とある事情で「遺骨の航空輸送」について調べていたところ、オンライン検索でやたらと引っ掛かってくるサイトが二種類。遺骨からアクセサリー製作を行っているという業者のものと、海外戦没者の遺骨返還を求める運動のサイトである。
一言で「遺骨アクセサリー」と言っても、様々なヴァリエーションがあるらしい。
セラミックプレート:http://www.eternal-j.co.jp/eternal01.html
クリスタルガラス:http://www.koubou-forever.com/memory_human.html
人造ダイヤモンド(遺灰中の炭素を用いるそうだ):http://www.algordanza-kinpan.com/am_diamond.html
このアイディア、果たして日本では受け入れられているのだろうか?西欧ならば、聖遺物を崇める(距離を置いた礼拝ではなく、触ったりキスしたりする)伝統や、死者の毛髪を細工して装身具にする慣習などがあったけれど……遺骨(死者の身体の部分ないしは残存)を変形・加工すること、それを身体に密着させておくこと、現代の日本の慣習や心性とは、あまり相容れないような気もするのだが。
戦没者の遺骨に関しては、例えば死亡した地の土や砂をその「代替物」にすることもあるという。死者の追悼や祭祀のトークンとして、その骨(現代日本の場合は、ほとんど灰である)を用いるというのも、よくよく考えてみれば不可思議な風習だと思う。この種の問題については、それこそ「死生学」分野などからの研究が、いろいろと出ていそうだ。



不在の亡骸への哀悼。サン・ミシェル教会入口脇の祭室に置かれている、「死せるキリストへの哀悼」の彫刻。祭室入口の柵は施錠されていて、棺の中にキリストの肉体が存在するのか、確かめる術がない。死者を祭るという営為を、象徴しているようにも思える。