風景画の空間性

通例、風景画において空間は、全体を結合する形式として現れる。すなわち、すべての内容をおのれのうちに押しこみ、おのれの好むままに規定する図式として。明確に構成された空間、形姿としての空間は、たとえ内容としての素材や色彩がすべて消え失せようと、そのまま存続する。そして偉大な風景画家は、ほかならぬこの空間の論理的な強制、その造形の自立性を、とりわけ力をこめて表現し、この表現を確乎たる関心の中心として、そこから風景全体を築き上げていた。風景画の内容に対する空間形式のこのような強制は、ベックリンにおいては完全に消え失せている。
ゲオルク・ジンメルベックリンの風景画」『ジンメル著作集10』川村二郎、白水社、1975年、13-14ページ。)