最近みた映画のメモ
デヴィッド・フィンチャーファイトクラブ』(1999年)、岩井俊二『ヴァンパイア』(2012年)、それから園子温の『自殺サークル』(2002年)。いずれの作品でも黙示録的世界観に支配された仮名のコミュニケーションが、共同体として確立することなく解けてゆく。偶然だろうが、3作とも一般社会の有用性や合目的性から放擲された、圧倒的に自由で無秩序な場として廃墟化した建物が出てきて、犯罪めいた儀式的行為の場となっている。『ファイトクラブ』で「ドリアン・グレイの肖像」的結末が展開する無人の高層オフィスビル空間は、『深夜の告白』(ビリー・ワイルダー監督、1944年)で犯罪の告白がなされる人気のない深夜の事務所の、末裔のようにも思われる。