「ポンペイの輝き」展
ヴェスピオ火山噴火の犠牲者たちが所持していた、宝飾品やコイン、小さな偶像などの品々が多い。三方の壁に壁画を展示したブースや、女神の等身大の大理石像、地面に空いた穴を樹脂で象りした人型(火山灰の中で遺体の腐敗した後が穴になっている)もあった。

黒くて小さな偶像には、「イシス・フォルトゥナ女神」というものもあった。古代エジプトギリシアローマ神話が融合したのだろうか?神話の女神像の顔だけ差し替えて、皇帝の后像にした彫像もあった。そういうイメージの「融合」や「差し替え」が生起してくるところが面白い。

ガラスケースの中の小品の配置順と、その上方にある説明パネルの番号とが対応していなくて、照合作業に手間取る。番号は美術品の種類別に振っているのに、展示ケースの中の配置は空間的なバランス重視で決めているのが原因。ケースの品を見てから説明パネルの該当部を読むようにすれば分かり易いのだけれど、どうも説明パネルによって「目の前の品が何であるのか」画定した後に展示品を眺めるという順番が、鑑賞態度として身に付いてしまっているらしい。隣に来たご婦人方も、「5番ってどれ?」などと言いつつ、ケース内を見回していた。

何かテレビ番組の放映でもあったのか、平日の午後なのにかなりの混雑だった。来ているのも多様な層の人々だ。(これが現代アート系の展覧会とかだと、来場者の年代や服装に一定の傾向があったりする。)objet d'artや装飾芸術と呼ばれる品々は、マダム層に人気があるね。

ちなみに、ミュージアムグッズとして「レスキューボックス」8500円あり。高い。で、今から2000年後くらいに、「2000年前の災害用品」としてボロボロになって展示されているのな。