日本における「建築書」の系譜(work in progress)

・平政隆『愚子見記』全9冊、1683(天和3)年(1669年以前から執筆開始)。
法隆寺の工匠(大工棟梁)による技術書。内裏や諸社寺の建物の形状や寸法、建築費の積算、工事仕様なども記す。宮大工の扱う建築類型の事例を記録。細部は口伝となっており、当時の日本の建築術が基本的には家伝・秘伝(対面によって口頭で伝えられる)であったことが分かる(Cf. 技術論としての西洋の建築書)。

レファレンス協同データベース「『愚子見記』について知りたい」:https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000136748

ここでは後に堂・祠・居と分類される正統としての宮大工が扱ってきたビルディング・タイプの事例が記録されている。(磯崎新磯崎新建築論集7 建築のキュレーション:網目状権力と決定』岩波書店、2013年、p. vii。)