ex voto

  
  
考古学博物館の収蔵品から。
上段はex votoと呼ばれる奉納物。病に冒された身体部分の模造を神に捧げ、快癒を祈願したもの。手や脚、頭部などの表現はとてもリアルなのに、生殖器関連は妙に抽象化・形式化された造形になっていた。
頭部のない石像は、紀元後1世紀の女神像。左右対称の漣のような襞の表現が目に止まった(ヘレニズム時代の仏像に似ている)。その右側、函に入った人物立像は、墓碑なのだそうだ。考古学博物館の地下は、今はこのような石造りの墓碑が並べられている。どうして美術の歴史は、ここまで死者を記念することに取り憑かれているのだろうかと思う。