都市と建築のイメージ

シェフィールドで開催された7th Annual AHRA (Architectural Humanities Research Association) Research Student Symposiumにて口頭発表するため、10月20日から27日までイギリスに滞在。学会を終えた23日以降は、ロンドンに。新古典主義期の建築を見物した…

シンポジウムのお知らせ

私の企画によるシンポジウムが、いよいよ開催の運びとなりました。ぜひご来場ください。 ■シンポジウム「建築保存の現在」 【趣旨】 近年とみに、歴史的建造物を様々な形で「保存」する試みが盛んとなっている。 その形式は、現状そのままの「保存」から、ア…

思考の屑篭

Il est, en effet, une assimilation presque directe qui paraît possible entre l’espace et le langage : c’est celle du parcours et de l’énoncé, de l’itinéraire et du discours. On retrouve en cela le récit de voyage sous la forme du frayage d…

自分自身のためのメモ

ピラネージの賛同者たちによる建築 ジョン・ソーン Pitzhanger Manor House Gallery & House http://www.ealing.gov.uk/services/leisure/museums_and_galleries/pm_gallery_and_house/history/ The opening hours are Tues-Fri 1pm-5pm, Sat 11am-5pm. ウィ…

思考の屑篭

多木浩二はフランスの地理学者ルプティを引きつつ、サン・テティエンヌという小都市に関する記述に見られる時間性・空間性が、18世紀前半と後半ではラディカルな変質を被ったことを指摘している。すなわち、1718年には、この都市は時間と空間の中に固着し、…

建築の観相学

この日の日記(http://d.hatena.ne.jp/baby-alone/20100326)で触れた、等角投射図法と人間の表情とを重ね合わせた図面、作者のHumbert de Supervilleについて調べてみたら、他にもいろいろと面白い「建築の観相学」を展開しているらしいことが分かった。 彼…

シャルル・ル・ブランによる観相学を建築理論に導入したニコラ・ル・カミュ・ド・メジエール(Nicolas Le Camus de Mézières)のLe génie de l'architecture, ou l'analogie de cet art avec nos sensationsも、Google Bookに捕捉されているのを発見。目次ペ…

フランチェスコ・ミリツィア(Francesco Milizia)の『市民建築の原理(Principi di architettura civile)』(1785年)が、Google Books上にアップロードされているのを発見。 http://books.google.co.jp/books?id=NWoOAAAAQAAJ 日本の大学図書館では京大の…

陽明門を視るピエール・ロティ

東照宮の近代―都市としての陽明門作者: 内田祥士出版社/メーカー: ぺりかん社発売日: 2009/06メディア: 単行本 クリック: 14回この商品を含むブログ (7件) を見る内田祥士は『東照宮の近代』で、明治時代の「外国人」が東照宮に注いだ眼差しの例として、イギ…

Writing Architecture Conference

「建築の記述」をテーマにした国際シンポジウムが、7月22・23日にオーストラリアのブリスベンで開催されることを知る。(発表者募集期間は既に終了。) http://www.uq.edu.au/atch/index.html?page=129791 INHAで連続的に開催されている「Livre et Architect…

マルキ・ド・サドはパリに閨房(boudoir)の建設を構想し、スケッチを残しているという(こちらのサイトの註16)。さて、このスケッチは何処で見られるのか……ひとまずフランス国立図書館のgalicaで検索してみたが、サドに関してはmanuscritやimageは収録され…

『10+1』のサイトにて、バックナンバーがデータベース化されました。筆者名や固有名詞、キーワードでも検索できるシステムです。 http://tenplusone-db.inax.co.jp/拙論もご収録いただきました。 http://tenplusone-db.inax.co.jp/backnumber/article/artic…

建築の保存・修復・復元が孕む諸問題

『建築雑誌』2010年1月号(特集:検証・三菱一號館再現) http://www.xknowledge.co.jp/book/detail/85551001 前半に収められた座談会と鼎談では、三菱一号館の「再現」が孕む問題(と可能性)が、多様な視点から明らかにされる。後半は、建築の「再現」を取…

amazon.frに注文していた書籍が届く。 Thierry Mandoul, Entre raison et utopie : L'Histoire de l'architecture d'Auguste Choisy, Mardaga Editions, 2008. http://www.amazon.fr/dp/2870099509/ まだパラパラと捲ってみただけなのだが、一つ面白い図版を…

断片的思考を留めた覚え書き

monstreとはmixteな存在であるとフーコーはコレージュ・ド・フランス講義『異常者たち』の中で言っている。これは18世紀のmonstre概念と照らし合わせても、適切な規定だろう。しかしまた「畸形」は、移行段階に存在する中間形態という性質も持ち合わせている…

