痕跡・インデックス・版

【メモ】フロイト「文化の中の居心地悪さ」新訳 心の生活においては、一度形成されたものは何ひとつ滅びず、すべてが何らかのかたちで保存されており、たとえばその時期にまで届く退行のような機会に恵まれると、ふたたびおもてに現れてくることがある……。こ…

これもふと思い浮かんだこと。川端康成の『片腕』に、テオフィル・ゴーティエの『ミイラの足』の影響はなかったのだろうか?(CiNiiやGoogle Scholarも含め、ざっとインターネット検索した限りでは情報が出てこない) ゴーティエの身体断片が(亡霊という形…

羊皮紙に尖筆で記すこと/消すこと

動物の皮膚のような物質の表面に徴をつけるときの、野蛮とは言わぬまでも激しい行為について、私たちは心に留めておくべきである。人は先のとがった器具を用いて何らかの方法で動物の皮膚に穴を開け、凸凹にし、「傷つけ」なければならない。書き込んだもの…

皮膚と痕跡、というか、写真についての言説。ソンタグの『写真論』からの引用もしくは再引用。写真論作者: スーザン・ソンタグ,近藤耕人出版社/メーカー: 晶文社発売日: 1979/04メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 53回この商品を含むブログ (64件) を見る…

想起のかたち―記憶アートの歴史意識作者: 香川檀出版社/メーカー: 水声社発売日: 2012/11メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (4件) を見る本書で扱われている「場所と記憶」や「痕跡と過去の想起」は、以前から関心を寄せていたテーマ。特…

指紋論 心霊主義から生体認証まで作者: 橋本一径出版社/メーカー: 青土社発売日: 2010/10/23メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 66回この商品を含むブログ (30件) を見る指紋には「推理」の介入する余地がない、という指摘が特に面白かった。すなわち、足…

アナクロニズム日記その1

「かたちは、うつる」展(国立西洋美術館) 夏になると西洋美術館で開催される、版画や素描をテーマとした展覧会。その中でも今回の展示は、テーマ設定の仕方がとても新鮮で面白い。版画は原版を紙に「転写」することでイメージを得る技法だが、ここでの「う…

カラクテール(性格/特徴/文字)の原義

キリストの身体―血と肉と愛の傷 (中公新書)作者: 岡田温司出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2009/05/01メディア: 新書購入: 6人 クリック: 26回この商品を含むブログ (22件) を見るイコンにおいて、不可視の原型はいかにして可視化されうるのだろうか。…

とある事情で「遺骨の航空輸送」について調べていたところ、オンライン検索でやたらと引っ掛かってくるサイトが二種類。遺骨からアクセサリー製作を行っているという業者のものと、海外戦没者の遺骨返還を求める運動のサイトである。 一言で「遺骨アクセサリ…

ex voto

考古学博物館の収蔵品から。 上段はex votoと呼ばれる奉納物。病に冒された身体部分の模造を神に捧げ、快癒を祈願したもの。手や脚、頭部などの表現はとてもリアルなのに、生殖器関連は妙に抽象化・形式化された造形になっていた。 頭部のない石像は、紀元後…

筆跡の心理学

J. Crépieux-Jamin, L'écriture et le caractère, Paris:P.U.F, 1947 (15e ed., 1960). Centre Villeにある骨董通りの古本屋で、偶然見つけた一冊。初版は1947年で、筆跡から書き手の性格を「診断」するための指針が書かれている。

記憶と書記行為

皮質の場合であろうと、あるいは社会文化的な用語に翻訳して、われわれが書くこと(ecriture)と呼んだものの場合であろうと、常に書き込み(inscrire)がなされなければならないとということは、確実に言える。書き込むことなしに、つまり何の支え(support…

「プラート美術の至宝」展(損保ジャパン東郷青児美術館)と「写真はものの見方をどのように変えてきたか 第4部 混沌」展(東京都写真美術館)に足を運ぶ。☆☆☆プラートはフィレンツェ近郊の小都市。フラ・フィリッポ・リッピを中心に、14世紀から18世紀まで…

何かの検索の折に偶然引っ掛かったページ、「アーティストの痕跡:身体編」。[美術史の諸言説][署名論] ストイキッツァが論文集"Der Kuenstler ueber sich in seinem Werk"に寄稿している論文を本腰を入れて読んでいるけれど、ほとんど全ての単語を辞書…