2007-04-01から1ヶ月間の記事一覧

空所恐怖症(Fear of voids or empty spaces)はKenophobia。 今までずっと「空所恐怖症」の意味で「空間恐怖症」という言葉を使ってきたのだが、インターネット上で調べたところ、精神医学用語としての「空間恐怖(spacephobia)」とは、広場恐怖(agoraphb…

西洋との対話 矢代幸雄関連文献

大正から第二次大戦まで 矢代幸雄『西洋美術史講話 古代篇』(付・図録篇)岩波書店、1921年(欧州留学前に書かれた、東京美術学校講師時代の講義録。ちなみに定価9圓。) 同上「日本の立場より見たる西洋美術」財団法人啓明会第26回公演集、1928年9月 同上「…

西洋との対話

矢代幸雄関連の書籍を見つけようと書庫でカサコソしていたところ、地味に強烈な電波を発する一冊を発見。 東洋美と西洋美の問題、言ひ換へれば東洋趣味と西洋趣味の問題は現代の重要問題の一つであることは誰しも異論のないところであらう。然しこの問題は大…

学芸員の逆襲

http://wwwsoc.nii.ac.jp/jahs2/bujutsu-hakubutsu-iinkai/07-4-21-simposium-program.pdf 東京都美術館で本日開催された、美術史学会主催のシンポジウム。覗いてみようと思っていたけれど、春の所為で思わしくない体調と、目の前に山積みされた些事に妨げら…

指で視る

ヘルダー『彫塑論』:視覚と触覚の不可分性を説いた芸術論。 『ヘルダー ; ゲーテ』登張正実責任編集、中央公論社、1975年所収(教養図・開架080:Se22:7[W]) ウィリアム・モリヌークスからジョン・ロック宛に、開眼手術を受けた盲人の認識について問う書簡…

指で視る

ロジェ・ド・ピール『絵画原理講義』(1708)の翻訳ゼミで「彩色」の章を担当しているのだが、そこでは「盲人の彫刻家」を巡る、面白いエピソードが紹介されている。彼は大理石像や生きている人間を手で触ることで、その輪郭や凹凸を確かめ、実物にそっくり…

表象文化論学会研究発表大会(2007.6.30−7.1)

研究パネルが決定いたしました。 http://www.repre.org/about/information/index.html 発表者やコメンテーター、司会を応募中のパネルも若干あります。別段統一テーマがあったわけではないのに、日本やアジアの近代を考えるパネルが出揃うという謎。

victorian mourning jewellery

写真左:ロンドン万国博(1851年)を記念した、象牙のブローチ。小さなフォトスタンドになっていて、水晶宮のモノクロ写真が収められている。周囲には勿忘草のレリーフ。微かに水色の絵の具が残っているので、当初は彩色されていたのだろう。 写真中・右:遺…

もうひとつのルネサンス (平凡社ライブラリー)作者: 岡田温司出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2007/03/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (11件) を見る個人的な関心から、第5章の「ディレッタント登場」と第7章の「アンチ美術…

西洋との対話

今、矢代幸雄のボッティチェリ論の「感覚的(sensuous)ボッティチェリ」という章を読んでいる。率直に言えば、矢代は文章も下手だが、それ以前にあまり論理的・体系的な思考のできる人物ではない。だからこそ、妙な発想が抑圧されないままあちこちに残って…

西洋との対話:矢代幸雄とヴェルフリン

矢代はそのボッティチェリ論(英文初版1925年、邦訳版:吉川逸治・摩寿意善郎監修、高階秀爾他訳、岩波書店、1977年)で、自然模倣の態度を「線的」なものと「色調的」なものとの二項で整理している。(ボッティチェリの絵画は、「線的」模倣に分類されてい…

リサーチアシスタントを務めさせていただいた東京大学21世紀COE「共生のための国際哲学交流センター(UTCP)」の論集が刊行されました。第9号「言葉とイメージ」に、私も拙論「不可視の過去を可視化すること」(42-58ページ)を寄稿しています。決して会心の…

西洋との対話

西洋美術と日本(東洋)美術の形態的比較が可能となる基盤について、参考になりそうな文章を発見。 ふつう「比較芸術学」と呼ばれるものは、西洋と東洋というような遠隔の地域における特定の芸術ジャンル同士の比較論的考察である。ここでは基本的に発生関係…