nomi in cornice

画家の署名にまつわるアンソロジー

  • "Revue de l'Art", No.26, 1974

フランスの美術史関係の学術雑誌。この号の特集は、"L'art de la signature(署名の技術)"。アンドレ・シャステル、アン=マリー・ルコック、ジャン=クロード・レーベンシュタインといった面々が執筆を手掛けている。
Vladimir Jurenという論者による二つの論考、'La signature epigraphique'(碑銘としての署名)と'Fecit-feciebat'(fecitは「為す」の単純な過去形、feciebatは中断・宙吊りのニュアンスを含む過去形、らしい。「画家名+fecit/feciebat」は署名にしばしば用いられた表現。)は、ちょうど自分の考えていることとも通底するテーマを扱っている。

  • 『西洋美術研究』No.3,2000

特集は「イメージの中のイメージ」。画家の自己表象の一つとして、署名の問題も取り上げられている。

  • Matthias Winner ed. "Der Kuenstler ueber sich in seinem Werk" Weinheim: VCH,1992.

1989年にローマのヘルツィアーナ図書館で開催された国際シンポジウムに基づく論文集らしい。ヴィクトル・ストイキッツァの論文'Nomi in cornice'(額縁/フレーム/コーニスの中の名)は、銘板上に刻むかたちで表現された画家の署名を巡る考察。(残念ながらこのアンソロジーはドイツ語論文がほとんどである。東欧生まれのマルチリンガルであるストイキッツァが、ドイツ語を使用せずに署名論を書いてくれたのが不幸中の幸い。)