建築の観相学


この日の日記(http://d.hatena.ne.jp/baby-alone/20100326)で触れた、等角投射図法と人間の表情とを重ね合わせた図面、作者のHumbert de Supervilleについて調べてみたら、他にもいろいろと面白い「建築の観相学」を展開しているらしいことが分かった。
彼の著作Essai sur les signes inconditionnels dans l'artは、こちらにデータ化されている。ド・シュペルヴィルの面白いところは、建築図面における「角度」とのアナロジーで捉える対象として、「顔立ち」とともに「色彩」を挙げていること。それぞれの角度が喚起する印象が形容詞として語られ、各々に対応する「顔立ち」と「色彩」が選び出される。
こちらはシュペルヴィルについて書かれた論文。残念ながらポルトガル語は読めないのだが、参考文献やリンク先の図版が、最初の手掛かりとして役立ちそう。スタッフォードもド・シュペルヴィルについての論文を書いていることを知る。(STAFFORD, Barbara M.. 'Medusa' or the Physiognomy of the Earth: Humbert de Superville's Cosmological Aesthetics, Journal of the Warburg and Courtauld Institutes, Vol. 35, (1972).)

追記)
スタッフォードの最初期の著作は、このド・シュペルヴィルがテーマとなっている。
Barbara Maria Stafford, Symbol and Myth: Humbert de Superville's Essay on Absolute signs in Art, University of Delaware Press, 1979.
http://barbaramariastafford.com/index.php?option=com_content&view=article&id=38&Itemid=6


この種の「建築の観相学」でキーとなるのが、「アナロジー」という発想のあり方なのではないか。と思っていたら、スタッフォード自身が『ヴィジュアル・アナロジー』という本を書いていた。

ヴィジュアル・アナロジー―つなぐ技術としての人間意識

ヴィジュアル・アナロジー―つなぐ技術としての人間意識

松岡正剛氏の書評が分かり易く議論の要点をまとめていると思われるので、リンクを貼っておく。http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya1235.html
(スタッフォードの書く英文はドイツ語みたいだと思っていたら、実際ウィーン生まれなんですね。「文章と展開は必ずしもうまくない」って厳しいな松岡さん。)