ルドゥー

拙著『ユートピア都市の書法:クロード=ニコラ・ルドゥの建築思想』法政大学出版局、2017年7月下旬に配本予定です。装幀は奥定泰之さんに手掛けていただきました。実物は銀箔を捺した部分が光ります。 法政大学出版局ウェブサイト:http://www.h-up.com/book…

お知らせ

私の博士論文「ユートピア都市の書法――クロード=ニコラ・ルドゥの建築思想」の公開審査日程が決定いたしました。 日時:7月26日(土)14時〜17時30分 場所:東京大学駒場キャンパス18号館コラボレーションルーム3 審査委員 福井大学教授 白井秀和先生 東京大…

啓蒙主義時代の「機械」イメージ

>> 技芸とは自然の産物であるという意味では天体や植物や動物と同じだが、それ自身で「逸脱」、「誤謬」をつくりあげている以上、奇蹟とおなじ種類の産物なのである。[…]それゆえ、「技芸の驚異」である靴下織り機もそれなりに「怪物」であり「奇蹟」なの…

理神論の時代のピュグマリオン・イメージ復活について

ピュグマリオン効果―シミュラークルの歴史人類学作者: ヴィクトル・I.ストイキツァ,Victor I. Stoichita,松原知生出版社/メーカー: ありな書房発売日: 2006/06メディア: 単行本 クリック: 32回この商品を含むブログ (8件) を見る 18世紀において、生ける彫像…

本日は、白井秀和氏のルドゥ註釈で言及されていたJames Stevens Curlの著『The Egyptian Revival』を検分。 要は、ルドゥの(その奇矯さで有名な)建築図「ブザンソンの劇場への一瞥」が、アルベルティの肖像コイン(15世紀半ば制作)裏面に彫られた「翼を持…

memorunda

☆ルドゥとフリーメイソンについてルドゥー「建築論」註解〈2〉作者: 白井秀和出版社/メーカー: 中央公論美術出版発売日: 1994/11メディア: 大型本この商品を含むブログを見る上掲書第II巻87ページ、白井秀和氏による本文訳註12より。 ・製塩工場の監督官邸第…

私のためのメモ:ユートピア都市の性愛

・性愛:『愛の新世界』(執筆から約150年後の1967年公刊、シモーヌ・ドゥヴー=オレスキエヴィッチ校訂)→本能の解放を肯定 c.f.従来の「ユートピア」構想:性愛とは厳格な倫理の下に厳密に管理されるべきもの。結婚・再生産と直結した性愛のみを肯定。 c.f.…

こちらのエントリ(http://d.hatena.ne.jp/baby-alone/20110618)とも関連する、ルドゥと国立土木学校(Ponts et Chaussés)との関係について。 ルドゥは1771年、ルイ15世より、ロレーヌとフランシュ=コンテ地方の製塩所監督官(commissaire aux salines)の…

18世紀の身体と性の管理

知への意志 (性の歴史)作者: ミシェル・フーコー,渡辺守章,Michel Foucault出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1986/09/01メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 69回この商品を含むブログ (97件) を見る 18世紀における権力の技術にとって大きな新しい様相の一…

啓蒙主義時代の「婚姻」観とサド、そしてルドゥ

ルドゥの「オイケマ」案(放蕩を通過儀礼として青年に経験させることで、道徳的な結婚へと導く)やサドとの関連で、啓蒙思想期の「婚姻」論をおおまかに押さえておきたいのだけど、下手な問いの立て方をすると迷宮から出てこられなくなりそうだ。 ひとまず自…

十八世紀の恐怖―言説・表象・実践 (叢書・ウニベルシタス)作者: ジャックベールシュトルド,ミシェルポレ,Jacques Berchtold,Michel Porret,飯野和夫,中島ひかる,田所光男出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2003/12メディア: 単行本 クリック: 19回この…

思考の屑篭

☆ルドゥにおける「団結(union)」概念 「ショーの理想都市」は、産業(製塩)と自給自足を可能とする農業、さらには商業(街の中心の市場、また貯蓄庫や証券取引所などの金融期間)のシステムを備えた、自立的なコミューンとして構想されていた。この理想都…

啓蒙主義下の思想、制度とルドゥの理想都市構想

ルドゥにおける「団結(union)」概念について・人体構造における組織間の連結と国家における人民の団結 ・『百科全書』より、執筆担当はルソー(国家と有機体のアナロジー) ECONOMIE ou OECONOMIE, (Morale & Politique) ce mot vient de , maison, & de ,…

