これもふと思い浮かんだこと。川端康成の『片腕』に、テオフィル・ゴーティエの『ミイラの足』の影響はなかったのだろうか?(CiNiiやGoogle Scholarも含め、ざっとインターネット検索した限りでは情報が出てこない) ゴーティエの身体断片が(亡霊という形…

Au château d’Argol シルトの岸辺 (岩波文庫) 作者:ジュリアン・グラック 発売日: 2014/02/15 メディア: 文庫 アルゴールの城にて (岩波文庫) 作者:ジュリアン・グラック 発売日: 2014/01/17 メディア: 文庫 最近、ジュリアン・グラックによるテクストの「建…

シャガールの描く浮遊的な情景に惹かれる。夜、あるいはいつともつかない不分明の時間、人間の眼をもつ動物、深閑とした色彩どうしの混じり合い、重力を免れて空に浮くこいびとたち。地面から、魯鈍な現実法則から解放されていることの、虚ろな自由。

論考掲載のお知らせ 拙論「架空都市の地図を描く――地図と(しての)テクスト」が、『ユリイカ』2020年6月号(特集:地図の世界)に掲載されています。 http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3437 モアの『ユートピア』やスウィフト『ガリヴァー旅行…

散策(promenade)としてのディドロの絵画描写 『サロン評』でのディドロによる絵画の記述は、もちろんエクフラシスの伝統に則ったものである。と同時に、とりわけその対象が風景画である場合には、それは「テクストによる空想の散策」ともなる。例えばクロ…

【メモ】活人画(tableau vivant)について 18世紀半ばには、フランスを中心に活人画が流行したという。西村清和は、この活人画ブームを、同時代のピグマリオン神話への関心や、古代彫刻に人工照明を当て生きているかのように見せる趣向の流行などとともに、…

月下の一群 (講談社文芸文庫) 作者:堀口 大學 発売日: 1996/02/09 メディア: 文庫 彼は机の前に坐つてゐた、彼の夢想は甘やかにランプの光の輪の中に集まつてゐた、彼は窓に来て突き当る脆い吹雪の突貫をきいてゐた (シャルル・ヴィルドラック「訪問」堀口…

心変わり (岩波文庫) 作者:ミシェル・ビュトール 発売日: 2005/11/16 メディア: 文庫 この『心変わり』という小説でまず注目されるのは、主人公を二人称「きみ」――フランス語では"vous"――で呼んでいることである。おそらく小説の歴史のうえではたぶん前例の…

卒業生と新入生に送りたい言葉

夜のなかを歩みとおすときに助けになるものは橋でも翼でもなく、友の足音だ、ということを、ぼくは身にしみて経験している。ぼくらは夜のさなかにいる。 (ヴァルター・ベンヤミン『ヴァルター・ベンヤミン著作集14 書簡1』野村修編集解説、晶文社、1972年、…

2020年2月20〜21日ベルリン滞在。「シークエンシャルな語り」「空間と記憶」をテーマに建築巡りを行う。 2月20日:クリスチャン・ボルタンスキーのインスタレーション《失われた家(Missing House)》、街路に埋め込まれた「躓きの石」、博物館島からとりわ…

クロソウスキー、象形文字としての「ステレオタイプ」 事実、私は筆跡学から能書術、というかむしろ象形文字学へ移ったのです。私は絵を象形文字として扱っているわけです。[…]私が従う或る種のステレオタイプがあり、拒絶する別のステレオタイプがある。…

【メモ書き】テクストの「挿絵(illustration)」と映画化(映像への翻訳あるいは「翻案」) ギュスターヴ・フローベールは自らの小説に挿画を入れることを許さなかったという。「[フローベールは]文章以外の手段によって小説が「見える」ようになることを…

ドーピングの哲学: タブー視からの脱却 作者: 出版社/メーカー: 新曜社 発売日: 2017/10/31 メディア: 単行本 スポーツと「健康」の両義的関係と身体の近代 いったい競技スポーツはいつから「健康」とたもとを分かってしまったのだろうか。[イザベル・]ク…

テクストと映画の翻訳関係(翻案・アダプテーション) 夢の共有――文学と翻訳と映画のはざまで 作者:野崎 歓 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2016/11/30 メディア: 単行本 クロス・カッティングのほかにも、移動撮影、俯瞰撮影やクローズアップなど、サイ…

安部公房と都市。1960年代から70年代にかけての、日本における「住宅」をめぐる言説との関係はどうなのだろうか? そういえば『燃えつきた地図』は、一種の「団地小説」でもある。 都市との距離という問題は、1960年代後半から70年代前半においては建築に限…

