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レオノール・フィニ展(Bunkamura ザ・ムージアム、7月31日で終了)
鳥の羽根や爬虫類の皮膚を使った仮面に惹かれる。エルンストのコラージュに出てくる怪鳥のような。幼年期のフィニは、別れた父親の差し向けた追っ手の目から逃れるために、少年の格好をさせられていたという。自分の肉体を保ちつつも他者の相貌を纏うことは、彼女の芸術を貫くテーマでもあったのではないだろうか。
絵画作品はおしなべて、ともすればお嬢さん芸といった感じなのだが、後期のペン画は良いと思った。繊細な線でエロティックな場面が描かれていて、ベルメールやビアズリーを連想させる。
売店でレメディオス・バロの『夢魔のレシピ』を購入。女性シュルレアリストという括りなのだろう、フィニに加えてバロやレオノーラ・キャリントン関連の書籍も並んでいた。シュルレアリスム繋がりの瀧口修造や幻想絵画繋がりの澁澤龍彦も並んでいて、こうなるともう何がなんだか分からない。ミュージアムショップの俗物紳士っぷりは、本当に面白い。