2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

講演会のお知らせ

新中期教育プログラム「イメージ研究の再構築」プレイベント第2回講演会 「絵画の作法(デコールム)と〈最後の審判〉 ミケランジェロからコルネリウスまで」 講師:ジャン=クロード・レーベンシュテイン(パリ第1大学名誉教授) 司会:三浦篤 (UTCP) 2009…

(他の者たちは図書館と呼んでいるが)宇宙は、真ん中の大きな換気孔があり、きわめて低い手すりで囲まれた、不定数の、おそらく無限数の六角形の回廊で成り立っている。[…]ホールに一枚の鏡がかかっていて、ものの姿を忠実に複写している。この鏡を見て人…

わたしのウクバール発見は、一枚の鏡と一冊の百科事典の結びつきのおかげである。[…](深夜には避けられない発見だが)わたしたちは鏡には妖怪めいたものがあることに気づいた。そしてビオイ=カサレスが、鏡と交合は人間の数を増殖するがゆえにいまわしい…

伝奇集 (岩波文庫)作者: J.L.ボルヘス,鼓直出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1993/11/16メディア: 文庫購入: 32人 クリック: 158回この商品を含むブログ (164件) を見る

伝奇集 (岩波文庫)作者: J.L.ボルヘス,鼓直出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1993/11/16メディア: 文庫購入: 32人 クリック: 158回この商品を含むブログ (164件) を見る「鏡」や「図書館」というメタファー。

「小穴純とレンズの世界」展(東京大学教養学部 駒場博物館) http://museum.c.u-tokyo.ac.jp/exihibition.html#koana 小穴純(1907-85)は応用物理光学の研究者。『アサヒカメラ』の連載「ニューフェース診断室」で「ドクター」を務め、また貴重文書の縮小…

Give us, this day, all that you showed me

出版社の方との打ち合わせ。来年の早い時期に刊行される翻訳が一冊、それから以前に書いた拙論を、「ぜひ広げて一冊の本に」と激賞して頂く。自分の周囲にあるのは、まだまだ思考の断片だけれど、それを確固とした形に具現化するチャンスを大切にしていきた…

「場所」としての廃墟

届いたばかりの『美學』234号巻頭論文、西村清和『場所の記憶と廃墟』(2-15ページ)を読む。 自分の研究は、「二次元」として表象された廃墟に注目してきたために、「身体が参画する場としての建築物」という観点が、いつの間にか抜け落ちていた。現象学に…

visage urbain

故郷、前橋の街で見つけた光景(→)。前橋はパリやディジョンなどとは違って、都市全体が劇場であるような、あるいはどこを切り取っても「絵」になるような街では、およそない。けれども、統一的な意図の希薄なままに街並が生成してきたがために、街路の思わ…

旧約聖書 創世記 (岩波文庫)作者: 関根正雄出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1967/01/01メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 32回この商品を含むブログ (66件) を見る『キリストの身体』を読んだのをきっかけに、聖書を体系的にきちんと読んでいないことに思…

Nouveaux sur la rue !

良くも悪くも、フランスという国は、日本では画一的なイメージで捉えられやすい。しかも、私のようなもはや若者でなくなりつつある世代から見ても、この手の「フランス」イメージは、正直ダサいと思えることもしばしば。そんなステレオ・タイプを崩すような…

両極性の共存

知人の瑣細な一言から再燃したボーイ・ジョージ熱、勢い余ってスティーヴ・ストレンジに激突し、さらによろけて転がり込んだ先が、美貌のノスフェラトゥと言った風情のサル・ソロ(Classix Nouveaux)。なんだかもうピタゴラスイッチの冒頭に出てくる機械装…

miniature

様々な場所で撮り貯めた「縮小された世界」のイメージを、一つのフォルダに纏めてみた。 http://f.hatena.ne.jp/baby-alone/miniatures/ 上に掲げた写真2枚は、パリのカルナヴァレ美術館に展示されていたジオラマ。偶然にも、本城直季氏のsmall planetシリー…

「奇想の王国 だまし絵」展(Bunkamuraザ・ミュージアム)へ。 http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/shosai_09_damashie.html 展覧会カタログに収められた論文でも明言されている通り、「trompe-l'oeil」という特定のジャンルに属するもののみならず、…

nouveaux sur la rue !

フランス留学直前、DALF C1を受験するべく邁進していた時期よりも、皮肉なことに留学中の方がむしろ意識的に「フランス語」を勉強する機会が減少していたので、その分を挽回すべく、DALF C2でも受験しようかと考えているところ。ちなみに私はDALF C1のproduc…

カリカチュアについて(人間からその他の存在への移行)

人間の歪曲化の積極的な方法というのは、人間を何か違ったもの、人間以下のものにする方法である。そのさい、昔からヨーロッパの地獄絵で利用されていたのと同じ手法が使われる。人間は、醜い顔、漫画、怪物、野獣、骸骨、幽霊、人形、餓鬼、人造人間といっ…

strange eyesその4

19世紀末になっても、殺人の犠牲者の網膜に犯人の最後の像の痕跡が残っていると、まことしやかに信じられていて、動物実験が行われたり、犯罪捜査に利用されたり、推理小説に好んで取り上げられたりしていた。 (岡田温司『キリストの身体』中公新書、2009年…

imagery we never come to see is blind

以下は自分自身のための覚え書きとして。 残像のなかの建築―モダニズムの“終わり”に作者: 田中純出版社/メーカー: 未来社発売日: 1995/07/01メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (6件) を見るリンフェルトが扱う主題はルドゥーなどの〈革命…

アナクロニズム日記

7月1日 日本に帰国。「帰ってきた」というよりも、パラレルワールドに落ち込んだような感覚である。樹々の緑が水蒸気で水彩画のように滲んでいる光景と、紫陽花の色の淡さに、「日本」を実感する。志賀重昂の日本風景論みたいだ。 フランスの博士課程に籍を…

strange eyesその3

鏡面コンタクトレンズを装着し自画像写真を撮っているアーティストがいる、という情報を、先輩から頂く。Giuseppe Penoneによる《Renverser les yeux》。 http://mittlivsomkund.blogspot.com/2005/11/renverser-les-yeux.html 鏡面としての眼というテーマは…

カラクテール(性格/特徴/文字)の原義

キリストの身体―血と肉と愛の傷 (中公新書)作者: 岡田温司出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2009/05/01メディア: 新書購入: 6人 クリック: 26回この商品を含むブログ (22件) を見るイコンにおいて、不可視の原型はいかにして可視化されうるのだろうか。…

風景画の空間性

通例、風景画において空間は、全体を結合する形式として現れる。すなわち、すべての内容をおのれのうちに押しこみ、おのれの好むままに規定する図式として。明確に構成された空間、形姿としての空間は、たとえ内容としての素材や色彩がすべて消え失せようと…