2006-01-01から1年間の記事一覧

西野達 天上のシェリー展(メゾンエルメス)

銀座エルメスビルの最上部に聳え立つ旗を掲げた騎馬像の周囲を、プレハブで囲ってしまうという企画。会場に辿り着くまでの足場は想像以上に怖いものだった。 手すりは腰くらいまでしかないし、大きく開いた欄干の隙間はひ弱そうなネットが張られているだけだ…

幻想の中の過去

早くはドイツの哲学者フリードリヒ・フォン・シュレーゲルが、一八〇二年にミュゼ・ナポレオンに展示されたベアト・アンジェリコ、デューラー、ファン・エイクらの作品を称讃し、その後ナザレ派やラファエル前派の芸術や思想において表面化してくる、このよ…

未来的ユートピアと理想的古代、幾何学的図形のシンボリズム芸術(アルス)と生政治(ビオス)作者: 岡田温司出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2006/04/18メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (18件) を見るピラネージや革命期のペーパ…

入手文献 矢代幸雄「財団法人啓明會第26回講演集 日本の立場より見たる西洋美術」1928年。 矢代幸雄「財団法人啓明會第30回講演集 西洋美術に於ける東洋的要素」1928年。 Yukio Yashiro, Sandro Botticelli and the Florentine Renaissance, revised ed., Lo…

入手文献 磯崎新「幻想の建築家:ピラネージ」『SD』第155号(特集:イマジナリー・アーキテクチュア――G.B.ピラネージ)、1977年、25−28ページ。 マンフレード・タフーリ「G.B.ピラネージ――建築における否定のユートピア――」彦坂裕・八束はじめ訳、所収同上…

矢代幸雄『日本美術の再検討』

日本美術の再検討作者: 矢代幸雄出版社/メーカー: ぺりかん社発売日: 1994/07メディア: 単行本この商品を含むブログを見る『藝術新潮』上に1958年1月から1959年3月まで連載された同題の論考を、単行本に纏めたもの。単行本化に伴い、「今日の美術史的知識か…

古代の幻―日本近代文学の“奈良” (SEKAISHISO SEMINAR)作者: 浅田隆,和田博文出版社/メーカー: 世界思想社発売日: 2001/04メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る冒頭章に収められたシンポジウム記録「古代という幻の装置」をコピー。文学研究の…

矢代幸雄『忘れ得ぬ人びと 矢代幸雄美術論集Ⅰ』岩波書店、1984年。 国内外の友人や恩人たちについての思いで語り。若い頃から親交のあった英米の東洋美術史研究家の名も数名挙げられているが、目に付くのが「個人の美術愛好精神は国家間の戦争をも超越した」…

黒いアテナ―古典文明のアフロ・アジア的ルーツ (2〔上〕)作者: マーティン・バナール,金井和子出版社/メーカー: 藤原書店発売日: 2004/06/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 82回この商品を含むブログ (7件) を見る黒いアテナ―古典文明のアフロ・アジア…

「文化国家」や「文化的統合の象徴」を論ずる上での最大の困難は、「文化」概念の定義や射程が論者によって異なることだ。例えば矢代は、「芸術」と置き換えても通じるような、ある種の高踏的な趣味判断によって選び取られる対象を「文化」と名指しているよ…

幻影のローマ―“伝統”の継承とイメージの変容 (シリーズ歴史学の現在)作者: 歴史学研究会出版社/メーカー: 青木書店発売日: 2006/03/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る“帝国”―グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性作者: アント…

今日の毎日新聞の夕刊に、表象文化論学会第一回大会(7月1-2日開催)についての記事が載っています。

苅部直「和辻哲郎の「古代」――『古寺巡礼』を中心に――」『日本近代文学』第72集、2005年、177−189ページ。 フェノロサ−天心流のギリシア/天平幻想の継承者、和辻の古代観について。日本近代文学会大会での発表原稿とのこと。ちなみに、このときの大会企画テ…

幻想の東洋〈上〉―オリエンタリズムの系譜 (ちくま学芸文庫)作者: 彌永信美出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/10メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 44回この商品を含むブログ (8件) を見る幻想の東洋〈下〉―オリエンタリズムの系譜 (ちくま学芸文庫)作…

高木博志「近代天皇制と古代文化――「国体の精華」としての正倉院・天皇陵」網野善彦編『岩波講座天皇制と王権を考える 第5巻 王権と儀礼』岩波書店、2002年、245−272ページ。)

