論考掲載のお知らせ

拙論「架空都市の地図を描く――地図と(しての)テクスト」が、『ユリイカ20206月号(特集:地図の世界)に掲載されています。

http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3437

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モアの『ユートピア』やスウィフト『ガリヴァー旅行記』などの架空の紀行文と地図から始まって、ヴェルヌ『八十日間世界一周』にみる「地図から時刻表へ」、ビュトールの小説やピラネージの版画の「積層した時間の地図」、プルースト萩原朔太郎やロブ=グリエの文学作品における「地図の喪失」、ブルーノ・シュルツの小説で描かれる「世界創造としての地図」など、文学と図像を横断しながら、場所について語ることと地図を描くことの重なり合いを論じたものです。

 

拙論は乱筆乱文になってしまいましたが、他の寄稿者の論考が面白く興味深く、自分の研究という観点からも刺激を受けています。
私の論考とも重なるテーマのものが勉強になるのはもちろんですが、Googleマップという究極の「迷わないツール」の開発者たちと今度は「人をうろうろさせる」ゲームアプリを作った、という川島優志氏の「Not All Who Wander Are Lost」や、地図の暴力性を解剖図と重ね合わせる原木万紀子氏の「地図的パースペクティヴの暴力性」、「知覚の粉砕」をテーマにした木下知威氏の「知覚のクラッシュ:盲人と聾者における地図表象」が、発想として虚を突かれた感じで、面白く拝読しました。