着衣と裸体、半裸体――バタイユによるサド

エロティシズム (ジョルジュ・バタイユ著作集)

エロティシズム (ジョルジュ・バタイユ著作集)

私たちにとってエロティックな過剰を思い出させる局面は、必ず一種の無秩序を示している。裸体は、私たちが互いに着物を着ることによって保っている礼儀作法を破滅に瀕せしめる。[…]裸体に触れたついでに、半裸体の奇妙さについても述べておこう。それは肉体の無秩序をさらに強調することにしかならず、完全な裸体よりももっと自堕落で、もっと裸なのである。虐待と殺人は、この破滅の運動の延長である。同様に売淫とか卑猥な言葉とかいった、エロティシズムと汚辱とのあらゆる結びつきも、悦楽の世界を堕落と破滅の世界にするのに与って力のあるものだ。
(上掲書、248ページ。)

ちくま学芸文庫版(酒井健訳、ベルニーニの《聖テレジアの法悦》が表紙のあれ、と言った方が分かりやすいかもしれない)を以前に購入したような気がしていたのだが、勘違いだったようだ。