セルフFD:マージナル/非選抜型/ボーダーフリー大学で人文学を教えるということ
轡田竜蔵「地元志向と社会的包摂/排除」、樋口明彦編『若者問題の比較分析―東アジアの国際比較と国内地域比較の視点』(法政大学科研費プロジェクト「公共圏と規範理論」論文集)、2009年、151-170ページ。
http://soc.hosei.ac.jp/kakenhi/ronbun/pdf/2008/kutuwada2009.pdf
こうした実態を踏まえれば、高度大衆教育社会がこうしたノンエリートの地元志向の若者を包摂しようとするために必要なのは、過酷な労働力市場に適応すべく、規律訓練の強化によって職業レリバンスを高めるような専門学校化への道筋よりも、むしろ大学の自由を生かしながら、労働力市場によって「無能力」と烙印を押されたさいの「自分自身からの排除」をいかに防ぐために、「精神的な“溜め”」を作っていくという観点ではないだろうか。
(上掲論文、167ページ。)