表層の諸問題

ゲルハルト・リヒター展(東京国立近代美術館)

昨日は当日券完売済で入場できず、関連書籍だけ買ってとぼとぼと引き上げたリヒター展、やはり大きさやマティエールなどを確かめるためにも実物を見ておきたいと思い、再び竹橋に。結論から言うと、やはり実際の展示を見られて本当によかった。見逃した人は…

『週間 読書人』紙に武末祐子著『グロテスク・美のイメージ:ドムス・アウレア、ピラネージからフロベールまで』(春風社、2018年)の書評を寄稿いたしました。ウェブ上でもお読みいただけます。 http://dokushojin.com/article.html?i=3296

鏡について

書くことは、読者を予想し、先取りすることなしには不可能である。作家がこうして先取りしようとする読者は、しかし、決して真の他者ではありえない。それはまさしく鏡のなかの自分、このイマージュでしかないだろう。それゆえに彼は真の他者(《きみたち》…

羊皮紙に尖筆で記すこと/消すこと

動物の皮膚のような物質の表面に徴をつけるときの、野蛮とは言わぬまでも激しい行為について、私たちは心に留めておくべきである。人は先のとがった器具を用いて何らかの方法で動物の皮膚に穴を開け、凸凹にし、「傷つけ」なければならない。書き込んだもの…

ワタリウム美術館で開催中の寺山修司展「ノック」(http://www.watarium.co.jp/exhibition/1307terayama/)へ。寺山というと、今となってはあまりにも「ある種の紋切り型」として消費されてしまっている人物だが、中学生時代の学級新聞から後年の様々な舞台…

失われた時を求めて〈8 第5篇〉囚われの女 (ちくま文庫)作者: マルセルプルースト,Marcel Proust,井上究一郎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1993/05メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る とうとう彼はフェルメールの絵の前に来た。[…]最後…

ボディ・クリティシズム―啓蒙時代のアートと医学における見えざるもののイメージ化作者: バーバラ・M.スタフォード,Barbara Maria Stafford,高山宏出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2006/12/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブ…

全く以て消化できているとは言えないテクストなのだが、爾後のための覚え書きとして。基底材を猛り狂わせる (みすずライブラリー)作者: ジャックデリダ,Jacques Derrida,松浦寿輝出版社/メーカー: みすず書房発売日: 1999/06メディア: 単行本この商品を含む…

「奇想の王国 だまし絵」展(Bunkamuraザ・ミュージアム)へ。 http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/shosai_09_damashie.html 展覧会カタログに収められた論文でも明言されている通り、「trompe-l'oeil」という特定のジャンルに属するもののみならず、…

先日の日記(http://d.hatena.ne.jp/baby-alone/20090313)で触れたl'école nationale des ponts et chaussées(フランス国立土木建築高等学院)所蔵の18世紀の建築デッサンに関して、本格的な研究が出ていることが判明。 1)Antoine PICON, Architectes et …

visagéité

大学図書館でたまたま出会った一冊。 Domonique Baqué, Visages: du masque grec à la greffe du visage, Paris: Edition du Regard, 2007. http://www.amazon.fr/dp/2841052141/ サブタイトル(ギリシアの仮面から顔の移植手術まで)を見ると「顔」表象の通…

畳みじわ

左・中央)Frans II Pourbus《最後の晩餐》1618年(ルーヴル美術館):耳慣れない名前の画家だが、この晩餐図はプッサンも激賞したという。 右)エドゥアール・マネ《静物:テーブルの上の果物》1864年(オルセー美術館) セザンヌが描く「テーブルと果物」…

ルーヴルの異邦人

ディジョンのエコール・デ・ボザール出身で、今やフランスを代表する売れっ子アーティストとなったYan Pei-Ming(嚴培明)のエキシビションが、なんとルーヴルで開催中であった。余りにも有名なレオナルドの《モナリザ》を通り過ぎると、突き当りには「モナ…

同一性と多層性

ある漫画家の方のブログに、ちょっと面白い部分を見つけたので抜粋。 「闘技場〜アリーナ」の前半部分を除いては、手書きの擬音も全て画像から除去して、フランス語に差し替えた完全版。(何で「闘技場〜アリーナ」の前半だけ、日本語の書き文字が残っている…

フレンチ・ロココの宮廷画家であると同時に、解剖画家でもあった、ジャック・ゴーティエ=ダゴティ(Jacques Gautier Dagoty)に関するサイト。ダゴティの解剖図については、バーバラ・マリア・スタフォード(Barbara Maria Stafford)のBody Criticism(Cambr…

http://www.alenapoli.org/perle/mna4.htm彫像のヴェールについて Francesco Queiroloという彫刻家の『幻滅(Il Disinganno:真理を悟らせるという意味もある)』と題された作品の画像を探していて見つけたページ。サンセヴェロ教会(Sansevero=真実なき?)…