断片的思考を留めた覚え書き

monstreとはmixteな存在であるとフーコーコレージュ・ド・フランス講義『異常者たち』の中で言っている。これは18世紀のmonstre概念と照らし合わせても、適切な規定だろう。しかしまた「畸形」は、移行段階に存在する中間形態という性質も持ち合わせているのではないだろうか。こういうところから論拠を持ってくるのは粗暴かもしれないが、飯沢耕太郎氏は『少女古写真館』(http://www.amazon.co.jp/dp/4480086676/)の中で、フリークスを「怪物と人間の間の推移」として捉え、幼児から大人になるまでの推移の中に存在する「少女」と同列に置いている。もしmonstreが「狭間」や「移行途中」の存在であるとするならば、フランス革命前後という時期――バロック新古典主義、無秩序な過剰さと幾何学的純粋性、情念と理性との狭間の時期――に、ルドゥーがmonstrueuseと称される建築構想を生み出してしまったことに、説明がつくのではないか。