都市と建築のイメージ

安部公房と都市。1960年代から70年代にかけての、日本における「住宅」をめぐる言説との関係はどうなのだろうか? そういえば『燃えつきた地図』は、一種の「団地小説」でもある。 都市との距離という問題は、1960年代後半から70年代前半においては建築に限…

日本における「建築書」の系譜(work in progress) ・平政隆『愚子見記』全9冊、1683(天和3)年(1669年以前から執筆開始)。法隆寺の工匠(大工棟梁)による技術書。内裏や諸社寺の建物の形状や寸法、建築費の積算、工事仕様なども記す。宮大工の扱う建築…

廃棄の文化誌 新装版―ゴミと資源のあいだ 作者: ケヴィン・リンチ,有岡孝,駒川義隆 出版社/メーカー: 工作舎 発売日: 2008/02/25 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 44回 この商品を含むブログ (3件) を見る 廃棄の文化誌―ゴミと資源のあいだ 作者: ケヴ…

とある必要があって、というと勿体ぶった感じだが、「1980年代の日本のサブカルチャーに現れた「遺棄された場所(abandoned places)」のイメージ」というテーマで論文を書くうえでの資料として、1980年代の東京グランギニョルの戯曲を読んでいる(『マーキ…

遺棄された場所について 机周りの片付け中、書棚に戻そうとしてふと中を開いたところ、「abandoned places」論の参考になりそうな章を見つけた。「「空隙都市」東京」と題されたこの論考(初出『JA』1992年)では、経済成長の結果として東京に生まれた特異な…

拙論「世界解釈、世界構築としての建築の図的表現:J. -N. -L.デュランの『比較建築図集』と『建築講義要録』から」がリポジトリ公開されました。2017年と2018年の表象文化論学会大会での口頭発表を加筆修正したものです。 permalink:http://doi.org/10.189…

遺棄された場所についての覚書 動いている庭 作者: ジル・クレマン,山内朋樹 出版社/メーカー: みすず書房 発売日: 2015/02/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 荒れ地の語源についての見解は共通している。1872年刊行の『19世紀世界大辞典』に…

J.-N.-L. デュランについての紀要論文のために、昨年8月にTweetしたメモを再掲。 テラン・ヴァーグ概念で有名なイグナシ・デ・ソラ=モラレス、J.N.L. デュランについての論文も書いていた☞https://www.jstor.org/stable/1567112 理性主義(ポリテク)と折衷…

渋谷区立松濤美術館の「終わりの向こうへ:廃墟の美術史」展へ。普段複製で見慣れた廃墟画の実物の筆跡や細部をじっくり検分できたのと、日本の洋画家壇で1930年代に専ら古代ローマ風の廃墟ブームがあったと知れたのが良かった。明治期の古代ギリシア・ロー…

フランス革命後の国家的英雄と建築(「著名性」シンポジウム準備)

参考文献 ・James A. Leith, Space and Revolution : Projects for Monuments, Squares, and Public Buildings in France 1789-1799, Montreal: McGill-Queen's University Press, 1991. (Ch. 4: Temples for the nation and its heroes). 自宅 ブレ他の建築…

文献メモ

丹羽和彦「エコール・ポリテクニクにおける初期の建築教育とデュラン:J.-N.-L.デュランの建築教育の理論的特質に関する研究(1)」、『日本建築学会計画系論文報告集』第412号、1990年6月、153-163ページ。 丹羽和彦「教育プログラムからみたエコール・ポリテ…

デュランのことを調べていて1818年のエコール・ポリテクニークの時間割に行き当たり、ふとemploi du tempsという概念が登場するのはいつからなのだろうと考える。ひとまずオンライン検索したら、こんな書籍が引っかかってきた。 https://books.google.co.jp/…

近代国家の首都[ルビ:キャピタル]の条件を正確に把握していないと〈ミュゼアム〉の意味が浮かんでこない。パリ、北京、東京を比較して、ここに故宮、中央広場、国家的慰霊施設・国会、それに神殿が加わる。故宮が〈ミュゼアム〉になる。ルーブル、北京の…

ストローブ=ユイレ──シネマの絶対に向けて作者: 渋谷哲也,サリーシャフトウ,小澤京子,千葉文夫,中尾拓哉,伊藤はに子,筒井武文,赤坂太輔,竹峰義和,中島裕昭,金子遊,持田睦,堀潤之,細川晋出版社/メーカー: 森話社発売日: 2018/01/30メディア: 単行本この商品…

10+1 web site(http://10plus1.jp )の「特集ブック・レビュー2018」に、「シークエンシャルな建築経験と(しての)テクスト――鈴木了二『ユートピアへのシークエンス』ほか」を寄稿いたしました。 http://10plus1.jp/monthly/2018/01/issue-08.php 漫ろ歩き…

