都市と建築のイメージ

テクストの地霊(ゲニウス・ロキ)に触れる

シュルレアリストのパリ・ガイド 作者:松本完治 エディション・イレーヌ Amazon アンドレ・ブルトンは、[…]パリの街路における偶然の出会い、いわゆる客観的偶然が起こり得る雰囲気のようなものを《偶発的なものの息づかい=Le vent de l'éventuel》と巧み…

第47回社会思想史学会フーリエ・セクションに行った

2022年10月16日(日)開催の社会思想史学会に赴き、フーリエ・セクションに参加。会場は専修大学生田キャンパス。地理的には神奈川県で、生田緑地の緑に囲まれたロケーション(すでに紅葉が始まっていた)。 大会案内:http://shst.jp/home/conference/ 大会…

「空気の流れ」と都市計画

■Richard Etlin, « L’air dans l’urbanisme des Lumières », dans Dix-huitième Siècle, n°9, 1977 ; Le sain et le malsain, p. 123-134. doi : https://doi.org/10.3406/dhs.1977.1119 ■Michel Foucault, Les Machines à guérir : aux origines de l'hôpit…

シャルル・フーリエ覚書

■Bibliothèque de l'école des chartes, Vol. 163, No. 1, janvier-juin 2005.ENTRE NOSTALGIE ET UTOPIE: RÉALITÉS ARCHITECTURALES ET ARTISTIQUES AUX XIXe ET XXe SIÈCLESPersée : https://www.persee.fr/issue/bec_0373-6237_2005_num_163_1 Marion Loi…

【メモ】同人誌『同時代』を刊行している「黒の会」の会報、「黒の会手帖」第14号(2021年11月)に寄稿したエッセイ「文学散歩というテクスト」から抜粋。 「文学散歩」それじたいが、テクストの創造的な解釈行為であり、一種の翻案や二次創作でもある。まず…

【メモ】同人誌『同時代』を刊行している「黒の会」の会報、「黒の会手帖」第14号(2021年11月)に寄稿したエッセイ「文学散歩というテクスト」から抜粋。 作品に基づいて、ある土地を徹底して歩き回ることは、新たなテクストをも生み出す。たとえば川本三郎…

都市というテクストと作品というコンテクストの相互作用

ウェブ検索でたまたま見つけた次の論文、「都市というテクストのコンテクストとしての作品」という視点が提示されていて、示唆を受ける。 渡辺裕「「文学散歩」と都市の記憶 : 本郷・無縁坂をめぐる言説史研究」、『美学藝術学研究』第35号、東京大学大学院…

荷風と東京(上) 『断腸亭日常』私註 (岩波現代文庫) 作者:川本 三郎 岩波書店 Amazon 荷風と東京(下) 『断腸亭日常』私註 (岩波現代文庫) 作者:川本 三郎 岩波書店 Amazon 川本三郎『荷風と東京』文庫版上下2巻が届いた。荷風には「江戸的なものに固執し、モ…

朝日新聞夕刊のリレー連載「にじいろの議」に寄稿いたしました。「空想散歩の歴史をたどる:居室から広がる「体験」」と題して、コロナ禍で一気に普及したヴァーチュアルヴィジットから、空想旅行や空想美術館の系譜を辿ります。https://digital.asahi.com/a…

高梨豊の写真集『地名論 genius loci, tokyo』(毎日コミュニケーションズ、2000年)を購入した。 一九九四年からはじめたこのシリーズは、「地名」をたよりに始められた。町の名であり、川の名であり、橋の名であり、坂の名前である。本郷ならば「森川町」…

去年マリエンバートで 4Kデジタル修復版 [Blu-ray] デルフィーヌ・セイリグ Amazon 『去年マリエンバートで』の映画の構造は、男Xが語る邸館の室内や庭園の構造と呼応しているように思われる。 「そしてまた、私は歩いたのです。ただひとり、あの同じ廊下づ…

オンラインシンポジウム「テクストを建てる、イメージを歩く」(9/12)開催報告

9/12オンラインシンポジウム「テクストを建てる/イメージを歩く」の報告が、勤務先大学のウェブサイトに掲載されました。https://www.wayo.ac.jp/academics/ja_cul/nihonbungaku_blog/tabid/312/Default.aspx?EntryID=1350 「参加したかったが叶わなかった…

旅としてのテクスト、庭園としてのテクスト 森のバルコニー・狭い水路 (白水社世界の文学) 作者:ジュリアン・グラック,中島昭和 メディア: 単行本 旅――帰還を念頭に置かない旅だけがもろもろの生の扉をわれわれに開き、真にわれわれの人生を変革させうるもの…

街道手帖 (シュルレアリスムの本棚) 作者:ジュリアン グラック 発売日: 2014/08/01 メディア: 単行本 この本を構成するメモが扱う街道は、もちろん地上の風景を横切り、つなぐ街道である。しかし、それはときには夢の街道であり、しばしば記憶の街道でもある…

