Voyage en Espagne

漸くスペイン行きの日程を決め、長距離バスと宿の予約を済ませた。『L'Imaginaire érotique au Japon』の著者であるフランス人Agnès Giardがキュレーションを手掛けたエキシビション「Fantasia Erotica Japonesa」が、バルセロナの画廊であるというので、衝動的に旅行を計画したのがそもそもの始まり。
http://www.artz21.com/ENG/artz21.html(EXHIBITION & NEWS→Fantasia Erotica Japonesa)
折角スペインに行くのなら、以前に特別講義のスペイン・バロック美術史の授業で目にして以来、強烈な印象に残っている着色着衣の聖像彫刻も見てこようと思ったのだが、生憎とアロンソ・カーノやモンタニェスらの作品はマドリーに集中しているらしい。(聖像彫刻についての日本語の情報を探そうとしたら、随分と前に自分が作った「関心空間」が最初に出てきて拍子抜けする。ところで、Parisは従前からフランス式に「パリ」だし、「ベニス」や「フローレンス」も最近はヴェネツィアフィレンツェという現地風の表記が一般的になりつつあるけれど、マドリーは「マドリード」が主流のままなのですね。)


さて、懸案の「滞在許可証期限切れ、更新手続き中の状態で海外旅行できるのか?」という問題だけれど、信頼できる方からアドバイスを戴いたり、プレフェクチュール(県庁)の窓口に直接尋ねたりして、以下のことが判った。

  • 原則として、滞在許可証の効力の無い時点(初回申請中、更新手続き中の期限切れなど)でフランス国外に出国すると、再入国を拒否される。
  • 滞在許可証の「更新」の場合は、プレフェクチュール発行の「レセピセ(récépissé)」があれば、合法的に海外旅行ができる。récépisséの辞書的な訳語は「受取証」だが、滞在許可証に関しては、顔写真、レセピセ自体の有効期限などが記された、一種の公式書類である。ディジョンブルゴーニュ大の出張窓口から申請した場合、レセピセは通常発行されない(事務手続きの簡略化?)。海外旅行の予定がある場合は、交通機関(飛行機、電車、長距離バス等)のチケット(行きの分だけでよい)を持って県庁の移民窓口に赴き、レセピセを発行してもらう必要がある。レセピセ発行までには1週間くらい掛かる。
  • EU加盟国(英、アイルランドを除く)とその他若干のヨーロッパ諸国は「シェンゲン協定」を結んでおり、締結国間では国境検問が廃止されている。したがって、フランスから(ピレネー越えで)スペインに行く場合、国境でのコントロールはないはずで、滞在許可証期限切れが問題となる可能性も、現実にはほぼないと考えていい。

(追記:事実問題として国境検問がないとしても、潜在的には触法行為だと思われます。シェンゲン協定国からフランスに再入国する際の電車内で、期限切れの滞在許可証についてしつこく追究された在仏邦人の噂も、最近耳にしました。類似の状況下で海外旅行を計画されている方には、レセピセなりvisa de retourなりを取得してからフランスを出国されることをお勧めします。)