2004-01-01から1年間の記事一覧

「風景画(paesaggio)」と「都市景観画(veduta)」は、ときに一括して語られがちである。しかし、風景画の系譜において一般的に指摘されている「現実の風景の>とリアリズムへの志向」という契機を、都市景観画にも当てはめることは果たして適当であろうか。1…

とりあえずメモ 古賀春江 長谷川潔 平塚運一 恩地孝四郎 藤巻ヒロシ(漢字表記不明) 佐藤春夫 内田百〓 日夏耳火之介(耳編に火は一字) 今和次郎『新版大東京案内』 海野弘『東京風景史の人々』

nomi in cornice

画家の署名にまつわるアンソロジー "Revue de l'Art", No.26, 1974 フランスの美術史関係の学術雑誌。この号の特集は、"L'art de la signature(署名の技術)"。アンドレ・シャステル、アン=マリー・ルコック、ジャン=クロード・レーベンシュタインといった…

nomi in cornice(額縁の中の署名)

18世紀後半のイタリア B.Bellotto "Capriccio with the Colosseum"(1743-44)Oil on canvas,Galleria Nazionale, Parma. 前景左下の石版に文字が彫られている。ウェブ上の画像では判読不能。 F.Guardi "An Architectural Caprice"(before 1777)Oil on canvas,…

失われたオブジェを求めて

木下直之『世の途中から隠されていること――近代日本の記憶』晶文社、2002.(ISBN:4794965214) 諧謔の精神に富んだ、飄々としたエッセー集ながら、刺激的で鋭い指摘に満ちている。示唆的だと感じた箇所をいくつか。鍵概念は死者の記憶、肖像、「似ている」こ…

ほとんど画家

やがてリドヴィナは膝でいざることも、箱や椅子にしがみついて動くこともできず、ベッドのなかで寝たきりになったが、そういう状態が死ぬまで続いたのであった。脇腹の傷が癒着せずに、いっそう悪化し、そこに壊疽ができた。そして腐爛した腹の皮のしたから…

見たものすべてを言語化しようとする、偏執的なまでの情熱。 ユイスマンスの列挙癖について。 (宝石の名やら、モローやルドンの絵画のディスクリプションやら、珍奇で無気味な花々の細密な描写やら。)テオフィル・ゴーティエの執拗なまでの描写を前に真っ…

明治期日本の美術制度について 北澤憲昭『眼の神殿:「美術」受容史ノート』美術出版社、1989.(asin:4568201314) 北澤憲昭『境界の美術史 : 「美術」形成史ノート』ブリュッケ、2000.(asin:4434002147) 木下直之『美術という見世物:油絵茶屋の時代』平…

ヘテロトピアとアナロジー

ある種の失語症患者は、台(ターブル)の上におかれたいろいろな色の毛糸の束を、整合的なやり方で分けることができないという。[…] 彼らは、物がふつうに配分され名づけられるなめらかなこの空間に、粒状で断片的なおびただしい小領域をつくりだし、そこでは…

・ロドヴィコ・ウーギのヴェネツィア地図について:http://aic.stanford.edu/sg/bpg/annual/v13/bp13-04.html ・ユートピアの系譜:http://web.tiscali.it/icaria/ ・都市図の系譜:http://www.historicurbanplans.com/index.html ・マニエリスモの建築家、…

今日の美術史家:ジャン=バティスト=ルイ=ジョルジュ・セルー・ダジャンクール(Jean-Baptiste-Louis-George Seroux d'Agincourt,1730-1814) 近代的考古学の始祖とされるドイツの美術史家ヨハン・ヨアヒム・ヴィンケルマンの循環史的、様式史的なアプローチを…

ルネサンスの紙上建築

フィラレーテ(Filarete)と理想都市:http://www.italycyberguide.com/Art/artistsarchite/filarete.htm

ストラパエーゼ

strapaese(郷土派):イタリア1920年代の絵画・文学上の動向。代表的な画家はオットーネ・ロザイなど。 参考サイト:http://guide.supereva.it/arte_moderna/interventi/2004/03/153630.shtml Googleでの検索結果一覧:http://www.google.co.jp/search?num=30&…

群島

カッチャーリ総括、続き。 以下引用部分の出典はすべて、「マッシモ・カッチャーリに聞く アナロジーの論理学」『批評空間』第3期第4号、2002、59〓71頁より。 アナロジーについて ここ数十年間に、アナロジーの理論的問題がわたしにとって最重要になってき…

装飾への眼差し

ひるがえって、ロココの室内壁面には、場面も空間も存在しない。そこではすべては建築的な壁面の分節の従った「装飾」と化してしまっているからである。(岡崎乾二郎『ルネサンス 経験の条件』筑摩書房、2001、12頁) c.f.ゴンブリッチ『手段と目的』平凡社、

