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最近観た映画メモ:デヴィッド・リンチ『インランド・エンパイア』2006年
夢から醒めたはずが、次々と別の夢へと滑り落ちていくかのような、「劇中劇」というメタ構造の枠が溶解してしまったような作品。クリストファー・ノーラン『インセプション』の厳密で綺麗な入れ子構造とは対照的。
映像内に映るテレビやスクリーンの枠、ノイズの多い映像とその観者、カメラが少し引いて映る撮影機材といった、直前まで映し出されていた映像とストーリーが実は「劇中劇」であったことを示すモティーフの使い方が面白い。部屋や建物(ドアや外壁に規則性の無い数字が振られている)の移動と、「メタレベル」の移動とが共振しているのだろうか。
本作は「映画を作る映画」という自己言及的な構造の作品で、この点ではおそらく相当な同類の系譜があるのだろうと推測する。代表的なものとしてフェリーニの『8 1/2』をまず思いついたけど、これは映画を作るというよりも、映画を作ろうとして失敗する映画だったっけ。