日本における「建築書」の系譜(work in progress) ・平政隆『愚子見記』全9冊、1683(天和3)年(1669年以前から執筆開始)。法隆寺の工匠(大工棟梁)による技術書。内裏や諸社寺の建物の形状や寸法、建築費の積算、工事仕様なども記す。宮大工の扱う建築…

廃棄の文化誌 新装版―ゴミと資源のあいだ 作者: ケヴィン・リンチ,有岡孝,駒川義隆 出版社/メーカー: 工作舎 発売日: 2008/02/25 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 44回 この商品を含むブログ (3件) を見る 廃棄の文化誌―ゴミと資源のあいだ 作者: ケヴ…

秋雨の降る中、上京していた母と共に国立西洋美術館の松方コレクション展へ。松方幸次郎の経営していた川崎造船所の経営破綻に伴う作品の散逸や、ロンドンの保管倉庫の火災による焼失などで、コレクションの全容は不明とされてきたけれども、2016年にロンド…

断章的日記。 灰白色の懶惰を眠る。気に入りの、というよりも分離不安から手放せなくなってしまった獏のぬいぐるみを抱えて眠る。寝室には高い場所に小さな窓が一つあるだけで、昼間もいつも薄暗く、浅瀬のような眠りのなかに浮かぶには都合がよい。もちろん…

国立新美術館の「話しているのは誰? 現代美術に潜む文学」展内覧会へ。https://www.nact.jp/exhibition_special/2019/gendai2019/ 邦題にある「文学」より、英題「Image Narratives」の「ナラティヴ」、あるいは子供向けミニガイドにある「物語」という語の…

とある必要があって、というと勿体ぶった感じだが、「1980年代の日本のサブカルチャーに現れた「遺棄された場所(abandoned places)」のイメージ」というテーマで論文を書くうえでの資料として、1980年代の東京グランギニョルの戯曲を読んでいる(『マーキ…

六本木でほぼ同時期に開催されている、「クリスチャン・ボルタンスキー Lifetime」展(国立新美術館)と、「塩田千春展:魂がふるえる」(森美術館)へ。 クリスチャン・ボルタンスキーは、初期の「クリスチャン・Cの衣服」や「モニュメント」シリーズ、の、…

ファッションと哲学 16人の思想家から学ぶファッション論入門 作者: アニェス・ロカモラ,アネケ・スメリク,蘆田裕史,安齋詩歩子,大久保美紀,小林嶺,西條玲奈,関根麻里恵,原山都和丹,平芳裕子,藤嶋陽子,山内朋樹 出版社/メーカー: フィルムアート社 発売日: 2…

活人画の時間:テクスト、映画、写真

勅使河原宏の世界 DVDコレクション 出版社/メーカー: 角川映画 発売日: 2002/04/14 メディア: DVD 購入: 2人 クリック: 40回 この商品を含むブログ (45件) を見る 箱男 (新潮文庫) 作者: 安部公房 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2005/05 メディア: 文庫 …

死者の固有名について 人は死において、ひとりひとりその名を呼ばれなければならないものなのだ。死においてただ数であるとき、それは絶望そのものである。 (石原吉郎『望郷と海』ちくま学芸文庫、Kindle 版、2002年、No. 38。) いわば一個の符号にすぎな…

出張報告より 6月8日(土)9:00〜:自宅最寄り駅より出発、13:00過ぎに最初の目的地である京都大学総合博物館に到着。13:00〜15:00:「タイムライン:時間に触れるためのいくつかの方法」展を見学、たまたま開催中であった展覧会関連のシンポジウムの一部(…

遺棄された場所について 机周りの片付け中、書棚に戻そうとしてふと中を開いたところ、「abandoned places」論の参考になりそうな章を見つけた。「「空隙都市」東京」と題されたこの論考(初出『JA』1992年)では、経済成長の結果として東京に生まれた特異な…

ゴールデン・ウィークもそろそろ終わりが見え始めた頃、アーツ千代田で開催中のシド・ミード展に行ってきた。https://sydmead.skyfall.me そのうち(いつ?)書こうと思っているのが、日本の1980年代サブカルチャーにおける廃墟モティーフの話なので、映画『…

土曜日の夕方、仕事はちょっと脇に置いて、国立西洋美術館の「ル・コルビュジエ 絵画から建築へ ピュリスムの時代」展へ。ジャンヌレがル・コルビュジエになるまで(1910年代〜30年代初頭)の、オザンファンとの協働関係からキュビスムの影響を経て、初期の…

拙論「世界解釈、世界構築としての建築の図的表現:J. -N. -L.デュランの『比較建築図集』と『建築講義要録』から」がリポジトリ公開されました。2017年と2018年の表象文化論学会大会での口頭発表を加筆修正したものです。 permalink:http://doi.org/10.189…