2008-01-01から1年間の記事一覧

人間そっくり

バロック期のセヴィリヤの彫刻家、Juan Martínez Montañés(マルティネス・モンタニェス)の作品が数多く載せられているブログを見つける。 http://elpretorio.blogcindario.com/2008/06/03918-425-anos-del-nacimiento-de-un-genio-juan-de-mesa.html他日の…

公立図書館(Bibliothèque Municipale de Dijon)の柱頭のアーカンサス模様が、ふと泣き出しそうな人間の顔に見えた日。右の図版は、Humbert de Supervilleによる"figures murées"。最近は図書館の書架の間をぶらぶらしながら、ふと目に止まったタイトルの本…

メイヤー・シャピロ

この問題系を考えるに当たっては、おそらく古典文献の一つだろう。図書館の本棚の間を散策していた折に、たまたま目に止まったもの。 Meyer Schapiro, Les mots et les images : sémiotique du langage visuel, traduit de l'américain par Pierre Alferi, p…

統一性と異物侵入:身体器官のコンポジション

How do we become a representation of ourselves? Or a montage of functions ? Where is the powerful and mute evidence that once held all this together ? My heart was becoming a stranger: a stranger precisely inasmach as it was inside me. The…

身体を拘束する規範としてのbienséance、convenance

新古典主義の時代には、bienséance、convenanceの2概念が、建築に関する規範となった。 参考論文:白井秀和「ビアンセアンス(bienseance)を巡って-フランス古典主義から啓蒙主義に到る建築理論の重要概念についての概要 」 同「ビアンセアンスとコンヴナンス…

Die tödliche Dosis

「傷」というテーマについて考えていたところに、タイムリーにも「身体改変」をトピックにした研究会のお知らせが届いた。 第十四回視聴覚文化研究会:特集「身体改変」 日時:2008年12月20日、13:00〜17:00 会場:京都大学文学部新館第六講義室 ●研究会プロ…

僕女の翻訳可能性

日本には「僕女」「俺女」と呼ばれるカテゴリーが存在するけれど、例えばフランス語で「僕女」的アイデンティティーを表現することは可能なのだろうか?大学院受験のためにフランス語を習い始めた時から、くすぶっていた疑問である。最近のこと、和製マンガ…

Le RoyのLes ruines des plus beaux monuments de la Grèceのフランス語版を探していたところ、INHA(フランス国立美術史研究所)図書館のサイトで、電子情報化された書籍を無料でダウンロードできるサービスを発見。 http://bibliotheque-numerique.inha.fr/…

カタルーニャ民族博物館(バルセロナ、スペイン)

小さな博物館ゆえあまり期待していなかったのだけれど、カタルーニャ地方で20世紀前半まで制作されていた奉納物(ex voto)などの展示もあり、意外となかなか楽しめた。企画展は「アフリカ」。西欧によるステレオタイプの投影と領有の問題にも触れていて、小…

建築に関する所感(思考の断片)

この版画家がこだわり続けたのは、機能に還元されることのない、「物質」の側面なのではないだろうか。『建築に関する所感』や『暖炉の様々な装飾法』に顕著な装飾への固執も、その現れであるように思われる。このような「即物性」もまた、ピラネージの眼差…

Fantasia Erotica Japonesa

バルセロナ行きを決意したきっかけでもあったこの展覧会。正直、期待したほどでもなかった。個々の作品がもつ力はともかく、キュレーションが今ひとつというか、「何を見せたいのか」が伝わってこない。エロティックなファンタスムに関しての新しい切り口や…

esplorazione/esplosione タフーリ『球と迷宮』の誤訳?

球と迷宮―ピラネージからアヴァンギャルドへ (PARCO PICTURE BACKS)作者: マンフレッドタフーリ,Manfredo Tafuri,八束はじめ,鵜沢隆,石田寿一出版社/メーカー: PARCO出版発売日: 1992/07メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (10件…

un'architettura infetta

ピラネージの『建築に関する所感』に出てくる表現、「le piaghe di un'architettura infetta nella radice」。infettaが当時もっていたニュアンスを調べたくて、ひとまず大学図書館の開架にあった『Dizionario Etimologico Italiano』を紐解いてみた。 infet…

Paul Citroën, "Metropolis", 1920/23, collage de photographies, 79x59 cm, Collection privée, Autriche. On pourrait définir le collage comme un composé alchimique de deux ou plusieurs éléments hétérogènes, résultant de leur rapprochement ina…

ingenium : nature; (disposition) bent, character; (intellect) ability, talent, genius; (person) genius (Collin Gem, Latin English, English Latin Dictionary) ジャンバッティスタ・ヴィーコによれば、インゲニウムとは離れた場所に在る諸事物を、適…

