2004-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ほとんど画家

やがてリドヴィナは膝でいざることも、箱や椅子にしがみついて動くこともできず、ベッドのなかで寝たきりになったが、そういう状態が死ぬまで続いたのであった。脇腹の傷が癒着せずに、いっそう悪化し、そこに壊疽ができた。そして腐爛した腹の皮のしたから…

見たものすべてを言語化しようとする、偏執的なまでの情熱。 ユイスマンスの列挙癖について。 (宝石の名やら、モローやルドンの絵画のディスクリプションやら、珍奇で無気味な花々の細密な描写やら。)テオフィル・ゴーティエの執拗なまでの描写を前に真っ…

明治期日本の美術制度について 北澤憲昭『眼の神殿:「美術」受容史ノート』美術出版社、1989.(asin:4568201314) 北澤憲昭『境界の美術史 : 「美術」形成史ノート』ブリュッケ、2000.(asin:4434002147) 木下直之『美術という見世物:油絵茶屋の時代』平…

ヘテロトピアとアナロジー

ある種の失語症患者は、台(ターブル)の上におかれたいろいろな色の毛糸の束を、整合的なやり方で分けることができないという。[…] 彼らは、物がふつうに配分され名づけられるなめらかなこの空間に、粒状で断片的なおびただしい小領域をつくりだし、そこでは…