2014-01-01から1年間の記事一覧

ヴィオレッタ [DVD]出版社/メーカー: インターフィルム発売日: 2014/11/05メディア: DVDこの商品を含むブログ (3件) を見るエヴァ・イオネスコ脚本・監督『ヴィオレッタ』2011年 「娘のヌードを撮った女性写真家」イリーナ・イオネスコの「例の娘」エヴァが…

動物を追う、ゆえに私は〈動物で〉ある (単行本)作者: ジャック・デリダ,鵜飼哲,マリ=ルイーズ・マレ出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2014/11/05メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る 獣たち固有のものとは、そしてそれらを人間から最終的に…

締切仕事2本が未だ終わっていないけれど、よく晴れた冬の日の今日はワタリウム美術館の「磯崎新 12×5=60」展(http://www.watarium.co.jp/museumcontents.html)、それからトラウマリスで開催中の「片山真理展 You're Mine」(http://traumaris.jp/space/)…

映画理論集成―古典理論から記号学の成立へ作者: 岩本憲児,波多野哲朗出版社/メーカー: フィルムアート社発売日: 1982/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 7回この商品を含むブログ (5件) を見る この新しいメディア[映画]だけに特有のさまざまな可能性…

視覚と幽霊/亡霊

テレビのエコーグラフィー デリダ〈哲学〉を語る作者: ジャック・デリダ,ベルナール・スティグレール,原宏之出版社/メーカー: NTT出版発売日: 2005/08/30メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (23件) を見るジャック・デリダ「幽霊…

皮膚と痕跡、というか、写真についての言説。ソンタグの『写真論』からの引用もしくは再引用。写真論作者: スーザン・ソンタグ,近藤耕人出版社/メーカー: 晶文社発売日: 1979/04メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 53回この商品を含むブログ (64件) を見る…

首都大学東京2014年後期「イメージの理論」シラバス ■授業方針・テーマ 前期講義「美術史の方法論」で紹介した伝統的なアプローチ以後の、比較的「新しい」方法論としてのイメージ分析を中心に扱う。 「イメージ」という言葉は多義的だが、ここではおおまか…

【メモ】 ○モード批評の黎明 ・トーマス・カーライル(英1795-1881)『衣服哲学』1838年(岩波文庫、復刻版2010年) ・ゲオルク・ジンメル(独1858-1918)「女性と流行」1908年(『ジンメル・コレクション』ちくま学芸文庫、1999年) ・アドルフ・ロース(墺…

お知らせ

『ユリイカ』9月号(特集:サド――没後200年・欲望の革命史)に、「サド、建築家」と題した小文を寄稿いたしました。もうじき書店にも並ぶかと思います。ご高覧いただければ幸いです。 目次はこちら:http://www.seidosha.co.jp/index.php?9784791702770なお…

今日が最終日だったヴァニラ画廊の「オリエント工業 人造乙女博覧会IV」へ。 会場で気付いたのは、まず「ラヴ・ドール」たちが妙に曖昧な表情をしているということ(ラ・スペコラの解剖学のヴィーナスなどを連想した)。人形の保有者が、あらゆる感情や意味…

最近観た映画メモ:デヴィッド・リンチ『インランド・エンパイア』2006年 夢から醒めたはずが、次々と別の夢へと滑り落ちていくかのような、「劇中劇」というメタ構造の枠が溶解してしまったような作品。クリストファー・ノーラン『インセプション』の厳密で…

着衣と裸体、半裸体――バタイユによるサド

エロティシズム (ジョルジュ・バタイユ著作集)作者: ジョルジュ・バタイユ,澁沢龍彦出版社/メーカー: 二見書房発売日: 1973/03/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 私たちにとってエロティックな過剰を思い出させる局面は、必ず一種の無秩…

リルケ『マルテの手記』の廃墟描写

マルテの手記 (新潮文庫)作者: リルケ,大山定一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1953/06/12メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 36回この商品を含むブログ (37件) を見る それから、あんな家があるといったら、果たして誰が僕を信じるだろうか。[…]果たして…

黒沢清やデヴィッド・リンチの映画を見ていてふと思ったこと。「映画内空間とカーテン」というのは結構面白いテーマなのではないか。二つの空間の間を区切りつつ、壁ほど堅固でなく窓のように透明でもなく、しかし扉より曖昧で、波打つ柔らかさと運動性があ…

最近みた映画のメモ デヴィッド・フィンチャー『ファイトクラブ』(1999年)、岩井俊二『ヴァンパイア』(2012年)、それから園子温の『自殺サークル』(2002年)。いずれの作品でも黙示録的世界観に支配された仮名のコミュニケーションが、共同体として確立…

