歴史の場としての都市と、その受肉

夜のガスパール―レンブラント、カロー風の幻想曲 (岩波文庫)

夜のガスパール―レンブラント、カロー風の幻想曲 (岩波文庫)

まもなく私は、十八の塔と八つの城門と四つの小門が取り囲む、十四世紀、十五世紀のディジョンを掘り起こしました。[…]私は死骸に電気をかけました。するとこの死体は起き上がったのです。ディジョンが起き上がるのです。町が立ち上がり、歩き、走り出します!老アルブレヒト・デューラーが描いたような紺碧の空に、三十の鐘が一斉に鳴り響きました。群衆が殺到します[…]どうしてこの復活を疑うことができましょう。緑と黄色に染め別けられ、町の紋章の赤地に緑葉の金葡萄を織り重ねた絹の旗が、風に翻っているのです。
(24-25ページ)