啓蒙の時代のポルノグラフィー

オルガスムの歴史作者: ロベールミュッシャンブレ,Robert Muchembled,山本規雄出版社/メーカー: 作品社発売日: 2006/07メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 40回この商品を含むブログ (8件) を見る このジャンル[マスターベーション禁止を訴える医学文書]…

ルドゥとの比較でサドを読むシリーズ(本当にシリーズ化するのかは不明)

『ソドム百二十日』における幾何学性・順列組合せソドムの百二十日作者: マルキドサド,Donatien‐Alphonse‐Francois de Sade,佐藤晴夫出版社/メーカー: 青土社発売日: 2002/07/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 11回この商品を含むブログ (11件) を見る…

信用できない語り手としてのvoyageur(旅行者)

VOYAGEUR (Hist. particul. des pays) celui qui fait des voyages par divers motifs, & qui, quelquefois en donne des relations ; mais c'est en cela que d'ordinaire les voyageurs usent de peu de fidélité. Ils ajoutent presque toujours aux chos…

近代都市パリの誕生---鉄道・メトロ時代の熱狂 (河出ブックス)作者: 北河大次郎出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2010/06/11メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 21回この商品を含むブログ (12件) を見る「近代都市パリ」の形成史に関…

十八世紀の恐怖―言説・表象・実践 (叢書・ウニベルシタス)作者: ジャックベールシュトルド,ミシェルポレ,Jacques Berchtold,Michel Porret,飯野和夫,中島ひかる,田所光男出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2003/12メディア: 単行本 クリック: 19回この…

古典主義時代の性的情念

渡辺守章によれば、ラシーヌの独創は性的な「情念」を悲劇中の人物の中心に据えたことにある。サドのように露骨に「性」がその名で呼ばれることはないが、諸々の情念(政治権力に向かうものですら)が性的な根をもっていると渡辺は指摘する。そして、演劇に…

薄いヴェール

薄いヴェールは欲望を掻き立てる。女たちはすべてを拒みつつもすべてを受け入れる。まさしく薄布とは、神々の顕れなのである。というのも、薄布は快楽の源泉であり、快楽の糧なのだから。もっと言えば、薄布は建築芸術の後ろ盾であり、ときには、この芸術の…

マルキ・ド・サドはパリに閨房(boudoir)の建設を構想し、スケッチを残しているという(こちらのサイトの註16)。さて、このスケッチは何処で見られるのか……ひとまずフランス国立図書館のgalicaで検索してみたが、サドに関してはmanuscritやimageは収録され…

ルドゥーの同時代人サド(社会改革論者としての)

サドの『閨房哲学』(正確に訳すと「閨房の中の哲学」)読了。サドによる宗教観や社会観、その改革プログラムが、情熱的な長文で記述されている。『ソドム120日』も、構造的にはユートピア論であることも考え合わせると、サドはある意味では典型的な18世紀人…

断片的思考を留めた覚え書き

monstreとはmixteな存在であるとフーコーはコレージュ・ド・フランス講義『異常者たち』の中で言っている。これは18世紀のmonstre概念と照らし合わせても、適切な規定だろう。しかしまた「畸形」は、移行段階に存在する中間形態という性質も持ち合わせている…

フランス革命と芸術―1789年 理性の標章 (叢書・ウニベルシタス)作者: ジャンスタロバンスキー,井上尭裕出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 1989/08/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る1789年の革命によって爆発的に顕…

タイポグラフィーについて

http://www.miscellanees.com/h/haumont.htm

objet-livre

ルドゥーによる書籍の物質的な側面について。 1773年頃(仏革命による投獄以前)から、作品の版画化と刊行を企てる。リュック=ヴァンサン・ティエリーによる年刊パリ旅行案内に、この出版計画についての言及がある。(しかし、なんでパリガイドに?) 活字は…

http://www.amazon.fr/dp/2915547556/

imagery we never come to see is blind

以下は自分自身のための覚え書きとして。 残像のなかの建築―モダニズムの“終わり”に作者: 田中純出版社/メーカー: 未来社発売日: 1995/07/01メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (6件) を見るリンフェルトが扱う主題はルドゥーなどの〈革命…

ルドゥー『建築論』の「エクスの監獄」に関する部分では、死者の頭部からその性格や罪状が分かるとする解剖学者「トルナトリー(Tornatory)」が登場する。白井秀和氏による註解付き邦訳(『ルドゥー『建築論』註解』中央公論美術出版、1993年)の訳注では、…

ルドゥー関連の文献一覧

ルドゥーによる著作 Ledoux, Claude Nicolas, L’Architecture considérée sous le rapport de l’art, des mœurs et de la législation (1804), Paris : Hermann, 1997. Vidler, Anthony (introduction), C.N. Ledoux : L’Architecture Edition Ramée (1804),…