お知らせ

私の博士論文「ユートピア都市の書法――クロード=ニコラ・ルドゥの建築思想」の公開審査日程が決定いたしました。 日時:7月26日(土)14時〜17時30分 場所:東京大学駒場キャンパス18号館コラボレーションルーム3 審査委員 福井大学教授 白井秀和先生 東京大…

リドリー・スコット監督『ブレードランナー』(1982年)のアジア的な汚れた未来都市イメージ

映画的建築/建築的映画作者: 五十嵐太郎出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2009/04/01メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 21回この商品を含むブログ (10件) を見る スコットの世界観はテクノ・オリエンタリズムを想起させる。これは欧米において未来テクノロ…

おしらせ

『ユリイカ』2014年9月臨時増刊号「総特集☆イケメン・スタディーズ」(7/17発売)に「「イケメン」と「美しい男」――否定イケメン学の試み」という論考を寄稿いたしました。「否定イケメン学」は「否定神学」のパロディです。 http://www.seidosha.co.jp/inde…

メモ:ピュグマリオン伝説における「接触」と「見ること」

オウィディウス『変身物語』が伝えるキュプロス王ピュグマリオンの伝説 彼女たち[引用者註:ウェヌス神への不敬から史上初の売春婦にされ、最後は石へと変えられたプロポイトスの娘たち]が汚辱のうちに生活を送っているのを見たのが、ピュグマリオンだった…

お知らせ

『ユリイカ』最新号のウェス・アンダーソン特集「『グランド・ブダペスト・ホテル』へようこそ!」(http://www.seidosha.co.jp/index.php?9784791702725)に、不肖ながら私も「映画における服飾的細部と着崩される文体(スタイル)」を寄稿いたしました。彼の…

衣裳を語る言葉:制服の美学

昭和幻燈館 (中公文庫)作者: 久世光彦出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1992/08/01メディア: 文庫 クリック: 15回この商品を含むブログ (9件) を見る 私は秩序というものは、漆黒または濃紺、あるいは純白の制服の内側に端然と在るものだと思っている。そ…

☆吸血鬼というモティーフ ブラム・ダイクストラなど、ファム・ファタール研究で著名な批評家たちは、男性に悪い運命を持ち込むファム・ファタールとして、サロメやギネヴィア、シャロットの姫などをあげてその象徴性の分析をしているが、その際しばしば、フ…

そごう美術館(そごう横浜店6F)で開催中の「SIMON DOLL 四谷シモン」展に、漸く足を運ぶ。ずっと見たいと思っていた、氏の全活動年代を通した人形作品の数々と対面する。写真で見たのでは分からないディテールやマチエールまで具に観察できて、色々と新鮮な…

客体としての男性(homme objet)について

・ジャン=ポール・ゴルチエ、メンズプレタの初コレクション「l'homme objet (Boy Toy)」(1984年)について語る A year later [in 1984], men wear skirts and prance about sporting outfits cut low in the back. "A piece of clothing doesn't have a gen…

Absolute Nudity

サンドロ・ボッティチェッリ《ナスタージョ・デッリ・オネスティの物語》 1482-83年 アルブレヒト・デューラー 《測定教義》 1527年頃 マルコ・ダグラーテ 《聖バルトロマイ》 1562年、ミラノ大聖堂 オノレ・フラゴナール 「馬と騎手のエコルシェ」 1766-71…

黒沢清のX

『CURE』1997年 『回路』2000年 『アカルイミライ』2003年 『叫』2007年

人形、機械、人造人間、人工生命の系譜

以下の書籍巻末に付された「人造美女編年史」を参考にしつつ加筆したものです人造美女は可能か?作者: 巽孝之,荻野アンナ出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会発売日: 2006/08/30メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (19件) を見る図版パワ…

ベンヤミン・コレクション〈1〉近代の意味 (ちくま学芸文庫)作者: ヴァルターベンヤミン,Walter Benjamin,浅井健二郎,久保哲司出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1995/06/01メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 80回この商品を含むブログ (112件) を見る クロ…

最近みた映画

・黒沢清『カリスマ』1999年、『回路』2000年 『回路』の、生身の人間が壁に焼き付いた「影」になってしまい、やがてその影も塵のように霧散して消えてしまうというプロセスが、アナログ写真の現像の過程を逆回しにしているかのようで面白い。影が壁に焼き付…

欲望の対象、模倣の範型としての男性身体:J.J. ヴィンケルマンと三島由紀夫における男性美

講義や論考の準備のために、昨冬オルセーで開催されたテーマ展『Masculin/Masculin』図録(http://www.boutiquesdemusees.fr/fr/boutiques/musee-orsay/masculin-masculin/6224.html)に収められたC. Dantzigの論考、「偉大な不在:文学における男性裸体」に…