un'architettura infetta


ピラネージの『建築に関する所感』に出てくる表現、「le piaghe di un'architettura infetta nella radice」。infettaが当時もっていたニュアンスを調べたくて、ひとまず大学図書館の開架にあった『Dizionario Etimologico Italiano』を紐解いてみた。

infetto, -are(XVI sec.), avvelenato(毒を盛られた), guasto(痛んだ), corrotto(腐敗した、堕落した), inquinato(汚染された、腐敗させられた、堕落させられた、毒された)
lat. infectus (part. di inficere tingere(染める、汚す), inquinare(汚染する、腐敗させる、堕落させる), avvelenare(毒を混ぜる、汚染する、損なう、害する), corrompere(腐敗させる、台無しにする、堕落させる、破滅させる))

「根本から汚染された建築の(複数の)傷」。infettareには(悪い)影響を与える、伝染させるという意味がある。ピラネージの文脈は、「厳格主義者たちはローマ人を、ギリシア建築を堕落させたとして糾弾するが、しかしギリシアの建築も、根本からinfettaであり、傷をもっていた」というもの。infettaを「感化」や「伝染」の意味に取ると、さらに先行する影響関係があるというニュアンスにとれそうだけれど、この一語にそこまで過剰な意味を読み取るのも危うい気もする。「傷」「感染・伝染」「癒す」と、身体と病に関する比喩が連続している点には注意が必要。
写真は、『Dizionario Etimologico Italiano』の扉頁に印刷されていたエンブレム。薔薇と蜂。