とある必要があって、というと勿体ぶった感じだが、「1980年代の日本のサブカルチャーに現れた「遺棄された場所(abandoned places)」のイメージ」というテーマで論文を書くうえでの資料として、1980年代の東京グランギニョルの戯曲を読んでいる(『マーキ…

六本木でほぼ同時期に開催されている、「クリスチャン・ボルタンスキー Lifetime」展(国立新美術館)と、「塩田千春展:魂がふるえる」(森美術館)へ。 クリスチャン・ボルタンスキーは、初期の「クリスチャン・Cの衣服」や「モニュメント」シリーズ、の、…

ファッションと哲学 16人の思想家から学ぶファッション論入門 作者: アニェス・ロカモラ,アネケ・スメリク,蘆田裕史,安齋詩歩子,大久保美紀,小林嶺,西條玲奈,関根麻里恵,原山都和丹,平芳裕子,藤嶋陽子,山内朋樹 出版社/メーカー: フィルムアート社 発売日: 2…

活人画の時間:テクスト、映画、写真

勅使河原宏の世界 DVDコレクション 出版社/メーカー: 角川映画 発売日: 2002/04/14 メディア: DVD 購入: 2人 クリック: 40回 この商品を含むブログ (45件) を見る 箱男 (新潮文庫) 作者: 安部公房 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2005/05 メディア: 文庫 …

死者の固有名について 人は死において、ひとりひとりその名を呼ばれなければならないものなのだ。死においてただ数であるとき、それは絶望そのものである。 (石原吉郎『望郷と海』ちくま学芸文庫、Kindle 版、2002年、No. 38。) いわば一個の符号にすぎな…

出張報告より 6月8日(土)9:00〜:自宅最寄り駅より出発、13:00過ぎに最初の目的地である京都大学総合博物館に到着。13:00〜15:00:「タイムライン:時間に触れるためのいくつかの方法」展を見学、たまたま開催中であった展覧会関連のシンポジウムの一部(…

遺棄された場所について 机周りの片付け中、書棚に戻そうとしてふと中を開いたところ、「abandoned places」論の参考になりそうな章を見つけた。「「空隙都市」東京」と題されたこの論考(初出『JA』1992年)では、経済成長の結果として東京に生まれた特異な…

ゴールデン・ウィークもそろそろ終わりが見え始めた頃、アーツ千代田で開催中のシド・ミード展に行ってきた。https://sydmead.skyfall.me そのうち(いつ?)書こうと思っているのが、日本の1980年代サブカルチャーにおける廃墟モティーフの話なので、映画『…

アラン・レネ『去年マリエンバードで』を観る。冒頭のナレーションとカメラワークからして、圧倒的な「建築映画」だ。壁面を伝うロカイユ模様や格間の装飾のクロースアップ、たびたび映し出される庭園の透視図、鏡の間、そして整形庭園。ドラマを繰り広げる…

土曜日の夕方、仕事はちょっと脇に置いて、国立西洋美術館の「ル・コルビュジエ 絵画から建築へ ピュリスムの時代」展へ。ジャンヌレがル・コルビュジエになるまで(1910年代〜30年代初頭)の、オザンファンとの協働関係からキュビスムの影響を経て、初期の…

拙論「世界解釈、世界構築としての建築の図的表現:J. -N. -L.デュランの『比較建築図集』と『建築講義要録』から」がリポジトリ公開されました。2017年と2018年の表象文化論学会大会での口頭発表を加筆修正したものです。 permalink:http://doi.org/10.189…

遺棄された場所についての覚書 動いている庭 作者: ジル・クレマン,山内朋樹 出版社/メーカー: みすず書房 発売日: 2015/02/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 荒れ地の語源についての見解は共通している。1872年刊行の『19世紀世界大辞典』に…

J.-N.-L. デュランについての紀要論文のために、昨年8月にTweetしたメモを再掲。 テラン・ヴァーグ概念で有名なイグナシ・デ・ソラ=モラレス、J.N.L. デュランについての論文も書いていた☞https://www.jstor.org/stable/1567112 理性主義(ポリテク)と折衷…

渋谷区立松濤美術館の「終わりの向こうへ:廃墟の美術史」展へ。普段複製で見慣れた廃墟画の実物の筆跡や細部をじっくり検分できたのと、日本の洋画家壇で1930年代に専ら古代ローマ風の廃墟ブームがあったと知れたのが良かった。明治期の古代ギリシア・ロー…

東京都写真美術館の「建築×写真 ここのみに在る光」展へ。収蔵品から構成した企画展とのことだが、写真が捉えた建築、写真のみが捉えうる建築について思考を促す、佳作の展示であった。 冒頭に展示されているダゲレオタイプが鏡面のように反射することに驚く…

