ルドゥー

半円形と帰属性

大学図書館にて、クロード・ペローが仏訳した『建築十全』の原版(1673年パリ刊行)を閲覧。帝政ローマ時代の建築家ヴィトルヴィウスによる建築理論書の仏訳で、図版も復元されている。 Galicaのオンラインデータはこちら:http://visualiseur.bnf.fr/ark:/12…

怪物と化す装飾

J.F.ブロンデルは「怪物のごとき作品」を生ぜしめるとして、「従来の様式と古代、ゴシックと当世風、重厚なものと繊細なものとを無理に組み合わせた」装飾意匠を糾弾する。カトルメール・ド・カンシーもまた、ルドゥーによるパリの徴税市門のにおける、過剰…

パンテオン(パリ)の断面図に、ローマの半円形劇場と相似の形態を見つけてしまった。 ヴィトルヴィウスの仏訳(1673年刊行、クロード・ペローによる)以来、劇場をはじめ、あらゆる建築空間に好んで使われるようになった形態。ディジョンの大公宮殿前のリベ…

語る建築(l'architecture parlante)

Ledoux était partisan de ce qu’on a appelé depuis l’architecture parlante ; il croyait avoir trouvé une merveille en faisant la maison d’un vigneron en forme de tonneau ; il eût sans doute fait celle d’un buveur en bouteille, etc. Ce systè…

思考の屑篭

2. 1. 造物主と太陽光線ルドゥーによる建築構想の中で最も広く知られているのが、『建築論』に収められた「ショーの都市」の計画図であろう。一人の旅行者に仮託された語り手ルドゥーの視線は、この理想都市に置かれた建築物を順繰りに辿っていく。それは現…

思考の屑篭

建築の起源について 建築の根源ないし原理を、ヴィドラーは「ソロモンの神殿」と「アダムの家」の二項に大別している。すなわち、神の力による建造物という象徴的・フリーメイソン的な発想と、自然の力に基づく原始の小屋という唯物論的な思考の二種である。…

Béatrice Didier, "Ledoux, écrivain", édité par Ternois Daniel, Soufflot et l'architecture des Lumières, SNRS, 1980, pp.253-259. 『スフロと啓蒙主義時代の建築』と題された論集に収められた、「著述家」としてのルドゥーに焦点を当てた論考。装飾過…

これから読むべきもの

ブロニスラフ・バチコ『革命とユートピア』森田伸子訳、新曜社、1990年. (Bronislaw Baczko, Lumières de l'utopie, Paris, 1978.) 現在アマゾンでは中古しか扱っておらず、30,000円という強気の値段が付いている。 Amazon.jpのページ:http://s-url.jp?119…

隣県フランシュ・コンテにあるアルケ・スナンの製塩所にようやく行ってきた。半円状に配置された建物は意外とこぢんまりとしていて、空ばかりが広大だった。半円の直径にあたる直線上には塀が巡らしてある。監督官の館の真後ろの塀には木の扉が付いていて、…

Jean-Claude Lebensztejn, Transaction : Fleurs de rêve II, Editions Amsterdam, 2007. http://www.lekti-ecriture.com/editeurs/Transaction.html レーベンステインの近著。上記サイトの紹介によれば、ルドゥーについての言及もある模様。

パリにあるモンソー公園の、疑似廃墟群とルドゥーによるロトンダ。三宅理一氏の『エピキュリアンたちの首都』には、この庭園デザインとフリーメイソン思想との関連について記述がある。エピキュリアンたちの首都作者: 三宅理一出版社/メーカー: 學藝書林発売…

パリにあるルドゥーの作品

La barrière de la Villette (1784-89)ラ・ヴィレットの市門 所在地:ラ・ヴィレット広場(Place de la Villette)、最寄駅:Stalingrad La barrière d'Enferダンフェールの市門 所在地:ダンフェール・ロシュロー広場(Place Denfert Rochereau)、最寄駅:De…

パリ第1大学美術史学科のLe Centre Ledouxで、2004年に開催されたコロック「Claude-Nicolas Ledoux et le livre d’architecture en français」の記録→http://www.inha.fr/IMG/pdf/progr-colloque-ledoux.pdf 2005年6月にあった「La nature citadine au siècl…

未来的ユートピアと理想的古代、幾何学的図形のシンボリズム芸術(アルス)と生政治(ビオス)作者: 岡田温司出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2006/04/18メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (18件) を見るピラネージや革命期のペーパ…

http://www.feugereux.info/l3/ledoux.htm:ルドゥーについての情報サイト。まだ構築途中だが、文献情報が若干載っている。 M. Raval, Claude Nicolas Ledoux, Arts et métiers graphiques, Paris, 1946H. Leclerc, Au théâtre de Besançon, 1775-1784, Claud…

磯崎新(写真:篠山紀信)『磯崎新の建築談義#10 ショーの製塩工場』六耀社、2001。(ISBN:4897373921)フランス革命の前後を生きたヴィジオネールの建築家、C.N.ルドゥーとその作品を、建築家磯崎新が語る。聞き手は五十嵐太郎。幾何学的な純粋形態を追究し…

読了本エピキュリアンたちの首都作者: 三宅理一出版社/メーカー: 學藝書林発売日: 1989/02メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (4件) を見る18世紀の建築や建築理論と、同時代に盛んであり、多くの建築家や知識人たちも参画していたフリーメ…

新古典主義のドラフツマンたち

ジャン=ロラン・ルジェ(Jean-Roland Lejay?スペル未確認:生没年不詳) 古典古代のローマの姿を幻想的に描いたドローイングを残す。1737年〓42年頃までローマ滞在。若き日のピラネージに影響を与える。ローマを去った後、プロイセンのフリードリヒ大王に雇わ…