鏡像/ドッペルゲンガー

車窓に映る自分の顔

夜汽車の窓が鏡面と化すというテーマに関して、今までご教示頂いた作品。 ジャック・ターナー『ベルリン特急』 テレンス・デイヴィス『ネオン・バイブル』 クロード・ルルーシュ『男と女』 イングマール・ベルイマン『沈黙』 下のリンクは、映画通の先輩が見…

この詩がナルキッソスの泉から語り起こされていること、そして、この「危険なる鏡」に映った像によって主人公の愛が引き起こされていることを考えあわせてみれば、「像」への愛こそがこの『薔薇物語』の真のライト・モティーフであるように思われてくるだろ…

ジャン・コクトーの『オルフェ』(1949年)を観る。ギリシア神話に登場する詩人オルフェウスの冥界巡りを、現代(最初の戯曲執筆時は1926年)を舞台にリライトしたもの。「鏡」がテーマの映画を挙げるならば、必ず言及されるべき作品だろう。此岸と彼岸の境…

ヒッチコックの『見知らぬ乗客』を観る。自分のような門外漢が論じるまでもないほどの著名作だが、気付いた点をいくつか。 類似のシーンが二度(あるいは複数回)繰り返される。一度目は重要な出来事の伏線として、二度目は単なる無意味なエピソードとして。…

わたしのウクバール発見は、一枚の鏡と一冊の百科事典の結びつきのおかげである。[…](深夜には避けられない発見だが)わたしたちは鏡には妖怪めいたものがあることに気づいた。そしてビオイ=カサレスが、鏡と交合は人間の数を増殖するがゆえにいまわしい…

Mind of a Toy

先日の記事で紹介したVisageの「Fade to Grey」のミュージッククリップは、Godley & Cremeという映像作家コンビによるもの。彼らは元々はミュージシャンだったが、80年代初頭にはミュージックビデオを手掛けるようになったらしい。下に埋め込んだ「Mind of a…

殉教者のための嬉遊曲

グイド・レーニ 苦痛と悦楽

迷宮のナルキッソス

ウェブ上にアーカイヴされている山川純一の漫画作品「俺がいちばんセクシー」(1987年)を読んでいて、ふと気がついたのだけれど、ナルシシズム(この場合はオートエロティシズムと言った方が適切か)は結果的には同性愛に帰着するのではないか。(鏡という…

鏡の破片

Luigi Fenizi, Lo Specchio infranto : sguardi, metafore, enigmi, Roma : Bardi Editore, 2008. 7月末のローマ旅行の際に、通りすがりの本屋の飾り窓で見掛けて、ついつい手に取ってしまった一冊。『砕けた鏡:視線、メタファー、エニグマ』というタイトル…

メーリングリストで回ってきた情報です。 立教大学文学部百周年記念国際シンポジウム 肖像と個性(Portraits and Personality) 2006年10月28日(土) 午後1:00 − 6:30 立教大学 太刀川記念館3階 多目的ホール 英語・日本語 申し込み不要・入場無料開会の辞…

『プラーグの大学生(Der Student von Prag)』シュテラン・ライ監督、1913年。 美しい伯爵令嬢を手に入れるため、大金と引き換えに鏡像を売り渡した青年が、不意に姿を現す自らの鏡像/分身によって破滅に至る物語。金銭と交換に悪魔に自らの分身を売り渡す…

「夜晩く鏡を覗くのは時によっては非常に怖ろしいものである。自分の顔がまるで知らない人の顔のように見えて来たり、眼が疲れてくる故か、じーっと見ているうちに醜悪な伎楽の腫れ面という面そっくりに見えて来たりする。さーっと鏡の中の顔が消えて、あぶ…