Michel Le Moël, L'urbanisme parisien au siècle des Lumières, Action Artistique, 1997. http://www.amazon.fr/dp/2905118903/ フランス革命前後になると、「incendie(火災、戦火)」によって崩壊する建築を描いた絵画が登場する。アンシャン・レジーム…

三菱一号館も含む丸の内地区オフィスビルの「保存」や「復元」は、当該地区の「再開発」計画の一環であるらしい。再開発のための都市プロジェクト(=未来への企図)に、「古き良き時代」の空間や様式・意匠が援用されるという捩じれ。展覧会カタログ『一丁…

盗まれた手紙 (バベルの図書館 11)作者: E・A・ポー,ホルヘ・ルイス・ボルヘス,富士川義之出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 1989/03メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見るレミ・ド・グールモンは「ユイスマンスはひとつの眼で…

一丁倫敦と丸の内スタイル―三菱一号館からはじまる丸の内の歴史と文化作者: 岡本哲史出版社/メーカー: 求龍堂発売日: 2009/09/09メディア: 大型本購入: 1人 クリック: 18回この商品を含むブログ (3件) を見る思想としての日本近代建築作者: 八束はじめ出版社…

廃墟とカタストロフィ

取り寄せて読んでいた雑誌の中で、自分の思考に突き刺さってきた一節。 TH no.39 カタストロフィー 〜セカイの終わりのワンダーランド (トーキングヘッズ叢書 第 39)作者: アトリエサード出版社/メーカー: 書苑新社発売日: 2009/07/30メディア: 単行本購入: …

瞬間的廃墟

ルイ16世治世下(アンシャン・レジーム末期)のパリ改造についての記述を見つける。 http://www.paris.fr/portail/Culture/Portal.lut?page_id=6638&document_type_id=4&document_id=19851&portlet_id=15100&multileveldocument_sheet_id=2937 そもそもの発…

中世のフォロ・ロマーノ

廃墟論作者: クリストファー・ウッドワード,森夏樹出版社/メーカー: 青土社発売日: 2003/12/19メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (4件) を見る 古典期のローマが崩壊してから18世紀にいたるまで、フォーラムで見かける建物といえ…

未来の自分自身に向けた覚え書き

大伽藍作者: J.K.ユイスマンス,出口裕弘出版社/メーカー: 光風社出版発売日: 1985/09/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る【色彩】 こうして、画面に横溢するあの高名な青は、玉座の両側にわたってほとんど同一の様式で、階…

未来の自分自身に向けた覚え書き

ノートル=ダム・ド・パリ (ヴィクトル・ユゴー文学館)作者: ヴィクトル・ユゴー出版社/メーカー: 潮出版社発売日: 2000/11/22メディア: 単行本 クリック: 14回この商品を含むブログ (12件) を見る【建築に刻まれた文字】 五、六年まえのことだが、この物語の…

プルーストにおける建築と風景

植物の構造を建築物に喩える。 眼前の光景を絵画のように眼差す。(c.f.ピエトロ・アレティーノ書簡に見られる風景描写) 色彩(とりわけ空や光の色、水面への反映)に対する敏感さ、表現の多彩さ。 プルーストの捉える「色彩」は、光やその反映、それらの移…

化粧 (トラヴェルス)作者: 今村仁司,ジャンボードリヤール出版社/メーカー: リブロポート発売日: 1986/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (2件) を見るこちらの書に収められた、ジャン=クロード・レーベンシュテイン(浜名優…

化粧 (トラヴェルス)作者: 今村仁司,ジャンボードリヤール出版社/メーカー: リブロポート発売日: 1986/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (2件) を見るアドルフ・ロース「装飾と犯罪」(山田登世子訳)をはじめ、絵画の本質を…

アメリカの廃墟写真サイト。 http://www.opacity.us/ 時間が埃となって降り積もっている。

書物としての大聖堂

ユゴーの『ノートルダム・ド・パリ』中の建築描写に対する関心から、他の文学者における「テクストの中の建築」にも手を広げる。手始めに、プルーストとバタイユから。「建築物」というよりも、彼らにとって重要なのは「大聖堂(カテドラル)」なのだ。当然…

歴史の場としての都市と、その受肉化夜のガスパール―レンブラント、カロー風の幻想曲 (岩波文庫)作者: アロイジウスベルトラン,及川茂出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1991/11/18メディア: 文庫 クリック: 8回この商品を含むブログ (8件) を見る まもなく…