2005-01-01から1年間の記事一覧

ある芸術作品やその作者を取り巻く「社会的背景」や「社会的コンテクスト」の探究を標榜する美術史研究は多い。ただ、自分はそういった研究(の一部)が有している、前提条件への無邪気さというか素朴さに、漠然とした違和感を抱いていた。既にディディ=ユベ…

テンプラスワンNo.40好評発売中。 自分もさりげなく寄稿しています。 テカテカしながらご一読ください。(テンプラだから。)

「プラート美術の至宝」展(損保ジャパン東郷青児美術館)と「写真はものの見方をどのように変えてきたか 第4部 混沌」展(東京都写真美術館)に足を運ぶ。☆☆☆プラートはフィレンツェ近郊の小都市。フラ・フィリッポ・リッピを中心に、14世紀から18世紀まで…

表象文化論学会設立プレイベントとしてのシンポジウム・研究発表会が、11月19・20日に開催されます。詳細はこちらにあります。人文科学の「危機」や「閉塞」や「終焉」が声高に叫ばれつつも、結局は旧態依然・因循姑息に収斂しがちな現状において、組織やデ…

展覧会カタログ:La Fabbrica del pensiero: Dall'arte della memoria alle neuroscienze,Electa, 1989. 記憶術について、古代から現代までを総括した展覧会のカタログ。 amazon.ukでの検索結果→ NACSISや美術図書館横断検索には、所蔵情報なし。

アートブックガイド1995〓2005 現代美術を理解するための100冊1 2

ピラネージの先行者たち ピッロ・リゴーリオ(Pirro Ligorio, c.a.1510-83):ティヴォリのハドリアヌス帝のヴィラ発掘を手掛け、『ローマ古代遺跡の書(Il Libro delle antichita di Roma)』(1553)を著した「偉大なる空想家」。 Travel to Italy - Italy…

これはパイプではない作者: ミシェル・フーコー,Michel Foucault,豊崎光一,清水正出版社/メーカー: 哲学書房発売日: 1986/04/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (14件) を見る同一平面内におけるテクストとイメージの捩れた参…

花束の隠喩と蜜蜂の隠喩は、十六世紀と十七世紀に想像された相互テクスト的作業における二つの異なる行程と様態を示している。花束は加算的なもの、アッサンブラージュ、「ブリコラージュ」の記号である。これに対し、芸術家-蜜蜂が生みだす「詩的な蜂蜜(po…

Sven Sandstroem, Levels of unreality : Studies in structure and construction in italian mural paintings during the Renaissance, Almqvist & Wiksells Boktryckeri, 1963. 絵画内空間における「現実らしさ」の諸レベルについて。ならびに絵画内空間と…

銀座のハウス・オブ・シセイドーで開催中の「セルジュ・ルタンス...夢幻の旅の記録」展へ。女性の身体を覆い隠しつつも、隙間から彼女の皮膚を垣間見させるレース。漆黒の繊細なカットレースは、モデルの肌に一分の隙もなく貼り付き、まるで皮膚の上に直接描…

荒俣宏編著『解剖の美学』リブロポート、1991年。 荒俣宏編著『エジプト大遺跡』リブロポート、1990年。

エッチングというメディアについて風景画の病跡学(パトグラフィ)―メリヨンとパリの銅版画 (イメージ・リーディング叢書)作者: 気谷誠出版社/メーカー: 平凡社発売日: 1992/05メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る銅版画のマチエ…

島本浣「<風景>と<眺め>」『藝術論究』第17〓18編、帝塚山学院大学、1990〓91年。→18世紀フランス絵画におけるpaysageとvueの概念についての論考。

何かの検索の折に偶然引っ掛かったページ、「アーティストの痕跡:身体編」。[美術史の諸言説][署名論] ストイキッツァが論文集"Der Kuenstler ueber sich in seinem Werk"に寄稿している論文を本腰を入れて読んでいるけれど、ほとんど全ての単語を辞書…

