2020-01-01から1年間の記事一覧

書籍紹介 「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う (青弓社ライブラリー) 作者:香月 孝史 発売日: 2014/03/20 メディア: 単行本 香月孝史『「アイドル」の読み方:混乱する「語り」を問う』青弓社、2014年。出版社の紹介ページ(目次あり):https://w…

表象文化論学会オンライン研究フォーラム「日本映画における衣裳」パネル、コメンテイターとして拝聴していても、とても面白かったので、寄せたコメントを備忘を兼ねてここに公開しておきます。 【全体的に】 少なくとも日本で映画研究というと、作品分析や…

12/19(土)は「現代社会における<毒>の重要性 2020年度シンポジウム」にて、「ジャンク化する身体:1980 年代の表現を中心に」というテーマで発表いたします。http://kokoro.kyoto-u.ac.jp/20201219_symposium/私の発表では、東京グランギニョル、三上晴…

講義用メモ:ジョーカーにみる権力、暴力、「悪」の描き方:トッド・フィリップス監督『ジョーカー』2019年 ・バットマンとジョーカー:元々は1940年代から連載開始されたアメリカン・コミックス『バットマン』で悪役(バットマンの敵役)として登場。その後…

オンラインシンポジウム「テクストを建てる、イメージを歩く」(9/12)開催報告

9/12オンラインシンポジウム「テクストを建てる/イメージを歩く」の報告が、勤務先大学のウェブサイトに掲載されました。https://www.wayo.ac.jp/academics/ja_cul/nihonbungaku_blog/tabid/312/Default.aspx?EntryID=1350 「参加したかったが叶わなかった…

オンラインシンポジウム「テクストを建てる、イメージを歩く」(9/12)のお知らせ

*9/11登壇者プロフィール、9/6各登壇者の発表概要を追加しました。 「テクストを建てる、イメージを歩く」と題したオンラインシンポジウムを、下記の要領にて開催いたします。 皆様の積極的なご参加をお待ちしております。 【日時】2020年9月12日(土) 14:…

旅としてのテクスト、庭園としてのテクスト 森のバルコニー・狭い水路 (白水社世界の文学) 作者:ジュリアン・グラック,中島昭和 メディア: 単行本 旅――帰還を念頭に置かない旅だけがもろもろの生の扉をわれわれに開き、真にわれわれの人生を変革させうるもの…

啓蒙思想家たちと「散歩」

www.suiseisha.net 机上にずっと置いたままの本を書架に片付けようとして、ふと開いたところに、今の自分にとってまさに天啓となるような一章ーーディドロのルソーの、メルシエのレティフの「散歩」ーーに眼が止まる。 ミシェル・ドゥロン『アンシャン・レジ…

街道手帖 (シュルレアリスムの本棚) 作者:ジュリアン グラック 発売日: 2014/08/01 メディア: 単行本 この本を構成するメモが扱う街道は、もちろん地上の風景を横切り、つなぐ街道である。しかし、それはときには夢の街道であり、しばしば記憶の街道でもある…

これもふと思い浮かんだこと。川端康成の『片腕』に、テオフィル・ゴーティエの『ミイラの足』の影響はなかったのだろうか?(CiNiiやGoogle Scholarも含め、ざっとインターネット検索した限りでは情報が出てこない) ゴーティエの身体断片が(亡霊という形…

Au château d’Argol シルトの岸辺 (岩波文庫) 作者:ジュリアン・グラック 発売日: 2014/02/15 メディア: 文庫 アルゴールの城にて (岩波文庫) 作者:ジュリアン・グラック 発売日: 2014/01/17 メディア: 文庫 最近、ジュリアン・グラックによるテクストの「建…

シャガールの描く浮遊的な情景に惹かれる。夜、あるいはいつともつかない不分明の時間、人間の眼をもつ動物、深閑とした色彩どうしの混じり合い、重力を免れて空に浮くこいびとたち。地面から、魯鈍な現実法則から解放されていることの、虚ろな自由。

論考掲載のお知らせ 拙論「架空都市の地図を描く――地図と(しての)テクスト」が、『ユリイカ』2020年6月号(特集:地図の世界)に掲載されています。 http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3437 モアの『ユートピア』やスウィフト『ガリヴァー旅行…

散策(promenade)としてのディドロの絵画描写 『サロン評』でのディドロによる絵画の記述は、もちろんエクフラシスの伝統に則ったものである。と同時に、とりわけその対象が風景画である場合には、それは「テクストによる空想の散策」ともなる。例えばクロ…

【メモ】活人画(tableau vivant)について 18世紀半ばには、フランスを中心に活人画が流行したという。西村清和は、この活人画ブームを、同時代のピグマリオン神話への関心や、古代彫刻に人工照明を当て生きているかのように見せる趣向の流行などとともに、…

月下の一群 (講談社文芸文庫) 作者:堀口 大學 発売日: 1996/02/09 メディア: 文庫 彼は机の前に坐つてゐた、彼の夢想は甘やかにランプの光の輪の中に集まつてゐた、彼は窓に来て突き当る脆い吹雪の突貫をきいてゐた (シャルル・ヴィルドラック「訪問」堀口…

心変わり (岩波文庫) 作者:ミシェル・ビュトール 発売日: 2005/11/16 メディア: 文庫 この『心変わり』という小説でまず注目されるのは、主人公を二人称「きみ」――フランス語では"vous"――で呼んでいることである。おそらく小説の歴史のうえではたぶん前例の…

卒業生と新入生に送りたい言葉

夜のなかを歩みとおすときに助けになるものは橋でも翼でもなく、友の足音だ、ということを、ぼくは身にしみて経験している。ぼくらは夜のさなかにいる。 (ヴァルター・ベンヤミン『ヴァルター・ベンヤミン著作集14 書簡1』野村修編集解説、晶文社、1972年、…

2020年2月20〜21日ベルリン滞在。「シークエンシャルな語り」「空間と記憶」をテーマに建築巡りを行う。 2月20日:クリスチャン・ボルタンスキーのインスタレーション《失われた家(Missing House)》、街路に埋め込まれた「躓きの石」、博物館島からとりわ…

クロソウスキー、象形文字としての「ステレオタイプ」 事実、私は筆跡学から能書術、というかむしろ象形文字学へ移ったのです。私は絵を象形文字として扱っているわけです。[…]私が従う或る種のステレオタイプがあり、拒絶する別のステレオタイプがある。…

【メモ書き】テクストの「挿絵(illustration)」と映画化(映像への翻訳あるいは「翻案」) ギュスターヴ・フローベールは自らの小説に挿画を入れることを許さなかったという。「[フローベールは]文章以外の手段によって小説が「見える」ようになることを…