【メモ】

 

松本卓也『享楽社会論』から。

ラカン派の精神分析家、ジャック=アラン・ミレールは、「普通精神病」という新たな用語を提唱するに際して、興味深いことを言っている。前提としてミレールは、統合失調症の軽症化のような現状を前に、現代的な精神病の徴候を、「脱接続というモード」に見出している。

①社会的外部性:社会のなかに固定した位置を占めない(社会や共同体からの脱接続、あるいは過剰な同一化、「職を持つことは〈父の名〉)。ミレールは昔からよく観察されていた統合失調症者の放浪の代表例として、ルソーを挙げている。

 

②身体的外部性:「身体」という視点から興味を引かれたのがこの部分。以下、松本によるミレール理論の紹介の文章を抜粋。

普通精神病では身体が自己に接続されず、ズレをはらむことがある。この実例は、ジョイスが『若い芸術家の肖像』のなかで記述した、自己の身体が崩れ落ちるような体験である。このような身体の不安定性に対する対処行動として、ミレールは「タトゥー」を挙げている。つまり、彼らにとって「タトゥーは身体との関係における〈父の名〉になる」のである。

(上掲書、42ページ)

 

③主体的外部性:独特の空虚感

 

(途中)