カラクテール(性格/特徴/文字)の原義

キリストの身体―血と肉と愛の傷 (中公新書)

キリストの身体―血と肉と愛の傷 (中公新書)

イコンにおいて、不可視の原型はいかにして可視化されうるのだろうか。テオドロスは、この点に関連して、刻印や印璽の例を引き合いにだす。イコンはまさにこれらに比せられるべきものである。刻印は、物質のなかに刻み込まれるが、その物質それ自体とは区別されるものである。キリストの「ヒュポタシス」[=基体]がイコンにとどまっているとすれば、それは、まさしく刻印がそうであるような意味においてである。「キャラクター」というと今日のわたしたちは、もっぱら人の特徴や性格、さらには登場人物などのことを考えるが、ギリシア語の語源「カラクテル」にさかのぼるなら、もともとは「スタンプ」や「シール」のようなものだった
(上掲書、129-130ページ)