サド、リベルタンたちの避難所

さて、サドの強者は弱者たちを、それがなくては彼らが生きてはいきない相互援助の連関から引き離し、多くの場合、人里離れた山奥、孤立した城(「そのすばらしい城は孤立していた isole」)、地下などに幽閉し、自分たちの情欲の満足のための道具と化す。サド文学の出発点となった『ソドムの120日』の舞台であるシリング城は、「isole」なる語こそ使われていないが、やはり四方を山に囲まれた地の果てに位置する孤域である。そこでリベルタンはさらってきた犠牲者たちに言う。「友人からも親からも引き離されて、この世で、おまえたちはすでに死んでいるのだ。もはやおまえたちは、我々の快楽のためにのみ呼吸をしているのだ」。
(秋吉良人『サドにおける言葉と物』風間書房、2001年、48ページ。)