2015-01-01から1年間の記事一覧

思考の屑篭

精神病理学者ジャン=マルタン・シャルコーによる室内装飾と「視覚的な医療」の結びつき 1890年代におけるフランス特有の心理学は、室内装飾の試みを新しい観点から探求し、近代性、親密さ、内部性と言った18世紀において互いに結びついていた概念を、神経の…

モードの言葉

失われた時を求めて 1 第一篇 スワン家の方へ 1 (集英社文庫)作者: マルセル・マルセル・プルースト,マルセル・プルースト,鈴木道彦出版社/メーカー: 集英社発売日: 2006/03/17メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 98回この商品を含むブログ (72件) を見る 一…

視覚像としての文字――シャルコーの自己催眠実験

アール・ヌーヴォー―フランス世紀末と「装飾芸術」の思想作者: デボラシルヴァーマン,Debora L. Silverman,天野知香,松岡新一郎出版社/メーカー: 青土社発売日: 1999/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る ある夜、シャルコーはハシッシュの…

五十嵐太郎編『くらべてわかる世界の美しい美術と建築』(エクスナレッジ)が10月29日に刊行されましたくらべてわかる世界の美しい美術と建築 (エクスナレッジムック)作者: 五十嵐太郎出版社/メーカー: エクスナレッジ発売日: 2015/10/29メディア: ムックこ…

ピラネージ“牢獄”論―描かれた幻想の迷宮作者: 長尾重武出版社/メーカー: 中央公論美術出版発売日: 2015/08メディア: 大型本この商品を含むブログ (1件) を見る長尾重武先生のご近刊『長尾重武 編著『ピラネージ《牢獄》論――描かれた幻想の迷宮』出版記念会の…

イメージとしての、運動体としての文字

もうひとつの街作者: ミハル・アイヴァス,阿部賢一出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2013/02/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (25件) を見る主人公がプラハの古書店街でたまたま手に取った、菫色のビロードで装幀を施した、未知の文字で書かれ…

「アニメ国際シンポジウム 日本アニメの歴史と現在」のお知らせ

和洋女子大学では下記の通り、日本「アニメ」の歴史的展開と現在の状況、国際的な影響・受容関係をめぐる国際シンポジウムを開催いたします。 奮ってご参加ください。 「アニメ国際シンポジウム 日本アニメの歴史と現在」 日時:2015 年 10 月 3 日(土)10:…

和洋女子大学メディアセンター図書購入申請反映状況【5月新着本】 ・深井晃子『世界服飾史 : カラー版』美術出版社、2010年:4F指定書383.1:Se22(サブカルチャーA、教科書、版元民事再生法適用申請中につき臨時措置) ・岡崎乾二郎『ルネサンス経験の条件』…

モダニズム時代の映画をめぐる言説:映画という機械/映画の中の機械

1920年代から30年代にかけては、「文学と映画のパラゴーネ」ともいうべき議論(より正確に言うと、文学に不可能なものを映画という新たな芸術がもたらした、という旨の記述)が出てくる。川端康成「文芸時評」1929年や、伊藤整「新しき小説の心理的方法」193…

ヴァレリー集成? (ヴァレリー集成(全6巻))作者: ポールヴァレリー,Paul Val´ery,今井勉,中村俊直出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2012/02/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見るぴんと張られた幕の上では、常に何もない平面の上では、生…

7月11日にユートピア研究会「別館」として、ちょっとした研究発表を東大本郷キャンパスで行います。日時:2015年7月11日(土) 17:30-19:00 発表タイトル:「1980年代の日本における「遺棄された場所」の系譜」 発表者:小澤京子(和洋女子大学) ディスカッ…

直前の告知になってしまいましたが、勤務先の学内学会で以下の発表を行います。 和洋女子大学日本文学文化学会 研究発表 小澤京子「近代日本の絵画 文学 国家観におけるギリシア・イメージ」 日時:2015年6月30日(火) 13:00〜(12:30〜開場) 会場:和洋女…

『ユリイカ』2015年7月増刊号「総特集:金子國義の世界」、見本誌を拝受しました。豪華な執筆者が並ぶ中、私もささやかな追悼文を寄稿させていただきました。 目次はこちら☞http://www.seidosha.co.jp/index.php?9784791702909書誌情報:小澤京子「耽美の小…

ディスカッションに登壇します。 日本記号学会 第35回大会「美少女の記号論」 2015年5月16日(土)-5月17(日) 秋田公立美術大学 プログラム:http://www.amcac.ac.jp/~illustration/jass/program.pdfディスカッション「美少女とはいかなる記号なのか?」(5月16…

イベントのお知らせ

以下のシンポジウムに私も登壇いたします。 ※3月18日追記:会場が変更されました(変更前と同じ建物内です)。下部のポスターも差し替えました。 「建築/非建築の荒野で──廃墟・身体・生のポリティクス」 2015年3月30日(月)18時〜20時30分 東京大学駒場…

Annie Le Brun, Les Châteaux de la subversion, suivi de Soudain un bloc d'abîme, Sade, Paris : Gallimard, 1986. 版元の紹介ページ:http://www.gallimard.fr/Catalogue/GALLIMARD/Tel/Les-chateaux-de-la-subversion-suivi-de-Soudain-un-bloc-d-abime…

立原道造の廃墟論

建築が建築家の理念から製図に移された瞬間から、(或はこれを私たちが緩やかな表現で言はうとするなら、建築がすべての過程のあと出来上がつたものとなつた瞬間から)それはただたえまなくくづれ行くために作られたものとして、崩壊の第一歩を踏むことのあ…

『ユリイカ』2015年1月号「特集:ゴダール2015」発売中です。ゴダールにとってはもちろん、映画の歴史においても間違いなく新機軸となるであろう最新作『さらば、愛の言葉よ』を中心に、充実のインタヴュー、対談、論考です。私もゴダールによる建築空間とそ…

ひたすら糸を吐く蜘蛛のような生活に倦んで、ブニュエルの『忘れられた人々』を観る。メキシコで写したという、地面にへばりつくような貧民窟、すぐ向こうを走るハイウェイ、工事中の自動車道の橋脚、感化院を脱走した青年がねぐらにする、廃墟なのか工事中…

盲者の記憶―自画像およびその他の廃墟作者: ジャックデリダ,Jacques Derrida,鵜飼哲出版社/メーカー: みすず書房発売日: 1998/11/17メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 25回この商品を含むブログ (15件) を見る [シャルダンの自画像においては]今度は目…

羊皮紙に尖筆で記すこと/消すこと

動物の皮膚のような物質の表面に徴をつけるときの、野蛮とは言わぬまでも激しい行為について、私たちは心に留めておくべきである。人は先のとがった器具を用いて何らかの方法で動物の皮膚に穴を開け、凸凹にし、「傷つけ」なければならない。書き込んだもの…

展覧会最終日滑り込み×2、Esprit Dior展と「リー・ミンウェイとその関係」展へ。 いくつかメモ書き ☆Esprit Dior ・「ムッシュ・ディオール」による伝説化されたシルエットやモティーフの、後任デザイナーたちによる「解釈」や「引用」(=自メゾンの「アー…