矢代幸雄の「文化国家」論と和辻哲郎の「文化的統合の象徴としての天皇」論 入手文献 米谷匡史「津田左右吉・和辻哲郎の天皇論――象徴天皇制」網野善彦編『岩波講座天皇制と王権を考える 第1巻 人類社会の中の天皇と王権』岩波書店、2002年、23−56ページ。 三…

矢代幸雄とボッティチェッリ

現在、学生有志で「受容としての日本思想研究会」というものをやっていて、そこでの発表の関係で矢代幸雄の著したテクストについて調べている。 矢代は、日本における西洋美術史(とりわけイタリア・ルネサンス絵画)研究の第一人者であり、学術的なスタイル…

「ポンペイの輝き」展 ヴェスピオ火山噴火の犠牲者たちが所持していた、宝飾品やコイン、小さな偶像などの品々が多い。三方の壁に壁画を展示したブースや、女神の等身大の大理石像、地面に空いた穴を樹脂で象りした人型(火山灰の中で遺体の腐敗した後が穴に…

アビ・ヴァールブルクがトビアスを指して言うTobiuzzoloについて。 −olo:接尾語。「小さな」を表す縮小辞、「愛らしさ」を示す愛称辞。(小学館伊和辞典より) −chenとか−et(te)みたいなものですね。

絵画の準備を!作者: 松浦寿夫,岡崎乾二郎出版社/メーカー: 朝日出版社発売日: 2005/12/16メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 48回この商品を含むブログ (39件) を見るモダンな価値を脱臼させて終わり、ではなくて、その向こうを垣間見させてくれそうな一冊…

表象、ないしは視覚文化に表出した帝国理念や王権理念について

近世フィレンツェの政治と文化―コジモ1世の文化政策(1537‐60)作者: 北田葉子出版社/メーカー: 刀水書房発売日: 2003/03メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る王の二つの身体―中世政治神学研究作者: エルンスト・H・カントーロヴィチ,小林公出版…

これからやるべきこと

・今週金曜日のコロキウムで、東欧美術史(ルドルフ2世の宮廷文化と美術作品との関連の研究)の博論計画についてコメント。例えばフィレンツェのコジモ1世についての研究も、方法論的に参考になるかもしれない。 ・21世紀COEのRA勤務簿に押印(なるべく今週…

a birth 勝本みつる展 (目黒のMA2 Galleryで6月16日まで)

藝術の変貌

メーリングリストで回ってきたお知らせ。 <芸術学関連学会連合>主催によるシンポジウムのご案内。第1回公開シンポジウム 藝術の変貌/藝術学の展開日時 2006年6月17日(土) 午後1時30分〜5時会場 日本大学文理学部百周年記念館 国際会議場 (…

世界に於ける日本美術の位置 (講談社学術文庫)作者: 矢代幸雄出版社/メーカー: 講談社発売日: 1988/12メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 11回この商品を含むブログ (5件) を見る近代日本「美学」の誕生 (講談社学術文庫)作者: 神林恒道出版社/メーカー: 講…

お知らせ

表象文化論学会第1回大会 7月1日(土)−2日(日) 東京大学駒場キャンパス(京王井の頭線 駒場東大前駅 下車) スケジュール 7月1日(土) 18号館ホール 13:30-13:45 開会の言葉(会長挨拶) 13:45-15:30 基調講演:ミハイル・ヤンポリスキー Mikhail …

J=L.ナンシー勉強会 UTCP(共生のための国際哲学交流センター:東京大学21世紀COEのひとつ)所属の若手研究者で組織している自主研究会「言葉とイメージ」班にて、ナンシーによる絵画論とキリスト教脱構築の問題についての発表とディスカッション。

空間の世紀作者: 樋口謹一出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1988/03メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (2件) を見る 廃墟の詩学 une douce melancolie:「メランコリー」のコノテーションの変化 そのトポスとしての「廃墟」c.f. une douc…

La Principessa nel Labirinto

yos.it ローマのMondo Bizzarro Galleryで6月1日まで開催されている村田兼一氏(site)の写真展についての映像。原題は「迷宮の眠り姫」で、おそらく「眠っている」という状態こそ、少女の性的・精神的な状態を表しているはずなので、イタリア語タイトルから「…

パリスの審判―美と欲望のアルケオロジー作者: ユベールダミッシュ,Hubert Damisch,石井朗,松岡新一郎出版社/メーカー: ありな書房発売日: 1998/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る