カリカチュアについて(人間からその他の存在への移行)

人間の歪曲化の積極的な方法というのは、人間を何か違ったもの、人間以下のものにする方法である。そのさい、昔からヨーロッパの地獄絵で利用されていたのと同じ手法が使われる。人間は、醜い顔、漫画、怪物、野獣、骸骨、幽霊、人形、餓鬼、人造人間といったものにゆがめられる。人間は、いやらしいもの、怪しいもの、無格好なもの、グロテスクなもの、きたならしいものとして現れる。そうしてその行ないは、無意味な偽りの性格、滑稽な、また粗野な性格、さらには悪魔のような性格をもつこととなる。
(ハンス・ゼードルマイヤー『中心の喪失――危機に立つ近代芸術――』石川公一・阿部公正訳、美術出版社、1965年、153ページ。)