啓蒙主義時代の「機械」イメージ

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技芸とは自然の産物であるという意味では天体や植物や動物と同じだが、それ自身で「逸脱」、「誤謬」をつくりあげている以上、奇蹟とおなじ種類の産物なのである。[…]それゆえ、「技芸の驚異」である靴下織り機もそれなりに「怪物」であり「奇蹟」なのだ。この意味で、靴下織り機はディドロの哲学著作の中で生まれつきの盲人や聾唖者とおなじく重要な位置を占めるのである。項目《靴下》の序論で引用されているペローのテクストも、靴下織り機は人間の原料加工業[ルビ:アンデュストリ]が生みだした奇蹟として、「神の作りたもうたもっともすぐれた機械にも比べられる」とすでに力説していた。

(ジャック・プルースト「『百科全書』から『ラモーの甥』へ――オブジェとテクスト」鷲見洋一訳、『ディドロ著作集第4巻 美学・美術 付・研究論集』法政大学出版局、2013年、513ページ。)