2019年元日 新年のご挨拶昨年は勤務先の大学でも、所属している表象文化論学会でも責任のある仕事や役割を任され、その間隙を縫ってレジスタンス活動のように研究をする日々だった。しかし、新しい場所での面白い試みに呼んでいただく機会も増え、知的な刺激…

お知らせ2点

1. 11月10日(土)に山形大学にて、表象文化論学会第13回研究発表集会が開催されます。私は午後一(13:00〜15:00)の「研究発表1」にて、司会を務めます。翌11日には学会関連イベントとして、「バザン・レリス・闘牛──映画『闘牛』の上映とワークショップ」…

セルフFD:マージナル/非選抜型/ボーダーフリー大学で人文学を教えるということ

轡田竜蔵「地元志向と社会的包摂/排除」、樋口明彦編『若者問題の比較分析―東アジアの国際比較と国内地域比較の視点』(法政大学科研費プロジェクト「公共圏と規範理論」論文集)、2009年、151-170ページ。 http://soc.hosei.ac.jp/kakenhi/ronbun/pdf/2008/…

以下の公開講座に登壇いたします。 ・今年も京都造形芸術大学藝術学舎公開講座にて、「身体とファッション」の集中講義を行います(9/4(火)・9/5(水)の2日間)。ご参加予定の方、よろしくお願いします。 https://air-u.kyoto-art.ac.jp/gakusha/stgg/cou…

フランス革命後の国家的英雄と建築(「著名性」シンポジウム準備)

参考文献 ・James A. Leith, Space and Revolution : Projects for Monuments, Squares, and Public Buildings in France 1789-1799, Montreal: McGill-Queen's University Press, 1991. (Ch. 4: Temples for the nation and its heroes). 自宅 ブレ他の建築…

拙著『ユートピア都市の書法:クロード=ニコラ・ルドゥの建築思想』法政大学出版局、2017年7月下旬に配本予定です。装幀は奥定泰之さんに手掛けていただきました。実物は銀箔を捺した部分が光ります。 法政大学出版局ウェブサイト:http://www.h-up.com/book…

散種 (叢書・ウニベルシタス)作者: ジャックデリダ,Jacques Derrida,藤本一勇,立花史,郷原佳以出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2013/02/01メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (10件) を見る 「[…]色を意味するパルマコンという単…

文献メモ

丹羽和彦「エコール・ポリテクニクにおける初期の建築教育とデュラン:J.-N.-L.デュランの建築教育の理論的特質に関する研究(1)」、『日本建築学会計画系論文報告集』第412号、1990年6月、153-163ページ。 丹羽和彦「教育プログラムからみたエコール・ポリテ…

メディアセンター図書購入依頼(2018年6月)

資料名:『眼の神殿:「美術」受容史ノート(定本)』 著者名:北澤憲昭 ISBN:978-4434141706 発行所:ブリュッケ 発行年:2010年 価格:4,104円 『〈日本美術〉誕生:近代日本の「ことば」と戦略』 佐藤道信 978-4062580922 講談社選書メチエ 1996年 版元…

自主ファカルティ・ディベロップメント

国立教育政策研究所 高等教育研究部「大学生の学習実態とその構造的特質(プロジェクト研究(平成25〜27年度) 「大学生の学習実態に関する調査研究」成果報告)」2016年10月 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/siryo/__icsFiles/afieldfile…

Twitter経由で「fashionology:ファッション学研究会」が発足し、文献購読の候補として、The Fashion Reader*1という書が挙げられているのを知る*2。英語圏で充実している、学部生・修士課程生を対象とした教科書的アンソロジーだろうか。ファッションをテー…

デュランのことを調べていて1818年のエコール・ポリテクニークの時間割に行き当たり、ふとemploi du tempsという概念が登場するのはいつからなのだろうと考える。ひとまずオンライン検索したら、こんな書籍が引っかかってきた。 https://books.google.co.jp/…

近代国家の首都[ルビ:キャピタル]の条件を正確に把握していないと〈ミュゼアム〉の意味が浮かんでこない。パリ、北京、東京を比較して、ここに故宮、中央広場、国家的慰霊施設・国会、それに神殿が加わる。故宮が〈ミュゼアム〉になる。ルーブル、北京の…

メディアセンター図書購入依頼(2018年5月)

資料名『キリストの顔:イメージ人類学序説』 著者名:水野千依 発行所:筑摩書房 発行年:2014年 ISBN:978-4480016010 種類:図書 『イメージ人類学』 ハンス・ベルティング 平凡社 2014年 978-4582702842 図書 『ジェンダー写真論 1991-2017』 笠原美智子…

『週間 読書人』紙に武末祐子著『グロテスク・美のイメージ:ドムス・アウレア、ピラネージからフロベールまで』(春風社、2018年)の書評を寄稿いたしました。ウェブ上でもお読みいただけます。 http://dokushojin.com/article.html?i=3296