群島

マッシモ・カッチャーリの、あるいは彼に纏わる邦語文献の総括、続き。 以下出典はすべて「都市の政治哲学をめぐって――ヨーロッパ/アジアの地-哲学」『批評空間 第3期第4号』2002、72〓104頁.斜字体による強調はすべて引用者。) つまりこのように都市は、…

群島

マッシモ・カッチャーリ(Massimo Cacciari)のテクストや講演記録のうち、邦語のものに一通り目を通した。第一章で中断していた、"L'arcipelago"読解の補助線をいくつか見出す。以下は、覚え書き用の抜粋。あくまでも個人的な関心に引き付けて、興味を持っ…

明治期日本のオリエンタロ・オクシデンタリズム

内村鑑三の「地理學考」(1894=明治27年刊、1897年「地人論」に改題)を入手。岩波書店から出ている『内村鑑三全集』の第2巻収録のもの。 まだ全部には目を通していないが、日本の国土とギリシアの国土の形態的類似を説いた上で(列島と半島では、相当に違う…

アートリンク:アートギャラリー環のサイトより。奨学金・給付金・助成金情報へのリンクが整備されている。web museum:近代以降の画家に強い。

TOKYO ART INDEX <http://www.artindex.metro.tokyo.jp/> 文化活動への助成金一覧 <http://www.artindex.metro.tokyo.jp/contents/sgroup_result?lang=ja&genre=art>

近代日本のオリエンタロ=オクシデンタリズム

・井上章一『法隆寺への精神史』弘文堂、1994.(ISBN:4335550561) ・高階絵里加『異界の海――芳翠・清輝・天心における西洋』三好企画、2000.(ISBN:4938740370)明治20年代後半、条約改正と日清戦争を二大事件とするナショナリズムの時代は、「日本人」の…

松山巌『まぼろしのインテリア』を読了。日本の住宅(とりわけその内部構造)とそれを取り巻く認識枠組みとの相互関係、時代ごとの特異性や変遷を、明治維新からオイルショックに至るまで辿った書。公的機関が主導する形で建設されたアパートの構造や間取り…

神奈川県立近代美術館の葉山別館でベン・ニコルソン展を観る。原色のコンポジション/対比や差異による分節化/中間色の調和/グラデーションが必然的に意味してしまう光と陰影/三原色と無彩色と長方形と円/絵画の純粋性とか還元性とか自立性とか/白の上の白/絵…

パゾリーニ監督によるフィルム『リコッタ』を観る。(4人の監督によるオムニバス『RoGoPaG』の中の一篇である。)ジャーマンの『カラヴァッジオ』中の活人画シーンに示唆されて、突発的に類似テーマを扱った作品を観たくなったのだ。キリスト受難劇を扱った映…

デレク・ジャーマンによる『The Angelic Conversation』を見る。圧倒的にうつくしい画像に、囁き声の朗読が時折絡む。(シェイクスピアのソネットだという。)愛し合う男同士、まるでゴルゴダ行きのキリストのように、木材を背負って歩いてゆく孤独な面持ち…

「戦後短篇小説再発見」と銘打たれたアンソロジーの第六巻目、『変貌する都市』を読んでいる。第二次大戦直後から1990年代半ばまでのそれぞれの時代の都市観あるいは都市イメージを、特徴的な短篇小説の中から掬い取ろうとする試みの一冊。選出されている作…

『イジー・トルンカの世界3』を観た。「楽しいサーカス」(これはパペットアニメーションではなく、セルアニメ)の幻想的な図柄がとりわけ良い。無表情でどこか虚無的な面持ちの観客たちとか、機械仕掛けの蝶々のような軽業師とか。

シュヴァンクマイエルの『オテサーネク』を観た。汚物というか、アブジェクシオンみたいなものにしか見えない食物の写し方が秀逸。食べ物のはずなのに、なんかもう吐瀉物とか糞便とか精液みたいなのだ。食欲が悪魔的に肥大化した切り株赤ちゃんオテサーネク…

デレク・ジャーマンの『カラヴァッジオ』を観る。絵画制作の過程をカメラで捉えた、一種のメタ絵画映画だ。カラヴァッジョ作品を既知のものとする眼には、絵画モデルとして登場する人物群像が、むしろ活人画として見えてしまうという倒錯。画布という表層上…

イジー・トルンカ『短編集2』 安楽椅子の人造人間おばあさんが微笑ましくもキッチュな「電子頭脳おばあさん」他三篇 デレク・ジャーマン『ザ・ガーデン』 どこか不吉さを湛えながらも、美しいイメージのモンタージュ。ゲイへの迫害が、キリストの受難に重ね…