安部公房と都市。1960年代から70年代にかけての、日本における「住宅」をめぐる言説との関係はどうなのだろうか? そういえば『燃えつきた地図』は、一種の「団地小説」でもある。 都市との距離という問題は、1960年代後半から70年代前半においては建築に限…

日本における「建築書」の系譜(work in progress) ・平政隆『愚子見記』全9冊、1683(天和3)年(1669年以前から執筆開始)。法隆寺の工匠(大工棟梁)による技術書。内裏や諸社寺の建物の形状や寸法、建築費の積算、工事仕様なども記す。宮大工の扱う建築…

廃棄の文化誌 新装版―ゴミと資源のあいだ 作者: ケヴィン・リンチ,有岡孝,駒川義隆 出版社/メーカー: 工作舎 発売日: 2008/02/25 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 44回 この商品を含むブログ (3件) を見る 廃棄の文化誌―ゴミと資源のあいだ 作者: ケヴ…

とある必要があって、というと勿体ぶった感じだが、「1980年代の日本のサブカルチャーに現れた「遺棄された場所(abandoned places)」のイメージ」というテーマで論文を書くうえでの資料として、1980年代の東京グランギニョルの戯曲を読んでいる(『マーキ…

遺棄された場所について 机周りの片付け中、書棚に戻そうとしてふと中を開いたところ、「abandoned places」論の参考になりそうな章を見つけた。「「空隙都市」東京」と題されたこの論考(初出『JA』1992年)では、経済成長の結果として東京に生まれた特異な…

アラン・レネ『去年マリエンバードで』を観る。冒頭のナレーションとカメラワークからして、圧倒的な「建築映画」だ。壁面を伝うロカイユ模様や格間の装飾のクロースアップ、たびたび映し出される庭園の透視図、鏡の間、そして整形庭園。ドラマを繰り広げる…

拙論「世界解釈、世界構築としての建築の図的表現:J. -N. -L.デュランの『比較建築図集』と『建築講義要録』から」がリポジトリ公開されました。2017年と2018年の表象文化論学会大会での口頭発表を加筆修正したものです。 permalink:http://doi.org/10.189…

遺棄された場所についての覚書 動いている庭 作者: ジル・クレマン,山内朋樹 出版社/メーカー: みすず書房 発売日: 2015/02/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 荒れ地の語源についての見解は共通している。1872年刊行の『19世紀世界大辞典』に…

J.-N.-L. デュランについての紀要論文のために、昨年8月にTweetしたメモを再掲。 テラン・ヴァーグ概念で有名なイグナシ・デ・ソラ=モラレス、J.N.L. デュランについての論文も書いていた☞https://www.jstor.org/stable/1567112 理性主義(ポリテク)と折衷…

渋谷区立松濤美術館の「終わりの向こうへ:廃墟の美術史」展へ。普段複製で見慣れた廃墟画の実物の筆跡や細部をじっくり検分できたのと、日本の洋画家壇で1930年代に専ら古代ローマ風の廃墟ブームがあったと知れたのが良かった。明治期の古代ギリシア・ロー…

フランス革命後の国家的英雄と建築(「著名性」シンポジウム準備)

参考文献 ・James A. Leith, Space and Revolution : Projects for Monuments, Squares, and Public Buildings in France 1789-1799, Montreal: McGill-Queen's University Press, 1991. (Ch. 4: Temples for the nation and its heroes). 自宅 ブレ他の建築…

文献メモ

丹羽和彦「エコール・ポリテクニクにおける初期の建築教育とデュラン:J.-N.-L.デュランの建築教育の理論的特質に関する研究(1)」、『日本建築学会計画系論文報告集』第412号、1990年6月、153-163ページ。 丹羽和彦「教育プログラムからみたエコール・ポリテ…

デュランのことを調べていて1818年のエコール・ポリテクニークの時間割に行き当たり、ふとemploi du tempsという概念が登場するのはいつからなのだろうと考える。ひとまずオンライン検索したら、こんな書籍が引っかかってきた。 https://books.google.co.jp/…

近代国家の首都[ルビ:キャピタル]の条件を正確に把握していないと〈ミュゼアム〉の意味が浮かんでこない。パリ、北京、東京を比較して、ここに故宮、中央広場、国家的慰霊施設・国会、それに神殿が加わる。故宮が〈ミュゼアム〉になる。ルーブル、北京の…

ストローブ=ユイレ──シネマの絶対に向けて作者: 渋谷哲也,サリーシャフトウ,小澤京子,千葉文夫,中尾拓哉,伊藤はに子,筒井武文,赤坂太輔,竹峰義和,中島裕昭,金子遊,持田睦,堀潤之,細川晋出版社/メーカー: 森話社発売日: 2018/01/30メディア: 単行本この商品…

10+1 web site(http://10plus1.jp )の「特集ブック・レビュー2018」に、「シークエンシャルな建築経験と(しての)テクスト――鈴木了二『ユートピアへのシークエンス』ほか」を寄稿いたしました。 http://10plus1.jp/monthly/2018/01/issue-08.php 漫ろ歩き…