パノララ作者: 柴崎友香出版社/メーカー: 講談社発売日: 2015/01/15メディア: 単行本この商品を含むブログ (11件) を見る本日の愉楽読書は柴崎友香『パノララ』(講談社、2015年)だった。異質なものを継ぎ接ぎしたレブリカブラックな空間というモティーフが…

永井荷風の東京逍遥

荷風は、大正に入りますます急速に失われゆくようになった「江戸的なもの」の面影と残存を、現在の東京の無目的な散策を通して見出そうとする。そして荷風の散策は、彼が18世紀初頭のパリの新聞記者アンドレエ・アレエの例を出して言うような、主体的・積極…

近代都市、群衆、遊歩、ボードレール

ボードレール批評〈2〉美術批評2・音楽批評 (ちくま学芸文庫)作者: シャルルボードレール,Charles Baudelaire,阿部良雄出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1999/03メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見るボードレールはエドガー・ア…

萩原朔太郎『青猫』に差し挟まれた、何処ともつかない、しかし明白に西洋風な風景画の由来について。(2017年7月1-2日開催の表象文化論学会第12回大会での熊谷謙介氏の発表「「青猫・以後」と郷愁――「のすたるぢや」の歴史性」(パネル「萩原朔太郎の表象空…

しとやかな獣 [DVD]出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2012/11/16メディア: DVD クリック: 5回この商品を含むブログ (10件) を見るとある自主研究会で他メンバーが行う発表の予習として、川島雄三監督『しとやかな獣』1962年(Amazonビデオ:https://www.ama…

関東大震災後の東京における知覚の変容、小村雪岱の場合。「余韻」としての在りし日の面影。 こうした知覚のあり方[=雪岱の文章に表れた、二つの異なる知覚形態の重ね合わせ(パラタクシス)]は記憶の記銘と想起に深く関わっている。二十歳過ぎまで暮らし…

2017年度後期の「都市の事典をつくろう」演習のための資料。ちなみにこの演習は、「私たちの生きる「環境」であり、社会・政治・文化のあり方を反映しつつ形成される「人工物」であり、固有の記憶の場でもある「都市」。その細部における観察と発見の成果を…

ニコラ・ル・カミュ・ド・メジエールについての博士論文(2000年、マギル大学に提出されたもの) Pelletier, Louise, Nicolas Le Camus de Mézières's architecture of expression, and the theatre of desire at the end of the Ancien Régime, or, the ana…

都市の記憶

犬の記憶 (河出文庫)作者: 森山大道出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2001/05/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 23回この商品を含むブログ (56件) を見る 人間が持っているように、街も夢や記憶を持っている。人間の記憶がさまざまな混成系であるよ…

イベントのご案内

建築の記念性をめぐる、下記のイベントに参加いたします。 ぜひご参加ください。 日本建築学会『建築雑誌』2017年7月号特集「建築は記念する」公開対談 鈴木了二×小澤京子「歴史のイマジナリーラインズ」(司会:戸田穣) 【日時】2017年4月21日(金)18:00…

破壊のあとの都市空間: ポスト・カタストロフィーの記憶 (神奈川大学人文学研究叢書)作者: 熊谷謙介,神奈川大学人文学研究所出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2017/03/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る熊谷謙介編『破壊のあとの都市空間…

フーリエの理想都市計画と「換気」

シャルル・フーリエ伝―幻視者とその世界作者: ジョナサンビーチャー,Jonathan Beecher,福島知己出版社/メーカー: 作品社発売日: 2001/05メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 15回この商品を含むブログ (2件) を見るすでに1796年12月のボルドー市当局宛の手…

ルイス・カーン(ルイ・カーン)と「建築のスピリット」の体現としての廃墟

ルイス・カーン建築論集 (SD選書)作者: ルイスカーン,前田忠直出版社/メーカー: 鹿島出版会発売日: 2008/04メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (11件) を見る 沈黙と光について一言。建設中の建物はいまだ苦役を知りません。存在…

メモ:カタストロフィーの表象の(遠くから、安全な場所から眺められるという「距離」の確保)「崇高の美学」への回収

「ビキニ島の原子爆弾爆発の写真を見ていて、ギリシャ神話以来、どんな想像力も達しなかった水量が、空に舞っているのを見たと思わずにはいられない。「目に見えているものが、いっとう神秘である」という言葉は、機械時代には二重の意味をもって、私たちに…

カタストロフィによって破壊される都市と「崇高」の美学

すでに18世紀初頭、イギリスの文筆家ジョゼフ・アディソンは、地震と津波により倒壊したナポリの古代ローマ遺跡の情景に、「古代の栄光の廃墟と、混沌の中にある偉大な壮麗さ*1」を――つまり持続的な時間経過によって出来した遺跡と同様の価値を――見出してい…