都市と建築のイメージ

都市と建築の解剖学

パリ―都市の記憶を探る (ちくま新書)作者: 石井洋二郎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1997/08メディア: 新書購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (1件) を見る石井洋二郎氏の著作『パリ――都市の記憶を探る――』に、「都市の解剖学」という自分自…

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ルドゥーによる書籍の物質的な側面について。 1773年頃(仏革命による投獄以前)から、作品の版画化と刊行を企てる。リュック=ヴァンサン・ティエリーによる年刊パリ旅行案内に、この出版計画についての言及がある。(しかし、なんでパリガイドに?) 活字は…

お知らせ

北仲スクール(横浜文化創造都市スクール)公開講座[第一期] 「サブカルニッポンのアーキテクチャ」 いまや都市文化の重要な一角を占めるほどに拡大増殖中のサブカルチャーだが、定義は依然として曖昧で、「カワイイ」「クール」「ヤンキー」「オタク」と…

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この建物は前面がガラス張りなので、暗闇の中ではドールハウスのように内部の全貌を見通せる。灯の点いた室内を外から眺めるときの、奇妙な疎外感が昔から好きだ。矩形に切り取られた柔らかな淡黄色の光は、隔てられているが故にいっそう親密な感じがする。

講演会のお知らせ

新中期教育プログラム「イメージ研究の再構築」第3回講演会 UTCPレクチャー 「時間に住む、あるいは廃墟の詩学」 2009年10月2日(金) 16:30–18:00 東京大学駒場キャンパス18号館4階 コラボレーション・ルーム3[地図] 使用言語:フランス語(講演原稿を配…

お知らせ

岩波書店の『思想』に、拙論が掲載されました。書誌情報は以下の通りです。 小澤京子「建築のヒエログリフ――クロード・ニコラ・ルドゥーによる都市構想」『思想』2009年10月号、50-80ページ. 大量の図版掲載を許可して頂いたことをはじめ、編集担当の方の多…

ノートル=ダム・ド・パリ (ヴィクトル・ユゴー文学館)作者: ヴィクトル・ユゴー出版社/メーカー: 潮出版社発売日: 2000/11/22メディア: 単行本 クリック: 14回この商品を含むブログ (12件) を見る 【建築の身体・建築の皮膚】 つまり、いままで述べたことを…

ルドゥーに代表される「語る建築(l'Architecture parlante)」を、パースの記号の3分類に当て嵌めてみることはできないだろうかと、ふと考える。建築物の外観が、その用途や性質、住人の身分を直接に物語っている(例えば、「樽職人の仕事場」としての建築…

夢の中の建築旅行

Francesco Colonna, Hypnerotomachia, The Strife of Love in a Dream, London, 1592, fac. NY & London, Garland Publishing, 1976. フランチェスコ・コロンナによる『ポリフィロの夢』(16世紀に出された英訳版のファクシミリ)。「書物」の上で様々な建築…

ブルジョワの室内と装飾品としての「教養」

音楽史を専門とし現在はフランス留学中の知人から、1920年代のフランスで「ピアノ税」なるものが課されていたことを聞く。奢侈税の一種だったのだろうかとか、この頃から比較的富裕な市民階級にピアノが普及していったのかもしれないなどと考えを巡らせると…

カラクテール概念の射程

始終、此本をお読み下さる間じゅう、著者はさまざまの性格即ち当世気質の色々を描いているのだということを、念頭においていただきたいということである。まったく、私はそれらの性格を屢々フランスの朝廷や我が国民の間から採ってはいるけれども、さればと…

「場所」としての廃墟

届いたばかりの『美學』234号巻頭論文、西村清和『場所の記憶と廃墟』(2-15ページ)を読む。 自分の研究は、「二次元」として表象された廃墟に注目してきたために、「身体が参画する場としての建築物」という観点が、いつの間にか抜け落ちていた。現象学に…

imagery we never come to see is blind

以下は自分自身のための覚え書きとして。 残像のなかの建築―モダニズムの“終わり”に作者: 田中純出版社/メーカー: 未来社発売日: 1995/07/01メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (6件) を見るリンフェルトが扱う主題はルドゥーなどの〈革命…

カラクテール(性格/特徴/文字)の原義

キリストの身体―血と肉と愛の傷 (中公新書)作者: 岡田温司出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2009/05/01メディア: 新書購入: 6人 クリック: 26回この商品を含むブログ (22件) を見るイコンにおいて、不可視の原型はいかにして可視化されうるのだろうか。…

