Born-commercial art works?

Consortiumでインターン研修を行った際に、ショップ設営の手伝いもしたのだが(その日記)、その時以来「アート作品/商品」という二種の融合状態について、ずっともやもやと考えてきた。芸術作品が商品となる、あるいはその安価なコピーが大量生産の商品として流通するという事態は、すでに17世紀のオランダで始まっている。Consortiumのショップは、例えばオークションや画廊のような、一点ものとしての芸術作品を売る場でもないし、かといって名画をプリントした絵葉書やらマグネットやらの売られている、美術館の片隅のミュージアム・ショップとも違うのではないか……そんなことを考えていた折に、偶然発見したページ。NADiffの創業者の一人である高橋信也氏のインタビューで、聞き手は美術批評家の岡部あおみ氏である。
http://apm.musabi.ac.jp/imsc/cp/menu/gallery/NADIFF/interview.html#1
Consortiumのショップで売られているのは、グラフィックデザイナーによるラッピングペーパー(一巻きが1万円以上する)、エディ・スリマン(Dior hommeデザイナー)の写真集、その他豪華装丁かつリミテッドエディションの高価なアーティストブック、Cocktail Designersというグループが手掛けたマントルピース状の棚、草間彌生のミラーボール、アン・リーという和製美少女キャラクターをあしらった額縁(ピエール・ユイグとフィリップ・パレーノのフランス人ユニットによる)……それらは明らかに「作品」であって、「複製品」や「土産物」ではない。しかし、ほとんどのものがありふれた大量生産の「商品/製品」と、ほぼ変わらない体裁をしている。最大の特徴は、これらの作品が初めから「(ミュージアムでもギャラリーでもなく)ショップに並ぶこと」を想定して作られていることだろう。
通常のミュージアムショップとは性格も機能も異なっているような気がしていたが、敢えて言うなら高額商品に特化したNADiffという感じかもしれない。そう言えばポンピドーセンターの中二階にも、似たような趣旨のアートショップがある。こういうアートショップについて研究・批評した言説を探しているのだけれど、手掛かりがいまひとつ見えてこない。

Consortiumについては、フランス語版のWikipediaにも記載があった。
http://fr.wikipedia.org/wiki/Consortium_(Dijon)
アーケードを抜けた中庭にある平屋建ての建物は、本来は電気機器を売る店だったとのこと。既存の施設を転用しホワイトキューブの展示空間にするという、ある世代のミュージアム/ギャラリーに典型的なスタイル。Consortium系の施設はすべて「転用」スタイルで、(以前にも書いたが)ショップは19世紀の公衆浴場、事務所のある建物は製靴工場だった過去を持つ。