ひたすら糸を吐く蜘蛛のような生活に倦んで、ブニュエルの『忘れられた人々』を観る。メキシコで写したという、地面にへばりつくような貧民窟、すぐ向こうを走るハイウェイ、工事中の自動車道の橋脚、感化院を脱走した青年がねぐらにする、廃墟なのか工事中なのか分からない矩形の枠組だけの建物。最後、警官に撃たれて息絶えてゆくハイボの顔のクロース・アップと、ぬかるんだ道を歩み来る犬との重ね焼きの場面が眼に残る。