ヨオロッパの世紀末 (岩波文庫)作者: 吉田健一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1994/10/17メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含むブログ (43件) を見るヨーロッパの完成形としての18世紀、凋落としての19世紀とその再生である19世紀末(とりわけボー…

「人間の脳髄は、天然の巨大なパランプセストでないとしたら、一体何であろうか。私の脳髄は一つのパランプセストだし、読者諸君のもまたそうである。観念や映像や感情の限りない層が、諸君の脳髄の上に、次々に、光のようにそっとつもった。そして、その一…

開かれ―人間と動物作者: ジョルジョアガンベン,Giorgio Agamben,岡田温司,多賀健太郎出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2004/07/01メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 20回この商品を含むブログ (43件) を見る

気になる本

Mike Kelley: The Uncanny (Art Catalogue)作者: Mike Kelley出版社/メーカー: Walther Konig発売日: 2005/02/15メディア: ペーパーバック クリック: 2回この商品を含むブログ (2件) を見る昨年イギリスとドイツで行われた同名の展覧会のカタログ。屍体を連…

Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中のギュスターヴ・モロー展へ。パリのモロー美術館所蔵の作品279点を前期と後期に分けて展示するもので、現在は前期展示を行っている。まず目を引くのは、硬直的な肢体を持つ、石化したような人物たちだろう。(例えば『ヘ…

トリマルキオの饗宴―逸楽と飽食のローマ文化 (中公新書)作者: 青柳正規出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1997/03メディア: 新書 クリック: 12回この商品を含むブログ (6件) を見るハプスブルク 記憶と場所―都市観相学の試み作者: トーマスメディクス,Thom…

読んだ本

シュガータイム (中公文庫)作者: 小川洋子出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1994/04/01メディア: 文庫 クリック: 13回この商品を含むブログ (51件) を見るブリキの太鼓 1 (集英社文庫)作者: ギュンター・グラス,高本研一出版社/メーカー: 集英社発売日: 1…

ドレスデン国立美術館展「世界の鏡」(国立西洋美術館にて、9月19日まで) ドレスデン宮廷のクンストカンマーの生成史と内容を辿れる展覧会。当時の科学技術と結びついた機会仕掛け(天球儀やコンパス、集光器、時計など)、オスマン・トルコや中国・日本と…

夢魔のレシピ―眠れぬ夜のための断片集作者: レメディオスバロ,Romedios Varo,野中雅代出版社/メーカー: 工作舎発売日: 1999/05メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 25回この商品を含むブログ (13件) を見る聖バルトロマイの皮―美術における言説と時間作者: …

レオノール・フィニ展(Bunkamura ザ・ムージアム、7月31日で終了)鳥の羽根や爬虫類の皮膚を使った仮面に惹かれる。エルンストのコラージュに出てくる怪鳥のような。幼年期のフィニは、別れた父親の差し向けた追っ手の目から逃れるために、少年の格好をさせ…

フレンチ・ロココの宮廷画家であると同時に、解剖画家でもあった、ジャック・ゴーティエ=ダゴティ(Jacques Gautier Dagoty)に関するサイト。ダゴティの解剖図については、バーバラ・マリア・スタフォード(Barbara Maria Stafford)のBody Criticism(Cambr…

笹川科学研究助成金の公募情報。 http://www.jss.or.jp/sasagawa/index.html 修士課程生以上の若手研究者が対象だそうですが、学芸員・図書館司書は特別奨励の対象となっています。 人文社会系の過去の給付例をみると、学芸員・司書の方や美術館・博物館学関…

京都国立近代美術館で研究員を募集しています。採用予定は若干名、応募締め切りは7月29日だそうです。 独立行政法人国立美術館 公募一覧

フランス、パリの国立図書館Bibliotheque Nationaleのデータベース Gallica 試しにLequeuで検索してみると773件の文書(図版も含む)がヒットする。ついでの情報。Web Gallery of Artが知らないうちにヴァージョンアップしていた。 Web Gallery of Art, sear…

ピラネージに関する論文が掲載されたページの残骸らしきものを発掘。 Piranesi e Sant'Elia: poetiche della scoperta ビブリオBibliografiaが結構使える。