbelés(有刺鉄線) Murs(壁) Sols(地面) Mirador(監視塔) Horizon(地平線) Porte(扉) Chemin(道) Forêt(…

下記のブックフェアは無事に終了いたしました。ご来場頂いた皆さま、ありがとうございました。 なお、4名の選書リストは田中純先生のブログからダウンロード可能です。 →http://before-and-afterimages.jp/news2009/2012/07/post-170.html 【告知】 『ムネモ…

カルチュラル・ターン作者: フレドリックジェイムスン,Fredric Jameson,合庭惇,秦邦生,河野真太郎出版社/メーカー: 作品社発売日: 2006/08/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 18回この商品を含むブログ (25件) を見る「なにをいまさら」感の漂う選書か…

裸性 (イタリア現代思想)作者: ジョルジョ・アガンベン,岡田温司,栗原俊秀出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2012/05/27メディア: 単行本 クリック: 13回この商品を含むブログ (10件) を見る 創造と救済 同時代人とは何か? K 亡霊にかこまれて生きることの意…

建築の皮膚と衣裳をめぐって

[rakuten:book:12185681:detail]衣裳と建築の共振性を、同時代の建築とファッションの動向から論じた書。ヴァーグナー、ロース、ル・コルビュジエらは当然のように登場する。 一部分(Deep Skin)のみ邦訳が『10+1』のバックナンバーに収録されているらしい…

身体コントロールを通じた自己実現――自分磨きという幻想について

とりわけ先進国の多くの女性にとって、「自分磨き」(「自分」という中性的で抽象的な言葉を使いつつも、「自分磨き」の実質はほとんどの場合が「外見磨き」である)がなぜこれだけの強迫観念になっているのか、やっと個人的に納得のいく記述に出会った。ジ…

歪形するフレーム―絵画と映画の比較考察作者: パスカルボニゼール,Pascal Bonitzer,梅本洋一出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 1999/11/01メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (4件) を見る絵画と映画に共通する「境界」であり「パレルゴン…

文字の図像性

美術論集―アルチンボルドからポップ・アートまで作者: ロラン・バルト,沢崎浩平出版社/メーカー: みすず書房発売日: 1986/07/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 16回この商品を含むブログ (19件) を見る capital(大文字/柱頭)としての、Type(活字/…

東急Bunkamuraで開催中のクライドルフ展(http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/12_kreidolf.html)へ。小さな花や昆虫たちが擬人化されて、彼らなりの小さな世界で、様々な儀礼や社交を繰り広げつつ生きている。いつの間にか自分自身を追放してし…

表象文化論学会第7回大会(2012年7月7日(土)・8日(日)於:東京大学駒場キャンパス)では、下記のパネルに登壇します。8日 14:00-16:00 企画パネル:皮膚/表象としての建築/ファシズム──小澤京子『都市の解剖学』、鯖江秀樹『イタリア・ファシズムの芸…

ブックフェア「表象文化論のアトラス」、いよいよ開幕です。 まだ到着していない書籍も若干あるけれど、すべて並べてPOPも付けると壮観。 ヴィヴィアン・ガールズとソドム百二〇日が隣り合う。良き隣人の法則か、無意識的「悪意の迫真力」か。 解剖学的眼差…

信用できない語り手としてのvoyageur(旅行者)

VOYAGEUR (Hist. particul. des pays) celui qui fait des voyages par divers motifs, & qui, quelquefois en donne des relations ; mais c'est en cela que d'ordinaire les voyageurs usent de peu de fidélité. Ils ajoutent presque toujours aux chos…

ゼロ地点としての廃墟

ノスタルジーやメランコリーという「意味」のべったりと付着した「廃墟」ではなくて、かといって「表象不可能」と言われるほどの暴力や破壊や死の記憶が染み付いた場所としての廃墟でもない、建築という存在が解体される、あるいはゼロへと移行していくプロ…

記憶劇場/図書館/ミュージアム(講義のためのメモ)

アビ・ヴァールブルクの文化科学図書館(ロンドン大学ウォーバーグ研究所の母体) 「文庫の中にヴァールブルクは巣網の中の蜘蛛のように座っていた」(カール・ゲオルク・ハイゼ) ・「良き隣人の法則」 ・閲覧室兼ホールを楕円形にする:両極性、ケプラーに…