風景画の空間性

通例、風景画において空間は、全体を結合する形式として現れる。すなわち、すべての内容をおのれのうちに押しこみ、おのれの好むままに規定する図式として。明確に構成された空間、形姿としての空間は、たとえ内容としての素材や色彩がすべて消え失せようと…

ルドゥー『建築論』の「エクスの監獄」に関する部分では、死者の頭部からその性格や罪状が分かるとする解剖学者「トルナトリー(Tornatory)」が登場する。白井秀和氏による註解付き邦訳(『ルドゥー『建築論』註解』中央公論美術出版、1993年)の訳注では、…

建築のphysionomie

ルドゥーはショーの製塩工場において、「劇場的」な属性と三次元的構造を組合せることで、建築物に適切な「カラクテール」を付与し、権力と生産を表す精巧なアレゴリーを生み出した。エクスの監獄で試みられたのは、建築物への「顔貌(physiognomy)」あるいは…

田中純「建築と文字――アレゴリー的試論――」磯崎新・岡崎乾二郎監修『漢字と建築』、INAX出版、2003年、200〜217頁. 文字こそは極めつけのアレゴリーにほかならない。なぜなら、イメージと言語的意味作用との間の深淵に沈潜するのがアレゴリー的記号の特徴で…

パリ旅行記:étoile polygone

ジャン・ヌーヴェル設計のアラブ世界研究所。 ガラスの裏側に設置されたシャッター。カメラの絞りと同様の仕組だというこの装置は、裏面から見ると手が切れそうなくらい無機的でメカニックな印象だ。このシャッター構造が作り出す八芒星の反復は、イスラム建…

メディアとしての建築

彦坂裕「語る建築、語られる空間」菊地誠編『メディアとしての建築 ピラネージからEXPO’70まで』東京大学総合研究博物館、2005年、93-100ページ、より。 いくつかの重要なことがらが、こうした建築と外的メディア(ここでは銅版画)の連帯によって孵化しはじ…

先日の日記(http://d.hatena.ne.jp/baby-alone/20090313)で触れたl'école nationale des ponts et chaussées(フランス国立土木建築高等学院)所蔵の18世紀の建築デッサンに関して、本格的な研究が出ていることが判明。 1)Antoine PICON, Architectes et …

表象文化論学会のオンライン・ニューズレター『ルプレ』08号に、「海外研究動向紹介」を寄稿いたしました。 http://repre.org/repre/vol8/abroad/index.html 「二次元」の建築を巡る動向について、「ディジタル・アーカイヴス」と「書物」を巡る二つのシンポ…

かつて製靴工場だった建物の取り壊しが、本格的に決定したようだ。昨年インターン研修をした現代アートギャラリー、Consortiumの事務所が入っていた場所である。(参照:http://d.hatena.ne.jp/baby-alone/20080627)アパートメント・コンプレックス計画(設…

重畳と分裂

l'Ecole nationale des ponts et chaussées(土木建築技術に特化した国立高等学院)の図書館にて、ちょっと面白い図面を何枚か見つける。地図や建築図面、ボザール流のデッサン、まったく無関係なトランプのカードなどが、いわゆる「トロンプ・ルイユ」の手…

amazon.jpから、「以前に多木浩二『生きられた家』をお求めの方に」ということでお薦めメールが来た書籍。都市美運動―シヴィックアートの都市計画史作者: 中島直人出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2009/02/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品…

ゲルマニア幻想

アメリカで2006年に放映されたというドキュメンタリー「Lost Worlds: Hitler's Supercity」をキャプチャーした動画を、YouTubeで発見。ヒトラーによるメガロマニアックな都市構想を追った企画である。ヒトラーとアルベルト・シュペーアの恊働による都市計画…

prêt inter-bで頼んでいたアンソニー・ヴィドラー論文のコピーが、漸く届いた。 Anthony Vidler, "The Idea of Type : The Transformation of the Academic Ideal, 1750-1830", in Oppositions / Institute for Architecture and Urban Studies, 1977(spring…

建築のアルファベットと顔貌性

円や正方形、それは優れた作品の織り地(テクスチュール)において作者の用いるアルファベットだ。これによって、叙事詩や哀歌が作られ、羊飼いが謳われ神が称えられ、そして至高価値、威力、悦楽を奉る神殿が建立される。住居と社会秩序から放擲された建物が…

装飾と怪物性

Jacques François Blondel, Cours d’architecture, ou Traité de la décoration, distribution et construction de bâtimens ; contenant les leçons données en 1750 et les années suivantes par J. F. Blondel, architecte, dans son école des arts. Pub…