Traces du sacré展(ポンピドーセンター)


「神の死」(ニーチェ)や「神の後退」(ボードレール)以降の「聖なるもの」の表象のあり方(あるいはその非存在)を、19世紀以降の芸術作品の中に探るもの。ゴヤやルドン、フリードリヒといった「古典的作品」もあるが、ほとんどはモダンやコンテンポラリーに分類される作品である。テーマ毎に分けられた小展示室は実に24もあり、展示作品数も膨大であった(350点もあるらしい)。ウイーン・アクショニズム(Aktion)の流血スペクタクルと、ポスターやカタログ表紙絵にもなっているJodko de Jakob von Narkievickなる人物の掌の写真(意図的な芸術作品ではなく、科学的実験の結果だったはず)が、中でも強く印象に残った。人間の血という物質には、何か感覚を貫くような強さがあると思う。