leisure and pleasure

 
左はスタンリー・クレイマー制作、マーロン・ブランド主演の『乱暴者(The Wild Ones)』(1953年)がダイジェスト的に紹介されている映像(ナレーションはフランス語)、右はアメリカを震源地にMTVカルチャーが開花した時代に作られた、Visage「Pleasure Boys」のミュージック・クリップ(1982年)。「Pleasure Boys」は往年の名画へのオマージュといった風体で、映像自体はストーリー性に乏しいが、同年代にはショートフィルム風のプロモーション・ヴィデオもいろいろと作られていたようだ。

あまりにも有名なこの映像は、上掲の「Pleasure Boys」と同年の1982年制作。

楽曲のスケールとは裏腹にB級感の漂うストーリー展開と、バンドメンバーの涙ぐましいまでの熱演に胸が熱くなるこのPVも、やはり1982年のものらしい。
ミュージック・クリップの歴史そのものに関しては勿論のこと、映画からの模倣・借用・剽窃や時代毎のトレンド変遷などを扱った研究も既に数多あるだろうから、その点は門外漢の自分が論じるまでもない。ただ、音や歌詞が表現する世界を、イメージといかに共振させるのか、あるいはむしろ共振させないのかという問題に、ポピュラー音楽を取り巻く様々な状況(受容者の欲望、社会の構造、音楽産業が置かれた状況や市場戦略…)が複雑に絡んでくるであろうミュージック・クリップという「トポス」が、古典的な対象において「テキストとイメージ」の問題に取り組んでいる自分には、妙に面白く感じられるのである。