Henri FocillonのGiovanni Battista Piranesi 1720-1778 : essai de catalogue raisonné de son oeuvre (Paris : Libr. Renouard, H. Laurens, 1918)、リプリント版が2001年にも出ている(http://www.amazon.fr/dp/2884745041/)。日本ではむしろ『形の生…

Barcelona

5日間のバルセロナ旅行で写した写真をuploadしました。 http://f.hatena.ne.jp/baby-alone/BCNArchitectures/ バルセロナの建築と街並。ゴシックからモダニズム、名のあるアーキテクトの作品から平凡な家並まで。http://f.hatena.ne.jp/baby-alone/faces/ ht…

絵画術の書

以前のエントリーで触れたルネサンス期の画家でジョットの曾孫弟子でもあるチェンニーノ・チェンニーニによる技法書Il Libro dell'arte、今いろいろと調べ直してみたら、邦訳も2冊ほど出ているようだ。 中村彝・藤井久栄訳『藝術の書: 絵画技法論』中央公論…

Règlement pour le cabinet des estampes, c.a.1800, Musée des Beaux-Arts à Dijon. Master2論文までは、ピラネージの形態のマニエラのようなものを分析してきたけれど、折角ディジョンに来たということもあるし、もっと個別の事例や個々の資料に密着した調…

活動写真

縁日の見世ものの臭き瓦斯にも面うつし、 怪しげの幕のひまより活動写真の色は透かせど、 かくもまた廉白粉の、人込のなかもありけど、 さはいへど、わかき身のすべもなさ、涙ながるる。鄙びたる鋭き呼子そをきけば涙ながるる。 いそがしき活動写真煤びたる…

ソドム百二十日 (河出文庫)作者: マルキ・ドサド,渋澤龍彦出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1991/04/04メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 70回この商品を含むブログ (36件) を見る一般的な意味での「旅行記」には該当しないだろうが、隔絶された場所に…

同一性と多層性

ある漫画家の方のブログに、ちょっと面白い部分を見つけたので抜粋。 「闘技場〜アリーナ」の前半部分を除いては、手書きの擬音も全て画像から除去して、フランス語に差し替えた完全版。(何で「闘技場〜アリーナ」の前半だけ、日本語の書き文字が残っている…

太陽の都 (岩波文庫)作者: トマーゾカンパネッラ,Tommaso Campanella,近藤恒一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1992/04/16メディア: 文庫 クリック: 6回この商品を含むブログ (13件) を見る太陽の都(トンマーゾ・カンパネッラ、1602年、イタリア語原典最…

Voyage en Espagne

漸くスペイン行きの日程を決め、長距離バスと宿の予約を済ませた。『L'Imaginaire érotique au Japon』の著者であるフランス人Agnès Giardがキュレーションを手掛けたエキシビション「Fantasia Erotica Japonesa」が、バルセロナの画廊であるというので、衝…

ニュー・アトランティス (岩波文庫)作者: ベーコン,川西進出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2003/12/16メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 36回この商品を含むブログ (21件) を見るニュー・アトランティス(フランシス・ベーコン、1627年) 形状:遭難によ…

開放と放出

過日の日記(http://d.hatena.ne.jp/baby-alone/20080824)で触れた、フランスの新聞Libérationに掲載されたという田亀源五郎氏の紹介記事を、日々の無聊を慰めるために邦訳してみた。(いや、本当は暇ではないはずなんだけど。)独特の俗言が多くて、意外と…

Marquis de Sade, "Voyage à Naples", extrait de Voyage d'Italie, 1775-76. http://www.amazon.fr/dp/2743618302/ マルキ・ド・サド『イタリア紀行』からの抜粋。この旅行記の原題は、Voyage d'Italie ou Dissertations critiques, historiques, politique…

殉教者のための嬉遊曲

グイド・レーニ 苦痛と悦楽

滞在許可証の更新

長々しい大学構内オデュッセイアーを終えて、ようやく博士課程登録、滞在許可証更新申請、学生寮の賃借権(?)更新が完了。博士課程登録など、記入しなければならない書類だけでも5種類、さらには3名(指導教官、専攻長、学科長)の署名を面会予約(rendez-v…

ガリヴァー旅行記 (岩波文庫)作者: スウィフト,Jonathan Swift,平井正穂出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1980/10/16メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 35回この商品を含むブログ (50件) を見るガリヴァー旅行記(スウィフト、1726年) 形状:いずれも遭難…